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「ディヴィジョン」西田東

ディヴィジョン (ディアプラス・コミックス)ディヴィジョン (ディアプラス・コミックス)
(2010/09/30)
西田 東

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新米弁護士の浅野は仕事でフィリピンを訪れるが、薬の運び屋の疑いをかけられて警察に捕まってしまう。刑務所へ搬送される車の中で一緒だった男・田中となりゆきで脱走することになった浅野。二人で逃亡生活を送るうち危険だが魅力的な田中からいつしか目が離せなくなり……。アダルトでスリリングな逃避行ロマンス!!

西田さんの新刊!すごく良かった!大好き!!

身を持ち崩した色気ムンムンの40男というのは、もはや私の鉄板萌えなのかもしれないな。
見るからに女タラシでロクデナシな田中に、浅野と同じく仕様もないと思いながら夢中になってしまった。
器が大きいのか小さいのかわからない小悪党のロクデナシなのだけど、自分の魅力を存分に行使する術を持っている男というのは本当に厄介で素敵(実生活で関わりたいかは別として)。

浅野の性癖を早々に見抜き本気とも冗談ともつかない口説きを仕掛けてきたかと思えば、「真面目で頭のいい女は可愛くない、先生は可愛いな」と云った直後に突き放し(キスまでしておきながら!)、挙句は浅野が暴漢に襲われたらフォローをするようで傷を抉り、抉ったら抉ったで可愛くなって抱いてしまうという…なんだこの身勝手なダメ男は!でもそれがすごくカッコイイのだから西田さんは凄い。傷心の浅野に「来いよ」と声をかけて無視をされたからと伸し掛かる時の台詞がまた堪らない。
「あんたが――来ねえからだ」
その場面の田中の表情の壮絶な色っぽさといったらない。絶対的な「攻め」ではなくて、弱さや危うさを持った一人の男の意地とプライドと欲情が入り混じった何とも云えない絶妙な表情をしている。もう、とにかく読んで欲しい。

私は西田作品の感想を書く度に同じように思っているのだ、「とにかく読めばわかる」と。
こんなにも言葉で魅力を伝えるのが難しい作家って他に思い浮かばない。今作のストーリーがオリジナルに富んでいるかといえば正直否だし(似たような関係性の短編があった気がする)、終盤だって畳み掛けるような大団円はいかにも漫画的だ。だけどその漫画の見せ方がとんでもなく上手なんだよね。絵柄だって背景や細かい書きこみは置いておくとして(笑)人物の表情は昔から豊かだった。シンプルな線で複雑な人間感情の機微が浮かび上がってくる様子は読んでいて圧倒される。西田さんは本当に漫画が上手い。

捕まえたつもりが捕まって。余裕だったはずの田中が浅野への執着を直接本人には伝えずに強めていくのがいい。この男が何に怯えているのか読む側には手に取るように伝わってくるのに、肝心の田中の方が冷静に「終わり」を見越している。バカンスのような逃避行という非現実が見せた夢だと、諦め半分で田中に恋をしているからだ。田中は田中でそういった浅野の諦観までも感じとってしまうのかもしれないね。拙い嘘はあっけなくバレて二人の生活は終わりを迎える。別れ際の田中の表情がまたなんとも云えず魅力的なのだ。本当にダメな男だなぁ、でも愛おしいなぁと思わされる。ああ、とにかく読んで欲しい!

田中が本名を伝えていたという些細な事実を知って浅野が号泣する場面が好きだ。
逃亡者が「名前」という自分の極めて核心部分の「弱み」を晒すこと。意識してか無意識なのか、一瞬のうちにその選択をしてしまった田中の弱さが垣間見えてグッときた。そこに全力で賭ける浅野も同じように魅力的だ。西田漫画の受けは女性には代替不可能な正真正銘の「男」だと常々思うのだが、浅野は少し甘さを加味されているものの、やっぱり彼の行動や言葉は西田さんの男だ。本当に素敵。ダメな男だけど魅力的、ダメな男だからこそ魅力的。そんな田中に捕われて腹を括った浅野は勝負に出る。45の男と33の男が出会って恋をして。なんてロマンス!

ユーモアセンスや手の抜き具合、カバー下も相変わらずで笑わせてもらった。オマケ漫画のカワイイ小鳥に「そっち!?」と驚いたものの、確かに目を離しちゃいけないのは彼の方かもしれないと納得したりして。
兎にも角にも大満足の1冊でした!良い本を読みました♪

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「願い叶えたまえ」

negai.jpg
どこか壊れたところがある若く美しい暴力団幹部・深見と出会いピアニストの絹川は劇的に恋に堕ちた。だが、深見が同性から向けられる恋情に激しい嫌悪感を持つことを知った絹川は、「ただ、愛するだけでいい」と決断したのだ。そんな時、深見への異常な執着を隠さない敵対暴力団幹部・有島の淫靡な罠が―!?ピアニストとヤクザ。突き上げる切なさ、激しく奏でるトゥルーラブロマンス!!

すごい、おもしろい、それしか言えなくなってしまうので西田東作品は困ります。
ここ数日間、寝ても覚めても『願い叶えたまえ』が頭から離れませんでした。いつも以上に頭の中が漫画一色になり・・・嫌がらせのように長くなってしまいました(笑)
3年も前に完結した作品なんですね。今更だけど、読めて本当に本当に良かった。

「ジャンルで区切って作品を選ぶ」ということがほぼない私が唯一「むむっ」となってしまうのが「ヤクザ物」だったりします。ある意味アラブに匹敵するファンタジーだと思うのですが、好きです。そして今回『願叶』を読み確信したのは、私は経済ヤクザよりも武闘派ヤクザが好きで、そして攻めよりも受けにまわるヤクザに堪らない萌えを感じるのだ―ということでした。ま、私のベストヤクザは『赫蜥蜴の閨』の臣でバリバリの攻めですが彼は別腹だ(従兄に対する女々しい想いは受け的といえないこともないし)。『聖なる黒夜』の練や『さよならを言う気はない』の天海、『刺青の男』『ほんと野獣』のヤクザがパッと思い浮かぶ受けているヤクザですかね。水原先生のヤクザや榎田先生の『交渉人シリーズ』にあまり萌えを感じなかったのは、彼らが攻めでかつインテリな為だったのかも。
前置きが長くなりましたが、受けの武闘派『願叶』深見は私の心を鷲掴みにしていきましたよ。

作品については詳しく語っても魅力を伝えられないので、投げます。
読んで後悔は絶対にしないです。私、西田作品を古本屋で買う機会が偶然にも多いのですが、それが信じられない。なぜ手放そうと思えるの~!?

ずっと考えていたのは『願叶』のことと「なぜ私はBLヤクザが好きなのか」ということでした。
『赫蜥蜴』のときにも考えたのですが、「どんなに鬼畜なことをしても物語が破綻しないから(ヤクザだからね)」という理由しか思い浮かばなかったのです。ただ、男がヤンキー漫画や任侠映画を愛する気持ちとは確実に違うと思っていました。憧れも尊敬もないし、カッコイイとも思わなければ同化も望んでいない。で、なぜか唐突に頭に浮かんできたのが『仮面の告白』の冒頭だったのです。主人公が厠仕事の褌青年に性衝動を覚える有名な場面。主人公は青年の褌一丁という姿態に興奮するとともに、彼の「職業」に対して興奮するんですよ。「貴賎」でいえば明らかに「賎側」、人の糞尿を始末するという職業への悲哀や、その選択をせざるを得なかった環境そのものに欲情している(たぶん)。「不謹慎だけど萌えてしまった(by三浦しをん)」んだと思うの。私がBLヤクザというか『願叶』の深見に抱く感情ってそれと似ているのかもしれない。ヤクザは選択の自由がきく仕事ではないと思うんだ。生まれ育った環境、闇に抗えない心・・・一応自由な私は彼を蔑みながら美しいと崇めているような気がします。深見は悲しくて美しい生き物だから。そして私が望むヤクザの姿とは、堅気ではない自分を恥じている、含羞がある姿なんですね。「学がない」という意味のことを深見も何度か口にしますが、受けのヤクザが口にするのってあまり聞いたことない気がします。その恥じらい(?)に悶えました。
しかしこの感情って深見を手込めにしたエロオヤジ有島と何ら変わらない精神構造な気がしますね。もっと言えば、推測だけどゲイの人がブランドとしての「ヤクザ」を愛でる際の構造とも似ているのではないかと思います。ほら、三島先生ですし。深見はゲイの方々が見ても十分鑑賞に堪えうるヤクザではないでしょうか。また西田先生の粗い絵柄が色っぽいんだ。有島に手込めにされる場面も、祐介にヤられる場面も、なんだか読んでいて恥ずかしくなるぐらい悶えてしまいました。
有島といえば、私の心に刻まれる名台詞を吐いてくれました。裸に剥いた深見をベッドにうつ伏せに拘束して「絶景だな 正しく絶景だ」オヤジ~!刺青の龍が妙に可愛いのも気になりません(笑)そりゃあ絶景だろうよ、深見の尻と昇り龍だもの。この有島が大変魅力的に描かれていて、西田先生は有島を描くときが一番楽しかったのではないでしょうか。好きです。
理解者が救済者なわけではない。有島も工藤(深見の部下)もきっと深海の傍に沿ったら彼を殺してしまう。迷子の幼子のような姿が愛しくて哀れで。祐介だけが、深海を生かそうとしていたんだね。
彼が有島に叫ぶ言葉には不覚にも涙が出ました。最初の「願い」はこの叫びそのものだったわけだ。

と、三島由紀夫なんて思いだして私ったら国文出~みたいな自己満足に浸っていたのですが、風呂で唐突に一番納得いくことを思い付いてしまいました。
「BLヤクザって、最強のツンデレだ」
人生かけてツンしている人々が、一人の男と対峙するときにデレるわけでしょう。「ツンデレ」という言葉を使うのは恥ずかしいので遺憾ですが、私の萌をピンポイントで表現するのに「ツンデレ」程的を射ている言葉はないのでした。あー、ツンデレか・・・微妙にがっかりです(笑)

すみません、作品について少しだけ語ります!消化しないと次に進めそうもないので。
ネタバレしますので未読の方は読まない方がよいかと思います。

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「天使のうた」

tensi1.jpgtensi2.jpg
はい、宣言します。
私は西田東作品を遅ればせながらコンプリートすることをここに誓います。
今まで短編だけを読んで知った気になっていました、ごめんなさい。長編、面白すぎるよ。
この人の魅力って本当に不思議ですよね。絵は見れば見るほど味があるというか、作画に疎い私でさえ「!?」と思う、すっごい描き方しているコマが多々あって驚いてしまいます。でもこのストーリーを流麗な絵柄に乗せても、たぶん魅力は半減どころかなくなってしまうと思うんだよね。西田先生の男達ってとてもカッコイイと思うの。夢を見せてくれるような美しさはないけど、生きてきた人生の重さや臭いが感じ取れる。その姿がとてもリアルに感じる。男の色気というのは年を重ねる程に深みを増すというけれど、それが実感できるんだよね。まあ、本物の40オヤジと現実であまり関わっていないから言えることだよなーとも思いますが(笑)とにかく、この絵とストーリーで「西田東」なんだ。
某版元が新刊の帯に「BLの物語の力」という煽り文句を載せていますが、その言葉の「?」感は置いておいて、「物語の力」という部分のみを取り上げるなら、西田東ほど物語の力を感じさせる作家はいないのではないかと思う。この『天使のうた』は心からそう思わされる話でした。

最愛の妻と子供を事故で失い、人生に希望を見出せない医師・ミシェル。ある日ゲイストリートに迷い込んだ彼は、かつて知り合いだった少年を目撃する。その少年、アレックスは美形の音楽家、クリストフ・アドラーの息子。アレックスのことを相談しにクリスの楽屋を訪れたミシェルが目にしたのは、男と戯れるクリスの姿だった―。

ミシェルとクリス、そしてクリスとアレックスの関係を軸に話は展開します。何を書いてもネタばれになってしまうのですが、話の流れを知るだけではこの漫画の魅力は絶対に伝わらないと思うので是非とも読んでいただきたい。クリスは父親に虐待を受けていたトラウマからアレックスとの関わり方がわからない父親です。愛している、でも、愛し方がわからない。自分の父親のように愛する(虐待する)ことが間違っているのも頭では理解している。でも、混乱すると自分を見失ってアレックスに暴行を加えようとしてしまう。アレックスはとても頭のいい少年で自分とクリスの関係が歪であることを冷静に見つめていて、それでもクリスを愛する気持ちは絶対に揺るがないと自信を持って言う子供です。この父と息子の関係がとても重厚で、まるで1本の映画を観ているような気持ちなりました。そんな二人の側に寄り添うミシェルは亡くした息子とアレックスを重ねて、うまくいかないクリスとアレックスの関係に気を揉むんだけど、クリスに対する気持ちが恋だと認識するのは最悪の事態が起こってからなんだよね。二人が近づくきっかけになったピアノや髭剃の場面に漂う色気や甘い空気がなんかもう素晴らしすぎます。あぁ、だめだ。上手く魅力を感想にのせれないなー。もどかしい!とにかく力強い人間ドラマです。一読の価値あり。本当に感動しました。

西田先生の話って、庇護する者と庇護される者の関係ではないんだよね。受けや攻めで括る事が出来ない。圧倒的に二人とも「男」なんだもの。私が求めている「対等な恋愛関係」「対等な人間関係」とはこういうものだと思うんだ。それにしても、後書漫画やたまにあるユーモアシーンが素晴らしすぎるんですけど!本当、面白い作家様ですよ。

「ドント・クライ・マイ・ベイビー」

図書館にて思いつきで検索機に「ヤマアイシキコ」と入力してみたところ・・・出るわ出るわ角川ルビー文庫やら絶版本やら!なんでもっと早く気がつかなかったのよ、クララのバカ!あまりにボロい図書館なので期待していなかったのです。速攻で取り寄せを依頼しました。他にも「須和雪里」の絶版本があったりと、閉架書庫畏るべし。もっと探せばJUNE期の作品がかなりの数読めるのでは?活用しよう!すぐしよう!そういえば地元の図書館でもヤングアダルトコーナーのラノベの横にかなりの冊数BLが鎮座していたっけ。

さてさて、悶えまくってまだ落ち着かない為まともな感想になっていないのですが、西田東の新刊です!!
nisidahigasi.jpg

あー、もう!西田東漫画の面白さをなんて表現すればいいのかわからないよ!
なんなの!?なんなの、この色気溢れる40代親父達の素晴らしさは!!
そしてありえないユーモアセンスの持ち主だと思いますよ、西田先生は。
この表題作すごく好きだわ。今まで読んだ西田先生の短編の中で一番好きかも。
日常に疲れて何もかもが諦観の底にあるような男の中に潜む衝動。その静かに切迫した感じの色気といったら!しかもバックバージン!可愛いし!悶え死ぬかと思いました(笑)
なんで西田先生の絵ってBLのキラキラから掛け離れているのに、こんなに萌えるのだろう。すっごいなぁ。眼ざまし役を担うロン毛の兄ちゃんがまた味があって素晴らしい。ロックな外見に反してフォークときますか!こんな窓拭き青年がいたら私が恋に落ちるって!マジで!

ああ、上手い言葉が見つからないのがもどかしい。

とにかく西田東の漫画はロマンだ。とんでもなくロマンチックだ。

退屈な日常、よくある職場の光景が「恋」によってキラキラする瞬間。モノクロの世界がバーッと開けて極彩色の世界に変わる瞬間。そんな一瞬を捉え続ける稀有な才能の持ち主だと思いますよ。
これは読まないとダメでしょう!
プロフィール

yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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