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「こめかみひょうひょう」雁須磨子

こめかみひょうひょう (ミリオンコミックス Hertz Series 75)こめかみひょうひょう (ミリオンコミックス Hertz Series 75)
(2010/03/01)
雁 須磨子

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高校生の橘高照佳は、クラスメイトの芳野憲二に密かな想いを寄せていた。この気持ちは誰にも内緒……のはずだったのに、芳野本人にばれていた!?大人も、高校生も、おじさんも 恋をすれば誰もが自意識過剰になっていく!?雁須磨子が綴るたったひとつの作品集。

私に雁さんを教えてくれたのは大学で出会った友人でした。
それまでも菅野さんのエッセイでお名前は知っていたのですが実際に読んだことはなかったのですね。漫画や小説を全作制覇する勢いで読めば、大抵その作家さんの性格や思考回路が理解出来ると思うのです。主義主張といえばいいのかな。それが見当違いでもなんでも、自分の中での予想は立てられる。だけどたまに何作読んでも何の予想も立てられない方というのがいて、私にとって雁須磨子さんはまさにそういう方です。レディコミの印象はBLとはまた違って、言葉は悪いかもしれないけど「求められているものを描いている。無難にこなしている」というある意味安心して読むことが出来る作品群だと思うのですが、雁さんのBLは…描いていることは難しくない。だけどまったくもって筋が読めない。何がどうしてそうなるのか、きっと雁さんの中では明確に決まっているし、読了すれば「面白かった!」となるのに、どうにも読んでいてモゾモゾするという(褒めてますよ!)。私にとっては一筋縄ではいかない漫画家さんなのです。

そんな雁さんの6年ぶりのBL新刊!堪能しました。
今までの作品よりも恋愛が直球気味でちょっと不思議さが薄れたかな。

「こめかみひょうひょう」表題作(全3話)
2話目だけを本誌で読み、いつコミックになるのかと思っていたらあっという間に5年以上が経過って…時の流れの早さと出版業界ののんびりさに一瞬遠い目をしてしまいました。
中学生の頃に同級生への気持ちがバレてイジメに発展し、引越し転校までした過去のある橘高は、自分の恋愛が成就するとは夢にも考えていない。あともう少し大人になって、自由になって、それからそれからと云い聞かせている。だけど同時に「恋がしたい 17歳の 今の この俺だって」とも思うのだ。隠し撮り、盗み見ときて、会話の切っ掛けがヘチマと朝顔という間の抜け具合が雁さんの漫画らしい。フワフワしていて掴みどころがないのに、いつの間にかストンと幸福の場所まで連れて行ってくれる(余談だけど明治さんに抱く印象と似ている。私の中でこの二人は同じ引き出しに入ってる)。
橘高の恐怖を芳野は本当にはたぶん理解出来ない。「うれしい」の次に「かなしい」がきてしまう臆病な心を、芳野は「ばかだな」としか思わない。そういう高校生で同い年で似たような感じに育ってきている普通の男の子二人が、全然違う内面を持っているのって当然のことなんだけど、その違いがとても愛おしい。橘高の過去はちょっと普通ではないかもしれないけど、それを彼は芳野に詳しくは話さない。で、芳野も深くは聞かない。雁さんは、声高に理解し合っている風なことを描かない。「のはらのはらの」を読んだ時にも感じたのだけど、恋愛をしている二人の間にあるこの距離感が好き。イジメの原因となった同級生と再会する時に、芳野の力を間接的に借りて、橘高が言葉を発することが出来たのもとてもいいと思う。確かにキュンともなるのだけど、雁さんの漫画は私にとって恋愛面のキュンではなくて、個々人の遠さのようなものにキュンとなる。遠いけど近くにちゃんとある関係性にキュンとなる。それが恋愛じゃん!と云われれば返す言葉もないのですが(笑)、とにかく私はこの表題作が大好きだということです。
がしかし、野暮は承知で一つだけ叫ばせて頂くと、BL名台詞100選(なんだそれは)があれば必ず入るであろう芳野の名長台詞(P67)がコミックでは短くなっているのですよ!正確に再現出来ないので書きませんが、すごく残念…。話の展開にはまったく関係がないので個人的なこだわりでした。

その他の短編については割愛。
雁さんがお題通りにBLを描いていることに驚きつつ楽しく読みました。
「めあたらしい日々」「カドをとられた方が負け」が特にお気に入り♪

同時に出た「猫が箱の中」の方が癖があって不思議な話でした。
感想はたぶん書かないけどこちらも面白かったです!

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「のはらのはらの」(雁須磨子)

noharano.jpg
日射病でへたり込んでいた西戸崎にフリル付日傘を貸してくれた人、それが腰を痛めて野球部を辞めた1学年上の糸島だった。その日から西戸崎は糸島のことが気になって気になって仕方がない。この気持ちは一体なに?

とても好きな漫画です。久しぶりに読み返してもやっぱり良いです。
雁須磨子は不思議な人だと思います。どんなジャンルを描いても独特の味があり、雁須磨子という人格が滲み出ているような。ふわふわしていて掴みどころがないけど、なんかいい。「なんかいい」としか言い表せない微妙さというか絶妙さがあります。
高校生ものでは昨年『同級生』が大人気でしたが、より等身大にちょっとカッコ悪く「恋すること」を描いている点で『のはらのはらの』も大変な名作だと思います(2003年の漫画です)。

西戸崎君と糸島先輩の恋愛が主であると同時に、野球を失った糸島先輩の葛藤が話の軸になっています。野球部のメンバーと自分の間に出来てしまった距離。怪我をしたことへの自責の念。高校2年生の夏であることへの絶望。それは、想像するだけでも辛く遣る瀬無い現実。雁さんは読者に糸島先輩の苦悩をまざまざと見せつけるのに対して、西戸崎君には何も語らせようとはしません。西戸崎君は「きっと―だろうな」と想像と憶測の範囲で先輩を理解しようと努め、どんなに恋をして好きになっても、その負ってしまった傷をどうこうしようとはしない(できない)。その微妙な距離感がとても素敵なんです。
西炯子の漫画にもいえるけど(私が勝手にそう考えるだけですが)、人と人の距離の取り方が、雁さんの漫画も心地よい。BLを読んでいるといった感じではなくて、普通の漫画を読んでいるみたい。その中でたまたま同性を好きになってしまった男の子の話を読んでいるみたい。たぶん私自身が、他人と一定の距離を保った付き合いを好む傾向にあるから、両先生の漫画が心地よいのだと思う。
傷は結局のところ自分自身で治すしかないんだよね。糸島先輩は野球を失くした傷を恋で紛らわしていたのかもしれない。でも、それでもいいんだよ。心を向けるものがあるというのは救いだもの。
野球部でもない、同級生でもない、そんな共通点も何もない片思いから始まって、毎日の挨拶や会話、休日の約束と地道に先輩との関係を築こうとする西戸崎君。高校生ってこんな感じだったよなーと思い出します。野球部ってのはやたらと仲間意識が強くて、いつも部員でつるんでいて。クラスや学年が違う人を好きになったら時間割を頭に入れて、移動教室で相手が廊下を歩く休み時間にわざと同じ廊下を反対から歩いてみたり(えっ?しない?)。かなり鈍い糸島先輩が「恋」を自覚するところがとっても素敵。じわじわと心に浸透してくる相手の気持ちに、ようやく見つけた自分の気持ち。一歩遅れて恥ずかしがる(怖がる)先輩が、西戸崎君が感じるように可愛くてたまりません。
「抱き合えるならどっちでもいいっす」と言う西戸崎君。可愛いのに男前な様にキュンキュンしました。
本当にオススメです。

この漫画の台詞をたまに思い出すことがあります。
帯にもなっているけど糸島先輩の言葉。
「わからんでいい。わかられたくない。・・・・ わかられたらたまらん」
腰を痛めて引退した糸島先輩が、3年生の追い出し会に参加しなかったときの言葉です。相方だったピッチャーの子から「皆わかっとる(参加しなかった先輩の気持ちが)」と言われた後の言葉です。
だから先輩は西戸崎君を好きになったんだとも思うのです。
わかられないことに救われるって、わかります。
状況は違いますけど、旦那のことを考えるとこの言葉を思い出します(あっ、良い意味ですよ)。
わかられない方がいいことってある。特にコンプレックスや負の感情に関してはそう。近しい人だからこそ、本当の意味で理解されたら辛いという。まあ、人それぞれなんでしょうけど。

雁須磨子の漫画はBLもいいけど、マニア系の方が好きだったりします。(『のはらのはらの』は別格)エログロっぽいノリがたまりません(笑)本当、不思議な人です。
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yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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