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「マッチ売り」草間さかえ

マッチ売り (CITRON COMICS)マッチ売り (CITRON COMICS)
(2010/10/10)
草間 さかえ

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先々月に続いて草間さんの新刊が読めるなんて嬉しい限り。
舞台は終戦直後。昭和の闇が猥雑な空気を助長していてとてもよい。実は勝手に「ニア系だろう」と決めつけていたので読んでみて驚いた。草間さんの近作の中でも格段に色っぽい話だったから。でもそれが過剰ではないのは選ばれた季節が冬だからかな、どこか静謐な雰囲気も漂っている。恋文によって人生を狂わされた4人の男達の物語だ。先月の『地下鉄の犬』でも書いたように今作は草間さんの作品の中でも際立ってアイテム萌えの作品のように思う。時代や人物の設定と、何よりも登場人物たちを結びつける「恋文」の使われ方。それらすべてが相俟って大変好みの作品だった。
「マッチ売り」
マッチと一緒に春を売る若い社長と学生の話。大勢に抱かれなければ達しないという厄介な性癖を抱えた社長のトラウマともいえる経験の重要アイテムと、純朴で鈍感な学生の持つ一通の不完全な手紙が「恋文」なわけだ。好きで立ちんぼのような真似をする社長の色気が素敵。恋愛感情はどこにある?と問われれば、草間さんらしい作品だと答える感じではあるのだが、それにしてもこの雰囲気はいい。
「やぎさん郵便」
社長に想いを寄せる秘書と、学生に想いを寄せる友人の男の話。こちらでは男が学生に宛てた恋文を盾に男を半ば恐喝して身体を手に入れてしまう秘書となし崩しに抱かれて怯える男の姿が描かれる。私にしては珍しくインテリ眼鏡の秘書がツボだった!社長も秘書も節操がないといえばないのだが、でもどこかで純粋な気持ちも持っているのだよね。それを社長は学生と出会うことで一人の人間と抱き合う喜びに目覚める。それを間近で見ていた秘書の苛立ちがいい。眼鏡が不憫なのって楽しいわ(そんな結論?)秘書に情のようなものが芽生えかけたところで以下続刊である。


***
感想は短めに突然ですが近況報告。
仕事の繁忙明けてから先、漫画ばかり読んでいます。
まとめて感想を書こうと思っていたのだけど、いっぱい読むとどうも書きたい気持ちがあっても「溢れない」のよね。1冊1冊の本を大事にしたいのになぁと思うのに大量に消費してしまう。ちょっと悲しいことだ。
いっぱい読んだ中でも一番のヒットはこちら!
エンドゲーム (1) (ディアプラス・コミックス) (ディアプラスコミックス)エンドゲーム (1) (ディアプラス・コミックス) (ディアプラスコミックス)
(2010/07/30)
山中 ヒコ

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続きものということで完結まで待つつもりが、お友達のプッシュに背中を押されて読んでみたらもの凄くキュンキュンした!ヒコさんはいつも数回読んでから萌える傾向にあるのだけど、これは一発できた。2巻は12月に発売とのことなので完結したら感想を書きたい。我慢する年下がこんなに可愛いなんて!キュンキュン。

それにしても、あまりにもBL小説が読めなくてどうしてしまったのかしらとグルグルしている。
そんな中でも楽しみなのは『世界の果てで待っていて』(高遠琉加)の待望を続編だ。果たして完結するのか、二人のニア未満な関係はどうなるのか。新しい挿絵は雪舟さんの雰囲気とは真逆のスタイリッシュな方の茶屋町さん。センシティブな側面が強い作品だと思っているのだが、ハードボイルドな色も強まっていたりするのだろうか?もうすぐ発売である。

今読んでいるのはノベルスになったこちらの作品。
トーマの心臓 Lost heart for Thoma (講談社ノベルス)トーマの心臓 Lost heart for Thoma (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
森 博嗣

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森博嗣版『トーマの心臓』はまず舞台に驚愕した。森さんの既刊作品は実は得意ではないのだけど、文章の美しさは以前から好きだった。まだ中盤なのだが読了したら感想を書きたいと思う。

ここ数日で思ったのだけど、やっぱり私は本を読んで本のことを考えていないとダメな人間なんだよね。別に誰に必要とされているわけでもないし自己満足でしかないのだけど、大袈裟に云ってしまえば生きている感じがしない。心が死んでいくみたい。妙齢の女としてもっと他に考えなくてはいけないアレコレがありませんか…?という言葉は聞こえないふりで(笑)だから心の平穏の為にも、いっぱい読んでいっぱい考えて出来ればいっぱい吐き出したい、な。

そんな感じで日々過ごしておりますなんて云うとちょっと暗めですが、大丈夫です。全然元気で健康です。
最後にいつも覗きに来て下さる方拍手を下さる方、どうもありがとうございます!
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「地下鉄の犬」草間さかえ

地下鉄の犬 (ドラコミックス)地下鉄の犬 (ドラコミックス)
(2010/08/25)
草間 さかえ

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サラリーマンの篠田が会社帰りにコーヒーの匂いに導かれ入った先は、趣のある煙草屋兼骨董屋。そこで店主の朝倉と出会った篠田は、ひょんなことからお店に通うようになるのだが…!?愛へと移り変わる感情を豊かに描いたアダルトラブストーリー。

ちょっとご無沙汰していました、元気です!

久しぶりの感想はBLだと2年ぶりの新刊になる草間さんの作品。ブログ開設当初に感想を書いた『はつこいの死霊』以降初めてなのですね。意外なようだけど今作を読むとどこか納得してしまうのでした。私はもちろん草間さんが大好きだけど、よくよく考えると再読率はそんなに高くないのですね。マイ本棚の一等地に鎮座しているものの、『はつこい』が群を抜いて好きなだけで(次が『災厄のてびき』表題作)他の作品はどっこいどっこいだった。

それというのも、おそらく草間作品というのは、草間さんの“萌え”で出来ている部分が大きいと思うのだ。それは、設定だったり雰囲気だったり人物(一番わかりやすいのは眼鏡キャラだろう)だったりするのだけど、その中で肝心の恋愛描写や感情描写が説得力を持って描かれているかというと…正直云うと、私にはあまりそうは感じられなかった。なぜ『はつこい』が好きなのかと問われれば「初恋の死霊が祟りを~」という実在した宗教の教義に由来させる設定に萌えるし、『災厄』では火に欲情してしまう少年に萌えるからだ。選び抜かれた台詞のセンスも独特な画面の雰囲気も素晴らしいと思う。でも、人物の感情面に共感を覚えたことはあまりなかったのだ(辛いこと書いているようですが、大好きですよ!)

長い前置きになったけど『地下鉄の犬』は二人が恋に落ちる描写に説得力があり、ジワジワと心に響いてきた。
篠田は離婚したばかりの中年サラリーマンだ。余計なことは考えたくないからと、夜道を眼鏡を外して歩きコーヒーの匂いに誘われて朝倉と出会う。篠田は自分を地下鉄で見かけた薄汚れた犬に重ねるのだが、行き場を失くしてしまった自分と犬が“嗅覚”によって生かされていることを示唆した秀逸な描写だと思う。篠田夫婦のどちらかに決定的な非があったわけでもなさそうな様子がまたいい。篠田は何かが足りなくて(それは他人に寄りかかるとか、あともう一言が、とかの些細なようにも感じられる性格の問題だ)、でもその分誠実で実直な人柄を持っているように見受けられる。それでも、恐らくは似た者同士であったであろう妻とは合わなくなっていったのだ。日々のすれ違いに疲れて別れを選び、それでも若干の未練じみたものを夫婦二人が抱いていそうな関係がいい。女が悪者になるわけでもなく、男の性癖を理由にするのでもなく、自然に壊れていった(酷い言葉だけど)男女の様子が描かれていてツボに入った。
篠田が出会った朝倉は、骨董の価値に関わらず古い物を大切にする男だ。新しい物だらけの自分の部屋と、古い物に囲まれた朝倉の店とを行き来するうちに、篠田にとって朝倉と彼の店が心安らぐ場所になっていく。リセットされた生活は、今まで使ってきた物の価値まで変えてしまうのかもしれないね。毎日使う食器やコップが一人分になり、その物を大切に思う人間が自分一人になる。それは、想像するにとても寂しいことなのかもしれない。
ゲイの朝倉は篠田が店に迷い込んだ時から彼の事が好きだった。バイの気がある篠田はそのことに薄々気が付いていたのだが、過去の失敗から朝倉を遠ざけようとしてしまう。でも、趣味で書いていた小説を再び書き始めようと妻に会ったことで、篠田は朝倉に向かう気持ちが今までになかった種類の情熱を持っていることに気付いてしまう。言葉の少ない篠田が懸命に朝倉に想いを伝えるところは、どこか可笑しくて微笑ましい。キュンッてなる。
まとまった二人はとても幸せそうだ。愛情のかけ方が“重い”朝倉と、思慮深いけど言葉が不足している篠田。似た者同士ではないからこそシックリくる二人なのだろうと納得してしまった。年下のヘタレ系(乙女系?)朝倉はあまり好みの攻めではないのだけど、続編の「旅する犬」で見せた色気ムンムンのひとコマにノックアウトされました(笑)ため息が「はふ」って!あれはズルイよ!!草間さんさすがです。

久しぶりに書いたらとっちらかった感想になりましたが(いつもか)、草間さんの長編堪能しました!
良い本を読みました♪



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「はつこいの死霊」

siryou.jpg
全ての不幸の元は初恋の祟りである

「漫画が好き」という人には草間さかえを読んでと伝えたい。
読んだらわかるから。
すごいから。
BLだからなんて言わないで―

でも、わからない人には教えないの。もったいないもの。
BL漫画を読む人生でその出会いに心底感謝した作家の一人であり、おそらく一番圧倒された漫画家だ。そして『はつこいの死霊』はその中でも一番好きな作品。

浮気を繰り返す両親に嫌気がさしていた智はアパートの隣人である祐一と仲良くなる。
誰かを好きになることはない、無意味だ、という智に
「それでもきっと誰かを好きになるよ」と慰められた夏休みのある出来事。
それから10年後、初恋の死霊が息をふき返す―



癖のある絵柄と、奥行のある独特の構図。ノスタルジックな雰囲気に呑まれたらもうすっかり夢中でした。しかし、何よりも驚嘆したのはそのモチーフの使い方。「はつこいの死霊」というタイトルの元にもなっている言葉の由縁は、戦後に興った新興宗教(天元教)の教義―「恋慕の難」からきているのです。
その眼のつけどころにとにかく驚きました。
作中で大学生の祐一が中学生の智に語る「「初恋の祟り」の一節。
「水子に心当たりがある人間よりも、俺を含め初恋に敗れた人間の方が多い」
そう、初恋の気持ちってまさしく祟りのようだと思うのです。よく知りもしない相手のことを日がな一日考え、それこそ祟り殺せるのではないかというぐらい想ってしまう。
(はい、私も初恋には執着しまくった類の人間です)

母の浮気相手が祐一だったことから二人は音信不通になるのですが、それから10年の歳月が流れて二人は再会するのです。建設会社社員と埋蔵文化財調査センター担当者として。
一目で祐一に気がついた智に対して、祐一は智のことを忘れていた。
両親の離婚の原因になったという祐一の負い目と、建設会社の弱み(土地の曰く話)に付け込んで智は祐一に取引を持ちかける。それは「土地の曰くを黙っている代わりに、金曜から月曜までいいなりになる―」というものだった。
智の本意はもちろん両親の離婚などにはなく、ただ10年前のあの夏、祐一が戯れに智にしたキスにあった。智はその行為をきっかけに祐一への恋心に目覚め、それは初恋の呪縛として彼の身の内にあったのだ。しかし祐一はキスのことも覚えておらず、自分は同性愛者でもないと言う。
息をふき返した初恋の死霊は二人をどこに導くのか。

蕎麦屋の二階、ラブホテルが玄関の戸建、目隠しの屏風、背景や街並み、家屋がこんなにも生きている漫画はないです。そして人物を俯瞰した構図の素晴らしさ。草間さかえは本当に独特の才能を持っている作家さんです。
エロは少ない作品が多いですが、「はつこい」はいたすシーンが多くてそれも含めて好きです。「手籠にする」という言葉がしっくりくるような蕎麦屋と週末の陵辱は、冷静に考えれば祐一にとってはえらい災難なのだけど、尋常ではない色気にそんなことはどうでもよくなります。
台詞にも、ひとつも無駄な言葉がありません。
「ああいう声 会話より隣に抜けるから」
この人は一体何を読んで生きてきたのだろう。
こういう言語感覚を身につけている作家さんは尊敬します。

智とは違った意味でまた祐一も初恋に囚われている人間だったのですね。
「女性に本気になれなくなった」祐一が、それでも人恋しいと思っていることも中学生の智は何となくわかっていたのでしょうか。
「あんたはいつだって過去を振り払うのに必死で 今が等閑なんだ」
復讐なんかではなく初恋の気持から祐一を抱いた智。

「この先あんたが被る全ての不幸の原因の 俺のことを忘れるな」
「それでもやっぱり 俺の死霊はあんたにしか付かないよ」

そして迎える大団円には本当に感動しました。
草間さかえの素晴らしいところは、変幻自在に飛躍できそうな物語世界なのに、絶対に最後はBL的ハッピーエンドで幕をとじること。愛がある。BLへの愛がある。

あとがきにカバー下、サービス精神が旺盛なのも、嬉しい限りです。
プロフィール

yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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