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「君によりにし」(木下けい子)

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父の葬儀の夜、大学生の大和は印象的な男と出会う。彼は名乗ることなく、気になる言葉を残していった。「息子さんですか、よく似ていらっしゃいますね」と。数日後、大和は思いがけず彼と再会を果たすのだが・・・。月明かりの下、ひそやかに恋が始まる―

喪服の女は美しいといいますが(事実その通りだと思います)、喪服の男も美しいですよね。
正月早々不謹慎な話で申し訳ない感じですけど、木下けい子の『君によりにし』を読んでそう思いました。木下先生の繊細で淡い描写はときに物足りなくもあるのですが、気分的にハマるときはすごく好きです。多くを語ることなくその場の雰囲気で話を運ぶ方法は木下先生ならでは。
文学部に籍を置いていた身としては、「文学部の教授と助手」というアイテムはどうにも頂けない部分があるのですが(笑)、葬儀で出会う―というプロローグにやられました。声が似ているから身代わりで、という展開はありがちだけど、実際そんなものなのかもしれないという不思議なリアリティがあるんですよね。視線と視線が絡み合って、緊張した呼吸の一音まで聞こえてきそうな静謐な画。日本家屋と畳の部屋にもエロスを感じます。葬儀って、喪失の穴を埋めようという力が働いて、そこはかとなく「生」や「性」の匂いもするように思うのです。そういう独特な空気が出ていて、木下作品に中では一番好きですね。気持がいつ傾いたのかも明確にしない曖昧さがいい。
「雰囲気物」というとあまり良い意味に聞こえませんが、木下先生のこの漫画はとても素敵で、過剰な装飾が一切ない作りは貴重だと思います。だから最後の慌ただしい展開が少し心残りかなーと。
同時収録の再会物も楽しめました。個人的には再会物よりも、ひたすら隣にいる人を想って10年という執着じみた片思いの話の方が好きですが。再会物って、なんとなく「いいとこ取り」な感じがしてしまうのですよ。大きくなって分別が付けば付くほど噛み合わなくなることもあるはず、とかね。まあそんなん言ったらBLも恋も始まりませんが(笑)
木下作品はコミカルなものよりも、とことんセンシティブなものの方が私には合うようです。いつも思いますが、木下先生の淡い色彩の表紙は本当美しいですね。椿の紅が綺麗。おススメです。
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