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「惑溺趣味」明治カナ子

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「ぼくの愛人にならないか」 ある日、資産家の続木に愛人としてスカウトされた苦学生の荻。身体を重ねる度に「好き」の気持ちが溢れ出そうになる荻だが、疎まれるのが怖くて、続木に想いを伝えられずにいた・・・。

待望の1冊、やっぱり明治作品は別格に好きです。信者といっても過言ではないわ。
この表紙がまたおじさんの不気味さと青年の遠慮がちな視線が二人の関係をよく物語っていて素晴らしい。ちょっとマグリットみたいな不思議な雰囲気があって好きです。

ご本人も仰る通り「おじさん趣味」全開の1冊でした。『甘い針』から2作目の短編集ですが、ひとつ除いて後はすべておじさんが相手(主役)。明治さんのおじさんというのは、第一に「気持ちが悪い」のです。全然かっこよくもなければ素敵でもない。包容力と資産は多少あるものの、精力的には自信がない。枯れても脂が乗ってもいない、なんとも「おじさん」なおじさんなのです。こうした作品を私が楽しめるのは、やはり明治作品の魅力を「キャラクター」ではなく「物語性(関係性)」に感じている為だと思います。何度も書いている気がするけれど、これだけ好きな気持ちが大きい明治作品ですが、登場人物のキャラクターに萌えたことは少ないですからね。おじさんと青年の図が「老人と少女」や「青年と猫」のように、どこか前提として完全には相通じることのない二者を描いているようだと強く感じました。明治さんは「おじさん」が好きなのと同時に、「おじさん」に翻弄される青年(少年)がとても好きなんだろうなー。どこまでも青年達にとっては得体が知れない「おじさん」ですが、読み手にとっても結構ぎりぎりの感情でしか伝わってこないのが面白いというか・・・パワーバランスの転換が起こらない、「おじさん」の気持ちは藪の中風な作りが好きです。溺れるだけ溺れて立ち位置が見えない青年の状況と「惑溺」という言葉がぴったりで、これまた素敵なんだ。


以下、各題の感想です。
他作品のタイトルとか出てきて不親切極まりない感じですが、よければどぞ。

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「二十六年目の恋人」高尾理一

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「君の初めてを、私がもらうんだ」凡庸な社員の瑞貴は、実は25歳で『童貞』の絶滅危惧種。そんな瑞貴の想い人は、社長の日下部。憧れの日下部に、童貞だとバレてショックを受けるが、気づけば薄桃色の乳首を何故か弄られるハメに!!本当の快楽を知らない瑞貴の躰を征服せんと熱心に誘う日下部は、瑞貴の思いのほか淫らな躰にのめり込むが、イマイチ気持ちの相互理解が得られてないようで??そんなコミカルチェリーボーイラブ。

小説を読んで文字通り大爆笑したのは何年ぶりだろう。
通勤電車内で読み始めたのですが、間髪置かずに繰り出される笑いの爆弾に完敗しました。駅のホームで周りに人がいないのを確かめて一人声を出して笑った私は、かなり危ない人でしたとも。
これは、もうスッゴイです。どんだけスッゴイかって上手く伝えられないのがもどかしいですが、鉄板で「一読必笑」本であることは間違いないと思います!BL的萌えなんて吹っ飛ばして、ひたすら、ひたすら受けのバカ発言に笑い転げた(心象風景)1冊でございました。コメディ万歳!!

一体何回「童貞」って言えば気が済むのよ、この子は!?

途中でそんな突っ込みを真剣に入れてしまうぐらい受けの「童貞」単語連発に笑いましたし、豊か過ぎる「妄想力」から繰り出される驚愕の妄想に更に笑いましたし、26歳男子としてあるまじき「天然ボケ」炸裂発言にも更に更に笑いました!要するに、全編通して見事に笑いっぱなしだったのです。

あまりの可笑しさに、帰りに腐仲間のバイトちゃんに押しつけてしまったぐらいです(笑)。彼女は会う頻度でいえば今のところ一番身近な腐女子です。十代の頃にコミケで「壁(大手サークル)」だったというツワモノです。趣味と傾向がほぼ真逆なので(彼女は可愛い受け好きのツンデレ嫌い)普段はあまり商業作品の話をしないのですが、「とにかく読んでみて」と渡したところ、数日後「笑い過ぎて死ぬかと思いました」との返答が。御世辞なんかじゃありませんよ!本当にめちゃくちゃ笑えます。

普段からコメディやトンチキとはあまり縁がないので、こういった爆笑作品に出会うと何をどう説明すれば良いのかよくわからないのですが、好きな人に食事に誘われて「好きな食べ物は?」と聞かれて「ウィンナーです!」と元気よく答えるような26歳の話といいますか・・・とにかくぶっ飛んでいます。
大変無責任な発言ですが、落ち込んだ時に読むと多少は浮上するのではないでしょうか。そのぐらいの威力はあるように思いますよ、はい。


「童貞問題」は昔から私のツボです。その昔、学生の頃に伊集院光&みうらじゅん著の『D.T.』という丸々一冊「童貞本」を購入して、数度の引っ越しを経た現在も本棚の奥に大切に眠っています。童貞であることは、男にとってはそれはそれは重大な問題なんだわね~と、なぜか「ざまーみろ」的な感じで読んでいた当時の私の精神状態が不安ですが、それは置いても面白い一冊でした。あとは西炯子先生経由で知ったみうらじゅんの言葉で、「自慰が早くて初体験が遅い男はクリエイターに向いている」というものがあるのですが、男にとっていかにこの「妄想力」や「劣等感」「女体への欲望云々」がクリエイティブ(?)なパワーに転がるか伝わってくる素晴らしい言葉だなと思いましたね。実際はどうか知りませんが。
現実問題での「童貞」には、私は特に良いも悪いもないと思います。昔からそのような悩みを聞くにつけ、「男は風俗があるからいいじゃないか」と思っていた女でした。知り合いで「風俗は嫌だ」という男がいて「じゃあ、待つしかないじゃない」と至極当然の発言をして場を白けさせた記憶があります。なんだかんだで「卑屈」さに萎える女性は多いので、堂々としていれば良いと思います。無茶を言っていますか、すみません。
BL的な「童貞」はハッキリ言って好きです。少女漫画の影響なのか、オンリーワン主義な部分が私の中にも強くありますからね。受けの童貞は何歳までだって許せますし、攻めの童貞だって全然OK。そういえば瑞貴は「真の意味では、生涯童貞」という文に「なるほど!」と目から鱗でした。セックスはしても本来の使い方をされていないわけですからね、そういう考え方かと驚きました。最近読んだ『ナルシストの憂鬱』の攻めも30過ぎて童貞でしたね。でも全然気にならなかった。精神的にはいっそ「受け」だったからかな。BLの受け攻めは「挿入する側される側」という、現実の男女の役割に沿った分け方ですが、同じ男なんだからどちらが挿入してもされても本当はいいんじゃないかと思うことがたまにあります。「リバ」を推奨しているとも違うのですが・・・。「セックス」をしていることに変わりはないですから。よくわからないですね。とにかく、童貞の受けを優しく手ほどきする攻めの図も、童貞の攻めに乗っかる受けの図も大好きです。


姫野先生のこと

今月の「婦人公論」に姫野カオルコ先生の記事が載りました。

好きな作家というのは不思議なもので、普段は頭の片隅にちょこっとしかないのにふとした瞬間に甦ることがあります。ま、雑誌の広告読むのも仕事なので偶然目にしたというのが大きいのですが。大体熱烈なファンならコラム情報一つ洩らさずにチェックするだろうし、ファンサイトやブログのチェックも怠らないだろうさ。そこは当社比の「好き」ということでお願いします。
昨年は文庫化が続いていたのと、近年の著作には熱烈に好きと云える程の気持ちを持っていなかったこともあり、「新刊が長いこと出ていない」事実にすら気が付いていませんでした。いや、気が付いてはいたんだけど漠然と「書くのを止めたのかな」と思っていた。というのも姫野先生は明らかに問題意識を持って作品を発表し続けていた方で、でもその問題のあり方が「ツ、イ、ラ、ク」を境に昇華してしまったようなことをインタビューで読んだからなんですね。書くことに意味がなくなってしまったのかなと。


BLでも一般書感想でもない雑文です。
不勉強な人間が吐きだしていることなので、興味のある方だけどうぞー。





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「生徒会長に忠告」門地かおり

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実家から「生徒会長に忠告」の3巻を持ち帰ってきました。
3巻発売日に丁度帰省中で買ったものの、「登場人物が多すぎる!わからん!」(バカですとも)と半ば放置したっきりになっていたのです。私門地さんの漫画、ビブロス時代のを全部持っているぐらいには好きだったんだよな。今も新作出たら絶対に読むんだけど、萌えの方向性が微妙にズレているというか・・・ハッキリ言うと、門地さんの漫画は怖いんだよ。「生徒会長」もあんなバカラブな話のくせに、一筋縄ではいかない腹黒人物がウヨウヨいて、壊れた人を描かせたら本当に心の底から怖い漫画家さんだと思う。たぶん昔読んだシリアス漫画の印象が強すぎるんだな。ラブコメとシリアスの振り幅が激しいというよりも、ラブコメの中にもシリアスの暗さがたまーに垣間見えてしまうような漫画を描く人だと私は勝手に思っています。エロイけど怖いです。

結局3巻を読んでも人物の関係や繋がりがよくわからんままだったのですが(本当バカ)、ようやく4巻を買いました!そしたら人物相関図がついてたよ。きっと私の他にもわからなかった人がいたのね(笑)内容は・・・ああ、ほらね!?何この明と暗の落差は!?同じ漫画の中でやることか!?というぐらい「知賀&国斉」のラブラブラブラブっぷりと「山城&川和」の暗黒世界っぷりたらないですよ。私はもちろん山城サイドの方が気になります!だって、知賀達なんて最初っから出来上がってるようなものだったし。しかし山城はこれは展開上無理だろう。いやこれBLだから、と頭ではわかっていても絶対に「無理」な気がする。怖すぎるもの。でも門地さんのシリアス漫画は壊れ気味の攻めを見捨てなかったりするからなー。どうなるのだろう・・・。

あらすじすっとばして言いたいことだけいってますね。
でもあらすじは、天然フェロモン系高校生徒会長国斉と後輩のイケメン男知賀の、お互いが好きなのに気持ちを伝える前に身体だけ繋がってしまってどうしようというラブラブラブラブな話、としか説明のしようがない。だから、無駄に怖すぎる周囲の人たちに私の心がどう対応していいのかわからないんだよ!山城と川和は、国斉達の部活(柔道部)のOBです。彼等は幼なじみで、山城が川和に並々ならぬ執着を持っていて、川和は山城が怖くて仕方がないという関係の二人。
ちなみに数多くいる登場人物の中で私が最も好きなのは苦労症タイプでほぼ唯一の普通人近藤君です。ストーカー君(名前調べる気もない)とくっつくのか。それこそないか。彼が出てくるとホワンと和みます。

まあ話の中身は置いておいて、4巻はビックリするぐらいとにかく長かった。小説はほぼ初心者ですが、BL漫画に関してはかなりの数読み散らかしている私が言います。本当に「長かった」です。何がって、いたしているシーンが。いやー、しみじみとエロは技術だね!門地さんのエロは本当にエロい。ただ私は知賀と国斉の痴話話にあまり興味がなかったので、すごく感動的な告白場面&H場面だったのだけど、そんなにキュンとはならなかった。ああ、門地さんのキャラクター設定に萌えないのも方向性が違うと感じる理由のひとつだろうな。
それでもラブラブでエロ可愛い漫画には間違いありません。多少の暗さや鬱傾向もあってカオス状態になっていますが、5巻は発売したらすぐに買いたいと思います。山城達の続きが気になるもの。



*最近過去の感想文に拍手を頂きとても喜んでいます!
 ありがとうございます!




「ファンタジウム④」杉本亜未

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私は漫画や小説に出てくる子供をめったに「かわいい」とは思わないのですが、良君はもう別格というか、マイベスト「可愛い」子供と言っても過言ではない。そんなこと良君本人が知ったら立腹するだろうけど、彼の放って置けない感はただ事ではないと思う。おじさんの気持ちが本当わかる。側について見守りつつも絶対に良の荷物にはならないと決めているおじさん。あと、良の可能性を信じて手放す両親。彼は周囲の大人の思惑のいつも斜め上あたりを真っ直ぐ真っ直ぐ進んでいて、そこに大人たちは何かを期待して夢見ずにはいられないんだよね。手品の才能と併せてそれだけでは終わらない彼の魅力って、精神年齢がとても大人なことなんだと思う。「とっちゃん坊や」というか、早く色んなことを考えて成熟せざるを得なかった達観した感じ。でもどこか危なくて、何かあれば崩れてしまうのではないかと思わされるちょっとした弱さ。彼が成熟を早めた理由はもちろん彼の障害に寄るのだけど、難読症という克服が難しい(らしいです。不勉強なので知りませんでした)障害をもってきて、やっぱりそのことは4巻でも彼を苦しませる。「字が読めないぐらいたいしたことはない」というタレント事務所の人の言葉に当然傷付くし、自分が攻略した金庫を製造したメーカーが被った風評被害についても、新聞が読めないから人から聞かされて知ることになる。世界は「文字情報」に溢れていることに改めて気が付きますね。彼は読書をしたことがないわけで・・・冒頭おじさんがおとぎ話を良に読んで聞かせるシーンが心に響きます。
普通の会社員のおじさんには良の手品師としての「仕事」を支えるのには限界があり、4巻では良がついに芸能界入りを決意して、また新たな人たちと出会うことになります。そして金庫破りを縁に出会った鍵作りの名人が、良が行う脱出手品の鍵を作ることになる。良は金庫を破ることで自ら宣戦布告をしてしまったも同然だったわけです。この漫画には鍵名人や手品の師匠といった、日本の技術を支えたお爺ちゃんがいっぱい出てくる。彼らの誇り高さはそのまま世代を超えて良に繋がっていると感じます。一番宙ぶらりんなのがおじさん世代(私と同じ)というのが微妙に切ないところですな。

しかし杉本先生の後書にものすっごい不安なことが。担当者が変わると出版社を去るという伝説を持っているて・・・それは笑えないですよ。打ち切りの可能性ありってことですか?

この漫画の特徴的なことって、実は意外にも手品そのものはあまり描かれていないことだと思うんです。要するにエンターテイメントとしてのカタルシスはほぼ皆無。手品の成功や観客との触れ合いを通して、少しずつ自分を許容していく良の姿に重点を置かれている。そうなると、一体何をクライマックスにもってきて幕を閉じるかは難しいところですよね。良が、子供と大人の中間に立つ危うくて魅力的な人物だからこそ、その魅力を成長とともにどう保つのか。4巻では影が薄くなってしまったおじさんの今後も気になるところです。腐的な見方はあまりしていないけど、やっぱり良とおじさんの微妙な距離がある関係は私のツボです。おじさんは大雑把で割と無神経な大人だけど、良の才能に魅了された「大人」として何をするのが良の為に一番良いのか常に考えている。血のつながりも、なんだったら出会ってから特別濃い関係を結んでもいないおじさんの献身っぷりが素敵です。ずっと良との別れを予感しているおじさん。ああ、おじさんも可愛い人です(笑)
まだ巻数も多くないので手を出しやすいと思います!オススメ!

「ノスタルジア」埜田香

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不眠症の高校生・桧山は毎夜窓の外を見下ろし、夜の町に深い海のような孤独を見ていた。そんなある夜、やはり眠れずに彷徨していた同じ学校の矢鳴に声をかけられる。矢鳴の幼馴染みキューピーさんも加わって、不思議に心地よい日々が始まった。だが、矢鳴はある奇病に罹っていたのだ―羽が生えて四散する肉体。喪った掌の温度、嫌いすぎて触りたい関係―切実な痛みに満ちた、かけがえのない物語。

今市子先生が表紙で三浦しをんが解説で、このあらすじ、そして著者の年齢。
ニアBLだろうと思い、読みたいような読みたくないような感じで放置していたのをようやく読みました。これは、なんだろう?少なくとも表題作は私の予想は完全にとは言い切れないけど、外れたと思う。
ひたすらセンシティブな「青春」の痛みと喪失が描かれていて少々辟易したけど、著者の年齢を鑑みると(そういった考えはよくないと頭では理解しつつ)大した才能だと素直に思いました。綿谷りさの「蹴りたい背中」を読んだ時にも思ったけど、二十歳で「自我」を隠した小説が書けるというだけで私はスゴイと思う。思春期や青春期の延長にまだいるであろう時期に、著者自身の葛藤やらが表面的には見えない、しかもその年代の話を文字にすること。これがファンタジーやミステリーならまだわかるんだよ。でもこの話はファンタジー要素のある「奇病」を話の中心に据えているものの、やっぱり紛れもない「青春小説」に仕上がっているんだよね。そういった意味ではスゴイなと思いました。
が、面白いか?と聞かれれば否定します。
でも、読んだ事を記憶しておきたい本ではありました。

話はあらすじにある通りです。身体の一部が異常に痒くなる症状を発端に、やがて身体のいたる部分に白い羽が生えて、部位ごと飛び立ってしまう奇病。そして完全な消失がやってくる。桧山と矢鳴の出会いから、矢鳴の発症、消失までが非常に淡々とした様子で描かれています。
「青春」に限らず生きているということは、生身の人間を切り捨てて(忘れて)、思い出の中に留める行為の連続ですね。否、思い出にだって留まらない人たちは多い。それでも忘れられない記憶とともにある人はいる。有名な『トーマの心臓』の「人は二度死ぬという まず自己の死 そしてのち 友人に忘れ去られることの死」というモノローグを思い出しました。読んでみても損ではないと思います。



*雑記*
父の日にあわせて(本当は友人の帰省にあわせて)実家に帰ることにしました。さすがにこの時期手ぶらでは帰れないのでプレゼントの日本酒を購入。酒屋のお兄さん(30半ば)がカッコ良くて軽くときめきました。「美しいこと」の寛末を実物化したらあんな感じだわーとオタクくさいことを考えました。ん?寛末はカッコよくないですね。「日高先生の挿絵の」という前置きが入ります。
日本酒、昔はよく飲んだけど最近はビールのみだからな。あの酒屋に行くことは滅多にないと思うとちょっと残念だわー。
そしてそして誘惑に負けて「エロトジvol 2」を購入してしまいました。これは私的にゲイDVD目当てに「JUNE」を購入して以来のエロ本購入です(笑)小説のアンソロは何気に初買いだわ。思えば遠くにきたもんだー。付録のクリアファイルは噂に違わず衝撃的でした。美しいのですが、活用する以前の問題で当然の如く人の目に触れさせられないという。ヘアヌードで衝撃を受けるって、なんだか新鮮でした。だっていつも局部は漫画で見ているわけだし。大体パラ読みしましたが、これは!というエロはないような・・・。短編エロって難しいですね。人物二人の関係性をどこまで描けるかが勝負のようなところもありますし。だったら「獣耳」のように凌辱多めの方がエロいように思いました。すっごく腐った意見で恥ずかしいですが、集団痴漢ネタがあれば私的にはそれ一本で満足だったように感じます。

ああ、こんな文で今日の日記が終わりだなんて(笑)





「言ノ葉ノ花」砂原糖子

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三年前から突然人の心の声が聞こえ始め、以来人間不信気味の余村。ある日彼は、自分に好意を持っているらしい同僚の長谷部の心の声を聞いてしまう。罪悪感を覚えつつも、言葉で、“声”で、一途に注がれる愛情が心地よく、余村も長谷部を好ましく思うようになる。そしてついに長谷部の告白を受け入れるが、余村が心の声を聞けると知った長谷部の反応は意外なものだった…。切なさ200%!!胸に迫るスイートラブ。

先日購入した「15センチメートル未満の恋」を読了して、ファンタジー設定ならばやはり断然こちらの方が好きだわと思い再読した作品です。私はちっとも砂原ファンではない(好きじゃないわけではなく、数を読んでいない)ので何とも言えないのだけど、これよりも好きになる作品は恐らくないんじゃないかなー。「15センチ」は設定や世界観には何の文句もないんですよ。オチも別にあれはあれでOKだと思う。ただね、小人と凌辱プレイを某ネット漫画の影響でセットで考えている腐った私には物足りませんでした(笑)ええ、砂原先生と「凌辱」とか並べていい言葉じゃないですよねー。あと、すごく瑣末なことなんですけど、先生の後書のテンションにはいつも微妙に戸惑う自分がいます。「イロモノ」と何度も言っていたけど、果たしてそうだろか?私には非常に「まとも」に感じられるのだけど。ディアプラス作家の中では確かにエロはしっかりしている方なのかもしれない。でもあのエロで私はあんまりドキドキしないんですよね。エロい、という意味では。恋人達の中睦まじい関係を表現するのに性交描写というのは一番わかりやすいツールであって、それを過不足なく上手に使っていると感じます。

さてさて、ファンタジー設定を活かして真っ当な恋愛を描き切ったと感心した「言ノ葉ノ花」ですが、改めて私この話好きです!「人の心の声が聞こえる」ということはイコール「人の気持ちがわかる」ということなんですね。恋愛するときって、ま、チャレンジャーな方も多いと思いますがやはり「脈アリ」な方に向いやすいと思うのです(違う?)。あの人は私のこと好きだから好きになろう、とは思いませんが、好意的に接してくれる人に心が傾いてしまうのは当然だと思うんですよ。でも、「好意的」が「好意」なのかなんて相手の言葉で確かめないと知りようがないことですよね。余村は特殊な力で紛れもない「好意」を知ってしまう。本音と建前だらけの人間関係の中で、長谷部の感情だけが裏表がなかった。現実は片思いの相手に対する「心の声」だってかなりエゲツナイことになってしまうと思うのですが(自分の品性が疑われそうで嫌ですが)、それでも好きな人への気持ちというのはかなり「美しい」部類に入る感情だと思います。笑顔の裏で浴びせられる罵詈雑言に心が疲弊していた余村は、いけないと思いながらも長谷部と関わるのをやめられない。無口で無骨な男からダダ漏れてくる「好き」の感情に、段々気持ちが傾いていくのです。「人の心の声が聞こえること」を逆手に取って、相手の要望に答える部分がある余村は、長谷部の欲しがるもの(自分)を与えたいとまで思うようになる。絆されるんですね。その過程がファンタジーであるのにすごく説得力があって、恋する人の普遍的心の動きだなーと本当に感心しきりでした。その後、長谷部妹の結婚詐欺事件を通して長谷部に力のことを打ち明けるのですが、常人の長谷部にとっては戸惑いも当然あって、すれ違ってしまったりもするんです。そりゃあ好きな人に自分の下心含めて知られていると思ったら、まともな顔して会うことはできませんよ。ふと生じてしまうかもしれない汚い感情だって伝わってしまうわけで。それでも長谷部は逃げなかったので、余村は本当に良かったなというところで終わったのが本編でした。

しかし、この話の素晴らしいところは続編にあると思います。
現実の声と心の声の両方から攻められるエロシーンの秀逸さもさることながら(3Pみたいと思ったのはここだけの話です)、続編の「言ノ葉ノ星」では余村の力がある日突然なくなるんです。ずっと聞こえていた心の声がパッタリ聞こえなくなり、普通の状態に戻ることになる。
願い続けてきた夢が叶ったと喜ぶ余村ですが、思わぬ弊害が出てくる。
長谷部の気持ちがわからなくなるんですね。
今までは心の声でもって溢れるぐらいの「好き」を感じることができた。でも元来無口な長谷部は気持を表現するのが不得手で、余村はどんどん長谷部の気持ちが信じられなくなって避けようとしてしまう。心の声が聞こえるといっては避け、聞こえないといっては避け、難儀な男だよと思いますがどれもこれもやっぱりすごい説得力がある。伝えようとしなくても伝わっていたから気持ちを「言葉」にして伝えることをしなかった長谷部と、いやでも伝わってきた気持ちに頼って「言葉」にした気持ちを求めてこなかった余村が一度すれ違ってしまうのが痛いぐらいわかってしまう。力がないので不安だと言う余村に長谷部が「あなたがなくしたのは、たぶん力じゃない。人を信じる気持ちです」と叫ぶのですが、その通りだと読んでる側にも納得できて、本当に上手だと思います。

言葉にして相手に気持ちを伝えることの大切さ。超基本中の基本なことですよね。長く居るからといってわかった気になってはいけないと思うのです。一度伝えたからといって、二度三度が必要ないというわけではないのです。人の気持ちなんて、何度も何度も伝えて確認しないと揺らいでしまうような頼りないもので、わかった気になるのは危険だし、伝えることや知る事を諦めてしまっては絶対にいけないと思うんですよ。あー、しみじみと恋愛というか人間関係の基本だ(苦笑)

とにかく面白くてキュンとする良い本です。おススメ!
三池先生の挿絵がまた素敵です。三池先生は漫画よりも挿絵の方が最近は好きだわ。



河内遙2冊 

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この作家さんはそのうち有名になる気がします。
どういった方面でかは未知だけど、BLでもありかもしれない。ずいぶん気合いの入ったデビューっぷりですが(4冊同時刊行、しかも全部違う版元から)それだけの期待はしても良いと思いました。志村貴子や雁須磨子が好きな人は絶対にハマルと思う。乱暴に言ってしまえばそのまま「太田出版系」の本なのですよ。倒錯的で、エロ可愛くて、時々えげつなくてというアノ雰囲気。若い女性の倒錯的な話はあんまり好きじゃない(というわりには結構読んでいるけど)のですが、これはとても面白かったです。作中に「姫野カオルコ」の名前が出てきたときは驚いた!そうそう「女性器をペンネームにしようとした小説家」ね(笑)太田出版系の女の子というのは性的に間違った(アブノーマル)方向に開放されていることが多くて、置いてきぼり感や対岸の火事的な感覚で眺めていることが多いのですが、この話の女の子達にはギリギリ共感めいたものを感じることができました。なんでだろう?全体的に童貞っぽいというか、「妄想力」が逞しい登場人物が多いからかな。

「ケーキを買いに」はケーキ屋の兄妹を狂言回しにした連作短編です。
1話目の「エクレア」は妹(表紙の女の子)が店番の時にエクレアを買いに来る初老男の思い出話です。これが変態チックでいいんだ。男がショーケースの下段にあるエクレアを所望するのは女の子に見上げられたい為なんですよ。男は昔、女の子に似た先輩(男!)と乳繰り合った思い出があって、男はその先輩に本気で恋をしていたんです。が、先輩は誰とでも同じことをするような人だったという切ない思い出。先輩に特別な感情があったのかは誰にもわからず、でも男はその思い出を大切にして生きている。女の子の見上げた顔は、先輩のフェラ顔に似ていたんですね。
そういった妄想って日常には溢れていると思うの。道端ですれ違った男を「受けくさい顔だなー」と瞬間的に思うのと何ら変わらんよ。(自分は変態だと公言しているようですが、事実その通りだし。でも変態じゃない人なんていないだろう、いたらつまらん)
それだけの話ですが、充分堪能しました。面白い!と素直に思いました。
しかし初手から同性愛風を匂わされたら、後の話が霞むかなーと心配したのです。でもでも、後の話も面白いんだよ!
「スポンジ」は恋人に殴られたい女の子の話。素面の恋人(ケーキ屋兄)は絶対に手を上げたりしないから、あの手この手で恋人を酔わせて殴られようとする。でも男だって殴りたくないから挑発されても抵抗すると。サドマゾっぽい話です。それだけで充分好きだけど、抵抗する男がすっごく可愛くてツボでした。
「スイートポテト」はお見舞いに行った先でクラスメートのオナニーを見ることになる少女の話。ちょっと百合っぽい雰囲気です。姫野カオルコが出てきたのはこの話。北欧系ハーフのクラスメートの国籍に何となく納得です。
「シュークリーム」は厭味な感じの眼鏡男子が太め女子に翻弄される話です。「デブデブ」と罵っておきながら、最終的には負けっぱなしという一人相撲状態が好きです。この眼鏡男子の話は今も連載中らしい!単行本になったら絶対に買わなければ。妄想して妄想して結局残念な結果になるイケメンという図は美味しいですね。
「チェリーパイ」はケーキ屋妹が付き合いだした先輩の「アレ」をとにかく見たくて―という話。
こんな説明ですが収録作中一番好きです(笑)


BLもありとは「へび苺の缶詰」を読んだから言えるのでした。
「へび苺」は「別冊コーラス」が「女人禁制」と銘打って「BL風」を狙い大失敗した(と思う)号に掲載されていた作品です。奥付で知りました。それを知ってしまうと微妙にガッカリなのですが、が、「へび苺」は良いのですよ。プロット的にはどこかで読んだような話ですが、それでも魅力的でした。本腰入れたBLを読んでみたいぐらい。しかし「BL」ってわざわざ名乗らなくてもいいじゃんか。男が男を想う話でいいじゃんか。そういう私も「BL」って使ってしまうけどさ。なんか違和感があります。
「ヘび苺」は収録されている長編「空の箱庭」のスピン作品という位置づけです。「空の箱庭」はエキセントリックな女に振り回される男と彼女の友人の話。悪くないけど、ちょっと物足りなかった。

というわけで先に読むなら「ケーキを買いに」を断然おススメします。


漫画まとめて感想

reopa.jpg「レオパード白書1」扇ゆずは

先月末の怒涛の大型新刊ラッシュの中、実は一番楽しみにしていたのがこれでした(笑)
「Dear+」といえば『生徒会長』だったのに、3巻からどうにも読むのがしんどくなってしまって・・・元々門地さんの漫画は可愛いのも痛いのも私の萌とはちょっとズレているのですよ。でもこのまま読まなくなるのも残念なので、元気な時に絶対読みます!
金と権力と容姿と頭脳と・・・そんな全てを兼ね備えた「絶対王者=超攻め」に落とされるホストの話です。明るいコメディータッチで、たぶんこの関係はある種の「BL的王道」なのでしょうね。ここまで徹底したエリートが攻める話をほっとんど読んだことがないので逆に新鮮だった。うん、普通に面白かったです。エロもエロくてサービス精神あふれる感じが好感持てました(エロを褒めるのに好感とかいう違和感よ)。エロシーンを「魅せる」ことが出来る漫画家さんって実はあまり多くないかも。それでいうと門地さんのエロなんて文句なしに良いのですけどね!それにしても創刊した頃に比べて「Dear+」もずいぶん大人向けになったよ。藍川先生の『純情エレキテル』が載っているような本だったのに。そしてソフト路線も忘れていない誌面構成が上手ですね。兄貴分の「Wings」よりも余程色々しっかりしている気がしますよ・・・。

tubakibiyori.jpg「椿びより」イシノアヤ

茜新社の「EDGE」を読んでいた頃に知った作家さんです。シンプルな線でバッドエンド話ばかりを描く印象でしたが(思い違い?)、こーんな可愛らしいファンタジックな話も描く人だったなんて。おっとり天然草食系男子椿くんと、父子家庭のパパである元同級生とその子供とのほのぼのした日常のひとこま連作です。淡い気持ちを辛うじて椿くんが認識しているぐらいで、ちっともBLではないのだけど結構好きです。椿くんのような男の子は正直苦手だけど、元同級生の青年が普通にカッコよくて大変素敵でした。「子どもと父親」という図は現実でも見ていて本当に心が和みます。椿くんの日常のあれこれはどうでもいい!と思ってしまうぐらい彼の姿の方が見ていたかった(笑)。「幕間漫画」というんですかね。日曜日の新聞に同じような雰囲気で毎週掲載されている漫画。そんな雰囲気の漫画です。

oomaji.jpg「大本気。」鹿乃しうこ

やっぱり「鳶シリーズ」は最高だよ!!
「生意気。」「可愛気。」「大人気。」と萌に萌えてきましたが、シリーズきっての人気キャラ(だよね?)である中野さんに前作で無体を働いた迅が主役です。私は一番最初の「一八」も好きなんだけど、やっぱり中野さんの色気とツンツンデレっぷりには誰も敵うわけはないと思っていたのよ。しかーし、そこは鹿乃先生だよね。さすがだよ。嫌われ者の迅がだんだん可愛く思えてきて、気がつけば胸がキュンとなる展開に夢中でした。迅が受けだろうと想像はしていたのですが、読み始めてしばらくは不安でしたね。これで歯科医先生が受けだったら全然萌えないよ~と思っていたので。身長差がかなりあるCPというのも新鮮でした(先生の方が低い)。鹿乃先生ってセンシティブが本当に似合わない方だと思います。とにかくみんなフィジカルな欲望に正直で、悩んでも苦しんでも明るい感じがする。暗めの話も好きですが、鹿乃先生は明るい話を読み続けたいです。あと、女の子が可愛くてグラマーで無駄にドキッとします(笑)。シリーズ初の続刊、つづきが楽しみ~


*雑記*
今日は皮膚科(まだ通っている)と眼科に行きました。今の街にもう5年近く住んでいるにも関わらず、ずーっとコンタクトレンズを買うためだけに電車で30分の大きな街まで出掛けていたんです。駅前にお店があるというのに。一体どんなこだわりがあったんだと考えても、特に何もなかったんですよね。強いて言えば、ついでにデパ地下に寄れるからぐらい。あっさりと鞍替えしましたが、どうしてもっと早くしなかったのか不思議。交通費諸々考えても絶対に損していたのに。思い込みというか、臨機応変に出来ないというか・・・美容院も一度の浮気もせずに同じ店に通い続けているし、我ながら面白みのない人間だと思います。お茶する喫茶店もいつも同じだ。頼むものも同じかもしれない。
次の次の次ぐらいの休みには『いけちゃんとぼく』を観ているはず。

「チョコレートのように」ひちわゆか

そろそろ小説家別カテゴリを作っても良い気がしてきました。

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「死ぬくらいなら、そのカラダ、俺によこせ」。―信頼していた同僚に裏切られた京一に、橋の上で声をかけてきたのは、印象的な声をした謎の男・梶本だった。同僚への復讐に手を貸すというその男は、京一を強引な手腕で変身させ、これまで知らなかった強烈な『快楽』で蕩かしていくが…。その後のラブラブな2人を描いた書き下ろしも収録。

この小説も再読です。実は文庫が出た時に『キャンディ』と勘違いして購入しまして、読んですぐに「ちがーう!」とショックを受けたのでした。そろそろ『キャンディ』も新装版になる予感がしますが、私はあの乳首調教BLが大好きだったのですよ。そんなわけであまり気合いを入れずに流して読んだ為、ほとんど初読みに近い状態での再読となりました。
面白いですよ!エンターテイメントとして本当に素晴らしいと思います!梶本の正体とか復讐の内容とか、「おいおい!」という強引な展開もテンポの良さに押されて全然気になりませんでした。ひちわ先生の俺様攻めは『最悪』の有堂に惚れましたが、この梶本もなかなか近いものがある男前でした。

と、普通に「面白かった」で終わっても良かったのですが、私はどーしてもひとつ引っかかる事がありまして、それは私の趣味嗜好(思考)に結構関係があることのように感じたので吐き出します。
「プリティ・ウーマン」は好きですか?と誰にも聞かれたことはありませんが(笑)、私はあの映画が好きではありません。愛によって得たとしても男の金で良い服を着て、高い地位を得て、満足そうに笑う主人公がどうにも美しいとは思えなかったのです。あれは「玉の輿」というよりも「愛人契約」に近い関係に思えてならない。そもそも私は金持ちのエリートという「記号」が好きではないので、進んでエリート攻めの話を読もうとは思っていないんです。避ける程でもないあたりが半端ですが、BLはエリートが多いので避けていたらキリがない。何が言いたいかと申しますと、大の男が大の男に高価な服を買い与えるという図に、思いの外拒否反応が出ました。恋人ならば、まあ問題はなかったかもしれない。でも梶本は自分好みに変えるために(結果としてはもちろん京一にとって公私ともに良い方に転がりますが)、目が飛び出るような価格の服を与えるんですね。当然京一は反発して突き返しますが、結局は手持ちの服を処分されて着ざるを得なくなる。このエピソードに私がう~むとなったのは、男と男の対等な関係を求めて男同士の恋愛話を読んでいるのに、「金」で「物」を与えるという力関係は明らかに京一を侮っていて不快だったのだと思います。そんなこと言ったら「借金のかたに性奴隷―」みたいなテンプレはどうなるのだって感じですが、元より対等でない関係ならば別にいいのです。また京一は中途半端にダメな奴なんだけど、あそこまでされる程に落ちぶれてはいないと思ったからですかね。愛想なくても仕事は有能ですからね。ま、「自殺未遂(?)」という大義名分(梶本にとっての)があるので、あそこまでされても仕方がないような気がしますけど。
いや、ラブラブだしエロいし本当に面白いのですが、どうしても気になってしまったので。

「玉の輿が嫌」とか、「対等な関係」とか、私は自分で思っていたよりも強くこういうことを考えているんだなーと感じました。あんまり考えたくないんですけどね、フェミっぽいことは。眉間に皺が寄るだけなので。

「ナルシストの憂鬱」西江彩夏

お洒落フレンチに負けない為にもBLを!というわけのわからない気合いから出掛けの供に選んだ作品です。これがすっごく面白かった!あちこちのブログ様で評判がいいなーと思っていたのですが、攻めが「クレーマー」、受けが「家電量販店店員」という部分に引っかかりを感じ(サービス業なものでクレーム客には良い感情がありません)手を出すのを躊躇していたのです。
もう一気読みでした!しかし一番良い場面で待ち合わせ時間になってしまい、しかも改札で立ち読みしていたら友人達がいつの間にか目の前に居たという。恥ずかしい!

narusisuto.jpg
「絶対に恋になんかならない!」精悍で色男、職業・司法書士。だけど性格は、自意識過剰なナルシスト。藤中にとって山田は、外見だけは好みな尊大で横暴な隣人だ。しかも初めて出会って以来、お人好しで面倒見の良さが災いしてか、なぜか山田の世話を焼くはめになってしまう。さんざん山田に振り回されげんなりしていた藤中だが、二人の距離が縮むたびに、山田の素直で嘘を言わない真摯な言葉に心がときめいて…。

最初は単純に傍若無人のジャイアニズム全開男山田と、お人好しで日和見主義のクレーム処理員藤中のやり取りと対比が面白いと思って読んでいたのですが、山田の超難ありな性格の背景が出てきたあたりから、印象がガラっと私の中で変わりました。これはすごく、すごく切実な問題を孕んだお話だと思います。その切実さと、一見して戸惑う様な問題の在処も含めて、とにかく私好みのセンシティブな話でした。センシティブでプラトニックなんて、結構珍しい話だと思います。
山田は恋愛(セックス)が出来ないんです。その理由が最初は「本当に愛した結婚を考える人とだけする為」とあって、まあ変わった男の価値観だからと藤中同様に私も思っただけでした。そういった幻想(?)は小学生の頃は当然だと思っていたし、今現在私の近くにそういった考えを通している人というのは見受けられませんが、居たとしても変ではない。
でも、山田の抱えている問題はもっと根が深かったんだよ。「ナルシスト」という言葉は言いえて妙というか、正確なんだけどちょっとズレているような、でもその通りだなという良い言葉だと思います。山田はとにかく自分を晒すのが怖いんですよ。怖くてたまらないの。だから、恋愛が出来ない。セックスが出来ない。恋愛なんて自分を晒す行為の最たるものでしょう。セックスなんて未知の世界の時はあんだけ怖ろしくて恥ずかしくて仕方がないものはないって感じでしょう。そういった葛藤というのはもちろん30にもなる大人の男が抱えるものではないと一般的にはされている。でも山田は抱えてしまっていたんだよ。藤中のことが好きなのに、恋愛が怖いのね。乙女のような悩みと葛藤というとなんだか滑稽だけど、出会って恋してエッチして―という恋愛小説の手順を当然のこととして消費していた私は、山田の抱える葛藤に若かりし頃の自分の葛藤を重ねましたよ。他人に自分を晒す行為とは、本当に恐ろしいものであったんだよなと。そして、その問題を抱えたのが「攻め」側というのがこの話の面白いところだなと思いました。恥じらいの乙女は女の子の役割(特権?)であって、本来ならBL的には「受け」側の役割なんですよ、たぶん。お姫様が優しい王子様に懐柔されて心も身体も開いてゆくというのが一連のロマンスでしょう。でも王子様になりきれない男の人だってきっといっぱいいるわけで、男の人に半ば強制的に押し付けられる「役割」のようなものについてまで考えてしまいました。
山田のような人にはもしかしたら、藤中のように優しく他人に合わせがちな人は向かないのかもしれません。もちろん藤中の優しさと忍耐がなければ山田が彼に惚れることはなかったのだけど、二人でグルグルになっている様子には「似た者同士」特有の袋小路を感じて切なくなりました。似た者同士というと語弊があるけど、身動きが取れなくなってしまった状況と、その状況を打破することが出来なかった二人それぞれの思いやりを考えると、山田と藤中はまったく違う種類の人間だとは思えないのですよね。暫定恋人から恋人になって、でもやっぱりセックスは出来なくて、そのうち関係自体がギクシャクしてしまう二人。ダメなのか、このままダメになってしまうのか?BLだからそんなことはないだろうと思いながらも、最後の最後までハラハラドキドキしてしまいました。

大きな事件が起こるわけでもないシンプルな恋の話なのに、1対1の人間の関わりを濃く描いていて本当に面白かったです!良い本を読みました。
ひとつだけ注文を付けるのならば、藤中は男前設定ではなくて地味顔設定だと個人的にもっと萌えました。綺麗でないと山田の目には止まらなかったかもしれないですが、カラーの「どうしてだ。君は可愛いじゃないか」という甘い台詞がよりキュンとするなと思ったので。




「FRAGILE」

突如として「表参道のフレンチでランチ」なるものをすることになり慌てふためいているyoriです、こんばんは。何が慌てるって場所もさることながら「ドレスコード」が存在するということ。な、なんですか?「セミフォーマル」って。自慢じゃないけど普段基本的にパンツしか穿かない人間なのでワンピースなんて持っていませんよ?しかも身長がアレなため普通の店で合うのを見つけるのは至難の技。その上約束の日まで休みがない!いやー、困ったね。どーすんだろ。スカートでもいいのだろうか・・・。
普段いかに自分が狭い世界でヒッソリコッソリ生きているかわかりますね。青山とか表参道とか代官山とか、誘われなきゃ絶対に足を踏み入れないよ。自ら進んで赴く都心が池袋か上野というのは本当女としてどうなんだと思います。ま、いいんだけど。
フレンチレストランといえば「愛と混乱のレストラン」を思い出します。生きてきた経緯はどうあれ、久我も理人もああいった場に似合う人間なんだよね。スーツを来た久我は自然体で堂々としていて風格すらあって。でも理人は必死であの世界を自分の物にしようとした努力でもって「場に似合う」大人の男になった。そういった理人の意地らしいともいえる努力を私は改めて尊敬しますよ。TPOぐらいは心得た人間になりたいものです。

さてさて。
一昨日あたりに読み終わって感想書きたくて仕方がなかったのだけど、どーも疲れて頭がまわらない(いつもだけど)ので手短に吐き出します。
fragile.jpg
大河内の人生は、バラバラに壊されてしまった。一人の男の手で―。才能あふれる部下・青池を嫌い、一方的に蔑ろにしてきた大河内。我慢の限界を迎えた青池は大河内に襲いかかるという事件を起こし、社を去っていく。目障りな存在がいなくなり安堵したのも束の間、ある夜、その青池が大河内の自宅で待ち構えていた…!大反響の雑誌掲載作に大量書き下ろしを収録。二人が踏み込んだ愛憎の迷路のたどり着く先は―。

読み返す日が来るとは思いもよらなかった。
無性に「男が男に与えられる暴力の話」が読みたくなって最初に思い浮かんだのはこの本でした。
1年前の私は何を思ったかな・・・とにかく「木原さん、怖っ」となって本棚の奥に突っ込んでしまったかな。精●がけドッグフードは何度読んでも強烈すぎて乾いた笑いさえ出そうだよ。
大河内は嫌な奴すぎて、青池は同情の余地がないぐらい普通に壊れているので(私の認識では)まったくもって感情移入の仕様がなく、BL的な萌えも皆無な話だと思うのですが、面白いんだよな。グイグイ読ませられるという意味での面白さね。ただ一つ強く感じたのは、大河内の感情を木原さんは後書で「愛情」だと仰ったけど、私は絶対に違うと思う。アレは暴力の末に諦観の境地にたどり着いた人間の開き直りの姿勢であって、あの二人のパワーバランスはともすればすぐに逆転して再び流血沙汰でもなんでも起きて、どちらかが死んでようやく終わるような関係だと思う。そう考えた時に、もうどちらも本当に好きでもないし、いっそ「どーでもいい」ぐらいに思う二人なのだけど、それでも私は大河内に生き残って欲しいと思うんだよね。すっごい嫌な男でモラハラ野郎だけど、それ以上に青池の行為は所謂BLの監禁をあまりに逸脱しているんだよ。マワシはしなかったけど他者を介入しての凌辱行為に及ぶじゃないですか。自分を性的対象にする人たちの目の前で。ああいった暴力を許さずに「死ね」の置手紙一つで消えた大河内の仕返しは、正直胸がすく思いでしたもの。
大体青池は自分が壊れる前に何らかの手を打つべきだったのよ。モラハラ男をそれでも「好き」とか言っている時点で意味不明だけど、上司に訴え出るとか転職を考えるとか、もっと建設的な考え方が出来なかったのかと思う。素晴らしい企画書作る才能があるんだから自分と大河内の関係を冷静に見つめて切るぐらい出来なかったのか。

あらら、なんか正論を吐き出しただけになってしまったような。
個人的に挿絵の方が好みじゃなくて逆に助かりました。そのおかげもあり、ほっとんどBLとして読まずにいたので。しかし愛はないと思うけど、面白い話には違いありません!やっぱり木原本はスゴイですね。

一般書感想(津村再読)

久々にニアでもない一般書感想です。
なんといいますか、コブシをグッとにぎってそのままガッツポーズをしたくなるように「好き」な話です(意味不明ですみません)。


tumura1.jpg
『君は永遠にそいつらより若い』(画像は単行本)
長くなったのでたたみます。

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気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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