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「普通のひと」

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コンビニのおにぎりなら『赤飯』。それがマイルールの花島光也は、ある夜、最後のひとつの赤飯おにぎりを見知らぬ男から譲ってもらった。『お洒落』よりも『誠実』という表現が似合う、でも、どこにでもいるような男だ。数日後、編集経験があると偽って入った出版社で光也はその男、的場宗憲と再会するのだが!?普通に生きてきたはずが、恋した相手が同性だったら?臆病な大人たちに贈る、思わず恋がしたくなる物語!『普通の男』『普通の恋』に書き下ろし『普通のオジサン』も収録。

久しぶりに「ノンケ×ノンケの話を読んでいる」と思い、感想&本棚を見返してみたのだけど・・・ノンケ×ノンケの話って実は少ない?私の嗜好が偏っているの?一方がゲイorバイ(突発的な男性経験が過去にあり)設定の話が多い中で、ここまで完全なノンケ二人が恋に落ちる話というのは逆に珍しいのかもしれない。おかしいな、BLなのに。『魚住くん』と同じレーベルから出版していた榎田さんの絶版本ということで、とても楽しみにしていました。が、ここまで業界事情てんこもりの話だとは・・・。お陰で余計なことをいっぱい考えてしまいましたよ。

本当に出版業界の流通事情というのは遅れている&超適当もいいところでして、読みながら何度も深々と頷いてしまいました。昔は「取り寄せ」に二週間?いや、今も版元によっては余裕で1ケ月かかりますって。ヒドイところだと注文受けた商品を出庫し忘れていましたとかもある。客に乱丁落丁本を投げつけられたことだってあるし、入荷の遅い本について文句を言われたことは数えきれない。とにかく出版社&取次の不手際というのは書店にダイレクトに被害がくるわけよ。あと、私はあんまり営業に優しくない書店員ですが、それなりの理由があるの。毎回毎回同じ注文書の同じタイトルを「置いていただけませんか?」と営業しに来られても困るわけ。そんなに良い本なら他店の実績を表にして持ってくるぐらいしてよ。「3冊でいいので・・・」って、棚に差しても平積にしても困る冊数の提案をしてくるなー。その前に大前提としてレジの前に立たないでよ!接客中だってば。
ああっ、ただの営業へのグチになってしまう。
だから、的場のような人はとても良い営業さんなのです。周辺の競合店情報から、うちの店の客層分析、売れる本は他社でもおススメしてくれるというね。たまにいらっしゃるんですよ。そういう営業さんは信頼して棚作りの手伝いまでしてもらいますって内容に全然関係ないですね。

「普通」への宣戦布告。物語を飛び出た榎田さんの主張を勝手に感じましたけど、どうだろう。
ここまで二人が「普通の男」だと、榎田さんの力をもってしても「そんな簡単にはいかないかなぁ」というのが実は正直な感想なんです。当然あるはずの葛藤が省かれた話が多い中で、「大人になってから突然同性、しかもノンケの人を好きになったら」が主題なわけで、恋愛の名のもとに超えてしまう壁は人それぞれだと思うけど、トラウマに頼るわけでもない真っ当な二人の性格ではどうにも想像が難しかった。お互いノンケで女性も普通に好きというのがなんとも。こんなふうに言うとマイノリティーには「理由」があると思いたい自分に気が付いて心底嫌なんですけどね。所詮は狭い世界で生きていることを痛感します。
でもそれこそが、榎田さんの挑戦に感じました。
「普通ってなーに?BLで普通の人を書くと普通じゃなくなってしまう?」と。
榎田さんをそんな穿った眼で見てはいけないかしら?しかしどうにも試されている気がしてしまったのでした。あと、木下さんの挿絵のイメージで勝手に思い込んでいたのですが、決してセンシティブな話ではないですね。真面目だけどコミカル。山田ユギさんの挿絵でゲイバーのやり取りが浮かびました。予想外に純粋に楽しめなかったのですが、榎田さんだから面白いですし、愛やら恋やらはいっぱいです!

余談ですが同時に『恋愛犯』(凪良ゆう)、ストーカー攻め記憶喪失妄執愛ものという「そんな無茶な」という話を読んでいて、こっちの方には「有りだな」と思ってしまった自分に笑いました。
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