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「新学期」

紛れもない趣味の原点の話です。
私はわりと緩やかにBLの世界に足を踏み入れました(たぶん)。

一番最初に男と男の物語を「よくわからないけど(トキメキの正体が)、とてもいい・・・」と認識したのは、長野まゆみの『新学期』だったんだよね。長野まゆみから入り、次に私が手を出したのは一般文芸の同性愛ものだった。あまり覚えていないけど、比留間久夫や松浦理英子(ビアンもの)などの、倒錯的な性愛の小説ばかりを探して読んでいた。わざわざ地元から離れた図書館まで出かけて。友達少なそうな嫌な中学生ですね(笑)。同性愛描写に惹かれる自分を特に変だと思ったことはなかったです。長野作品を読んだ時から、なんとなく世間一般にそういった「需要」があるのは察していたんですよね。こんだけ確信犯的な書き方をして人気なのだから、これは「あり」なんだと。
でもエロが好きなことへの罪悪感は人並みにありました。そういうのを人と語るなんて絶対に出来なくて、仲が良い子にももちろん秘密でした。そうやって一般書で悶えていた時期というのがかなり長くて、それと並行して新聞書評で知った『風と木の詩』や新書館系の雑誌を読むようになって・・・BL漫画を買うようになったのは高校生になってからで、アホのように買うようになったのは大学生、社会人になってから。BL小説はもっと遅くて、きちんと読んだのは大学生になってからでした。本来なら高校生の頃にもっと深い世界に行きそうだけど、この時期は部活一色の生活を送っていたので、一番「オタク」から遠い日々でした。
BLに染まるまでは紆余曲折あったようで実は求めている物の根底は同じだったのだけど、とにかく私はエロ、倒錯、変態が昔から好きだったわけです。そして性質が悪いことに「独りでこっそり」という背徳感そのものが好きで、趣味に関しても閉じがちな自分の性格は、あの頃に培われたんだなーと思うのです。
ああ、爽やかな表紙でも見て気持ちを切り替えよう。
長野まゆみの『新学期』がついに文庫化されました。
singakki.jpg
17歳も年上の兄・朋彦に引き取られることになった史生。兄が教師を勤める学校に転校した彼は、そこで朋彦を慕う二人の少年に、少々手荒な歓迎を受ける。朋彦を自分だけの兄にしたいのだという彼らに、次第に史生は心を通わせるようになって…限られた時を生きる十四歳の少年たちの心の交流を描いた、感動の名作。

今夜、ぼくだけの兄になって呉れますか

単行本の帯の言葉です。なんて美しい言葉、そして、なんて乙女心(その当時は)をざわつかせる言葉なのだろう―と、幼い私が思ったかは知らないけど、この言葉は素晴らしい。今口に出しても色あせない。それに対して文庫の帯の言葉はちょっと今風になっています。ちょっと不満です。
読み返すのは10年ぶりぐらいでしょうか。なぜか微妙に緊張しつつ読んだのですが・・・結構あからさまな表現を使っていましたのね!友情と愛情の間で惑う少年達の、美しく儚い、しかし生の強さも感じさせる名作だと記憶していてその印象は揺るぎませんでしたけど、これは思春期の私がノックアウトされるわけだよ。
彼らの間にあるのは「愛情」であり、確かに「恋情」でもあったと思うのだ。思春期の青臭さも残しつつも硬質な美しさを備えた彼らは、間違い無く私の趣味の原点だ。私は彼らになりたかったわけではない。彼らと恋愛したかったわけでもない。ただ、密やかに見ていたかったのだ。
長野まゆみは決して読者が立ち入ることの出来ない舞台を上映し続けているのかもしれない。
私は今も観客として、舞台の角からその様を眺めつづけて感嘆の溜息をつくのだ。


ちょっと語ってみました。長野まゆみへのあれこれは以前も長々と書いたので気が済んでいますが、入口が彼女だったことは、私にとって幸いなことだと思います。図書館の本を片っ端から手にしていたあの頃、結構イタイ中学時代でしたが本はやっぱり私の救いでしたもの。
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「少年アリス」

aricu.jpg
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結局のところ私の趣味嗜好の原点なんだと思います。
長野まゆみの少年愛的な世界を知らなければ、私はこういった趣味にならなかったような気もするし、遅かれ早かれ出会う作家ではあっただろうけど意味合いが少し違っていたかもしれません。

ただ私はこのブログで長野まゆみについて触れるのを躊躇するぐらい、長野まゆみと「JUNE(BL)」は似て非なるものだと思っているし、望んでいました。作家の変化と成長を読者である私は受け入れるか読まなくなるかしかないわけですが、長野まゆみはずっと読み続けてしまいそうです。
『少年アリス』の改造版が刊行されたこの機会にちょっと吐き出してみようかなーと思いました。

現在の純粋なファンの方に読まれるのは多少心苦しい点があるのでたたみます。

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