「卒業生」中村明日美子

云わずもがなの「同級生」完結本。「卒業生 冬」「卒業生 春」です。
多く語ることは持たないのですが、残しておきたかったので。

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同じような服を着て、
同じようなことを喋り、
同じような悩みに心を痛め、
それでも私たちは互いに異なる相手を見つけていた。
あの頃、たしかに私たちは一人だった。


集団に埋没してしまう彼ら、彼女らの姿を見つけられなくなった時から、あの頃は「思い出」に変わるのかもしれないなぁなんてポエミーなことを思ってしまいました。「高校生」という「名前」が付いた彼らが、別々の名前を持ったその後も、末永く共にあれると良いなと思います。

ラストの魅せ方には感嘆のため息。
その時にその場所でその台詞。なんて完璧なんだろう。
素敵な漫画でした。

基本的に「戻りたいあの頃」というのを持たない人間なので(というのも、たとえ戻ったとしても現状以外の未来を選択できる気がしないから。想像力が貧困なんだ)、高校生にも戻りたくはないのですが、制服を着ていた頃の息苦しさと安心感を無性に思い出しました。佐条のストイックな勤勉さとも、草壁の奔放な明るさとも、だいぶ離れたところに居た気がしますが、でも決して無縁ではなかったようにも思うのです。

なんて云えるのは「思い出」だからか!(笑)


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「ふしだら者ですが」中原一也

ふしだら者ですが (リンクスロマンス)ふしだら者ですが (リンクスロマンス)
(2009/12)
中原 一也

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仕事場で女性からは空気扱い・邪魔者扱いをされているサエない公務員の皆川修平。しかし実は、男にはなぜか異様なまでにモテまくり、老若男男、喰い散らかしている節操のない魔性のゲイだった。男と別れるときは、いつも幻馴染みのガテン系リーマン・高森に恋人のふりをお願いし、円滑に男と別れていた。そんなある日、皆川はストーカー被害に遭ってしまう。危ないところを高森に助けられた皆川だが、その日から高森のことが忘れられなくなってしまい…。

「おっきいって言ってみろ」
忘れもしない、心に残る衝(笑)撃的名台詞を吐いたのが、中原さんの斑目でした。
読んだその場でホモ友に「すっごい萌えるんだけど!」とメールをしたら、冷静に「それはない」と返されシュンとなったわけですが、エロオヤジキャラが結構好きなのです(英田さんの宗近も同じ臭いがするエロオヤジだと思っているのですが・・・怒られるかしら?)。中原作品は、その特徴である言葉遣いと単語の「下品さ」のため、残念ながら「大好き!」とはならないのですが「萌え」は感じます。「あばずれ」とか「雌犬」とか「尻軽」とか、中原さんホントこういった罵倒語が好きなのね~。しかし、現実もそうだが攻め(男)がいくら何人、何十人、何百人と寝ても逆に「○人斬り!」と讃えられるというのに、受け(女)が同じことしたら非難の対象っていうのはモヤモヤしますな。まぁ、主人公の皆川は一夜限りの相手じゃなくても名前を覚えていないダメ男だったわけですが。

前評判として、前半と後半の雰囲気がまったく違うということは聞いていたのですが、まさかこれ程とは!
結論から云ってしまうと、正直前半のテンションのままで突っ走って欲しかったかな。恋を知らない節操がない受けが初めて恋心を自覚して右往左往する様子に大変萌えたので、元彼ズの「高森籠絡作戦」だけで本編が進んでくれてもまったく構わなかったし、コメディとしてもすごく良く出来ていると思ったから。そして後半のトラウマ展開は、あまりにも「現実に即している気がして」しんどかったのよね。一応マジョリティである側の私がこんな風に思う事自体が傲慢というかお門違いなのかもしれないけど、マイノリティであることの苦悩を語る作品を読むときに考えるのは、実際にその立場に居る人々のことなのですよね。皆川の過去と近いものを持っている人というのは少なからず居ると思う。そのことを考えると・・・前半のコメディ部分が良く出来ていることが更に裏目に出て、「場違い」な気がしてしまったのでした。

問題のある受けを問題のない攻めが救済する物語が好きな私ですが、それをやるには、この話は下準備の方向がちょっと間違ってしまったかなと。それなりに面白かったのですけどね。


あらら、珍しく短いぞ。
近況というか最近のバイトちゃんとの会話でも。

バ「漫画面白かったです~。超キュンキュンしました~」
y 「おおっ!そんな感想云うの初めてじゃない!?」
バ「はい。もう借りるのやめようと思ってたんですけど、また貸してください!」

あなた、今までの漫画はそんなに・・・
ちなみに「超甘々好き」の彼女の為に私がこれまで厳選した漫画はこちら。
「同級生」中村明日美子
「どうしても触れたくない」ヨネダコウ
「トラさんと狼さん」春野アヒル
 大槻ミゥ作品多数
  
これで甘くないと云われちゃ私の持ち駒ではお手上げっす。
で、今回貸したのはこちら。
王子と小鳥 (花音コミックス Cita Citaシリーズ)王子と小鳥 (花音コミックス Cita Citaシリーズ)
(2009/08/29)
山中 ヒコ

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ちょっとダメかなと思っていたのですがヒットしたよう。さすがヒコさん。強いわ。
私が借りたのは桜賀メイさんの花音から出ているシリーズでした。う~ん、甘い!

数日後に出る「卒業生」も楽しみですが、2月に出る「地獄めぐり 下」(九重シャム)が楽しみで仕方ありません。今月末に出るドラマCDもかなり気になっているのですが、2枚買うのは厳しいのでサイトのCMを聞くに留めました。あとは、今月号の「キャラセレクション」掲載「憂鬱な朝」に大変萌えました。坊ちゃんがえらい男前になっていてビックリです。

*追記*
書こうと思って忘れていたことが2点ほど。
「黄昏に花」の挿絵をしている槇えびしさんのコミックが出る!
きみにあげる。 (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 34)
初単行本?と思って著作一覧を調べてびっくり。
「DOLL STAR 言霊使い異本1」(講談社マガジンZKC)って、私持ってるぞ(2巻は買ってないけど)。
全然気が付かなかったー。
あとあと「灰とダイヤモンド」(定弘美香)が双葉社文庫から新装版で発売されました!
ビブロス、朝日ソノラマの倒産を経ての再々刊行。
文庫本800円はちとキツイけど(来月出費が重なるのです…)、今度こそ手に入れよう♪





「黄昏に花」「黄昏に花が舞う」樹生かなめ

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千代田中央銀行のエリートコースからドロップアウト、子会社のビルカム・チヨダの業務課課長・岩井。特性、不能。癖の強い部下に振り回され、かつてのライバルには嘲笑われながらも、毎日を淡々と過ごしている。そんな岩井の前に、エリートコース邁進中、全女性社員の憧れの的・小田原が現れた。しかも小田原から猛烈アプローチを受けることに!?熱く迫る小田原も不能には適わないかと思いきや、情熱は増すばかり!?枯れた男と燃える男の熱い恋の物語登場。(黄昏に花)
千代田中央銀行のエリートコースからドロップアウト、子会社のビルカム・チヨダの業務課課長・岩井。特性、不能。そんな岩井の恋人は、本社エリートコースまっしぐら、全女性社員憧れの的・小田原だ。岩井の不能をなんとか治そうとする熱烈な恋人の求愛と個性豊かな部下に囲まれ、岩井の毎日は淡々と過ぎてゆく。そんなある日、部下の真砂が失恋して!?愛しさは恋になるのか?岩井忠生&小田原保徳の愛しき日々、登場。(黄昏に花が舞う)


何処を探しても見つからなかった「黄昏に花」ですが、ようやく読むことができました。
これまでに感じたことのないような読後感に戸惑いすら覚えています。
それは面白いと云うよりも、とにかく愛しい。愛しくて愛しくてたまらない。
岩井が、小田原が、ビルカム・チヨダの面々が、「黄昏に花」の世界そのものが無性に愛しくて仕方がないのです。何て云えば良いのだろう?たとえば私は彼らの話をあと、もう、延々に読んでいたい。岩井と小田原の関係に進展があってもなくても、彼らが生きている「黄昏」の世界にもっともっと浸っていたい。二人の恋愛模様だけではなくて、瀧が本社の小池君とどうなるのか気になるし、真砂が作る勝負料理と結婚退職の行方が気になるし、破壊神森田が次は何を壊すのか気になる。辻がビルカム・チヨダの仕事と人生に希望を見出せるかが気になる。その時岩井が何て声を掛けるのかが気になるし、そんな岩井と辻に一言云わずにはいられないだろう小田原が気になる。こう、すべての人間が等しく生きていて、等しく魅力的に描かれているから、こんなにも愛しいと感じるのよね。

また「黄昏に花」というタイトルが素晴らしい。
内容のすべてを表わしていて、尚且つ単語としても美しく、もし今後「ベスト オブ BLタイトル」を決める機会があれば(あるのか?)、文句なしで堂々の第一位。そのくらい「黄昏に花」という言葉は私的に完璧だと思います。

岩井は何も持たない男。彼の生き様を見ていると、欲望がないということは、絶望もないのかもしれないなどと詮無いことを思ってしまった。35才にして左遷の憂き目に合い、妻子は去り、男性機能は不能。その状況が何ら改善されることなく10年の月日が流れて、岩井は文字通りに「枯れた」45才になっていた。「あとは人生の黄昏時に向かってただ歩くだけ」と静かに腹を括って生きている岩井の姿は、淡々とし過ぎていて、物悲しさすらあるのに、どこか滑稽。そんな岩井のちょっと外れた言動ひとつひとつが愛しくて仕方ない(しつこいですが、これしか云い様がないのです)。彼に熱烈な愛情を捧げる小田原は、最初は樹生作品でよく見かける「人の話を聞かない攻め」だと可笑しな気持ちで読んでいたのですが、「オヤジだから」とのらりくらりとかわす岩井の狡さに一歩も引かない「熱い男」っぷりが、これまたどんどん愛しくなってくる。樹生作品を読むと、私が恋愛小説を読む上で気にしてしまう「なぜその相手を好きになったのか?」がすっごく瑣末な問題に思えてくる(笑)
好きだから好き。あなたの老後の世話は自分が見ます。老い先短い残りの人生をすべて僕に下さい。―こんな若干失礼だけど熱烈な愛の言葉を一方通行気味の恋愛関係なのに浴びせるように発する小田原。さすが「ゴリ押しの小田原」。岩井の不能を治そうと躍起になる彼に、徐々にだけど絆されてゆく岩井。そんな二人が、やっぱりどうしようもなく愛しい。
各話のラストに入る台詞とモノローグがこの話の優しさと温かさを物語っていると思います。
「まず、インポを治してあげます」
この時より、人生の黄昏に向かって歩いていた岩井の日々が一変した。

伝わりますか?台詞の可笑しさとモノローグの優しさ。それが無理なく共存している小説世界の稀有さが(褒めすぎ?)

そしてこの小説の魅力は優しさだけではない。
時折挟まれるドキッとするような現実社会の過酷さ。悲惨さ。それは厳しい競争社会に脱落した岩井だからこそ見える部分。負け組の視点があって、でも樹生さんは勝ち組の葛藤を挟むことも忘れない。皆が等しく会社という社会の中で生きている。人生にリタイアする人がいても、それでも残された人々は生きていかなければならない。どうせ生きるのなら黄昏時のそのまた彼方まで、横を歩く誰かと共にあれたら幸いなのではないだろうか。

とにかく、なんて異質な物語(BLとしてかな。JUNEとしてはどうなのだろう)かと、感嘆するより他ない。
主役である岩井と小田原に起こった出来事(物語が動く上での)が、諸々の出会い、無理矢理(!)、告白の後は、「岩井がギックリ腰になり、小田原が親知らずで苦しんだ」になってしまいそうなところも凄いし、そんな日常をもっともっと読んでいたいと読者に思わせる樹生さんが凄い。樹生作品の特異さは私の拙い言葉では表現し難いものがあるのだけど、その底なしの奥深さというか「アナザーワールド」(byA林さん)っぷりを最も実感したのが、この「黄昏に花」でした。
そもそも受けが45才はともかく、終始「不能」で特に治す気もないのだから!この設定だけで「トンデモ」だと覚悟をしていたというのに、彼らの愛しい日常に感動すら覚えるなんて!凄いとしか云えないよ!!槇えびしさんの挿絵もとても素敵で、挿絵を早く見たくて小説のページを捲ったのは久しぶりだ。

「花が舞う」は07年刊行だけど続編は出ないのかな?
バイアグラは飲んだの!?不能は治るの!?岩井と小田原は合意でいたすことができるの!?
この作品、本気で続編を切望します。

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続・人には言えない?


図らずも一年前にこんな記事を上げていました。→「人には言えない?」
遊びに来て下さっている方の中には問答無用で「ノー」な方も当然いらっしゃると思う内容なので、地雷な予感がしたらば廻れ右でお願いしまっす。

さて、正直に云います。
私は「つくも号」さんに関して云えばショタが好きなのです。
前作「最後の三月」ではその独特の魅力(ノスタルジー)が少し薄れてしまったようで残念だったのですが、新刊の「魔法が解ける迄」はつくもさんの持つ魅力を十分に堪能できる作品でした。

真面目に語ったところで天下の松文館ダイヤモンドコミックス=エロ漫画でございます。
表紙からしてよく見ると(見なくても)非常にヤバイので、苦手な方は本気で引き返して下さいまし。

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「アンナ・カハルナ」城平海

以前やっていたブログを掃除しようかなと思いつき、許容範囲内(これでも!)の感想だけ移動させてみることにしました。改めて読んだけど酷い(今もだけど)。言い訳ですが、だって一般文芸って腐じゃない人も見に来るし~、男の人だっているし~、色々誤魔化しているのがわかります。
そんな中で、これだけはタイトルにしてあげたいと思った作品がこちら。
(文字色が変わっている部分は書き足しました。)

アンナ・カハルナアンナ・カハルナ
(2005/10)
城平 海

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男に身を売ることでしか生きていけない哲也、32歳。かつてはそのルックスのよさで新宿2丁目でも知られた存在だったが、今では歳のせいもあり声がかかることも少なくなった、負け犬出張ホスト。そんな彼にある日突然田舎の農村から指名が入る。不思議に思いつつも向かった先に待っていたのは―。

著者の城平海はゲイ雑誌で同性愛者向けの恋愛小説やエッセイを書いている作家です。出版社も古川書房という、まず一般の本屋には新刊委託のない、その道専門の出版社。2週間待って手にしました。読みたいと思った動機・・・BL・耽美は、まあどんなものだか知っている。←知ってるどころじゃない!
『蜘蛛女のキス』や『潮騒の少年』『モーリス』『薔薇日記』などの同性愛小説の古典もまあ読んだことがある。しかしゲイ小説というものは未知の領域だったのですね。本を読みたいと思うのに動機の説明なんて言い訳がましいですね、単純に好奇心です(笑)

あと、「アンナ・カハルナ」という題名の美しさに惹きつけられました。

何のことだかわかりますか?
「安中榛名」
哲也の勤める出張クラブの女社長が地名を勘違いしたのです。
この小説で一番素晴らしいのはこの題名だと思います。←失礼ですね
恋愛小説なのでご都合主義な展開は仕方がないと思いますが・・・BLやハーレクインにも負けない展開だった気が。哲也を買ったのは、昔二丁目でも有名な色男だった元・大学助教授の健二郎。母親の死をきっかけに脳梗塞になった父親の介護をするため東京の職を捨て地元の安中榛名まで帰っていた。健二郎は昔哲也に想いを寄せていた。そして哲也も二丁目時代に健二郎のことを意識していた。ホストと客という再会だが二人の気持ちは燃え上がり、ついには健二郎の父親の介護の手助けをするため、哲也は安中榛名の健二郎宅に住むことになる。・・・再会もの?と思うじゃないですか。違うのです。

家族のように暮し始めた3人だが、父親は健二郎の性癖を認めてはおらず哲也にもなかなか心を開かない。何もない田舎で流れるゆっくりとした時間。村の農作業を手伝ううちに哲也は徐々に安中榛名に馴染んでゆく。
このままスローライフな家族小説風味で進むのかと思ったらそんなことにはならなかった。
哲也は運命の出会いをするのですよ。農協の若者、耕太と。

ここが面白いなと思いました。健二郎は完全にあて馬役だったわけです。恋愛小説といえば「Only One主義」というイメージだったので意外でした。しかもその伏線と云うか前兆があまり感じられない!哲也と耕太は秋祭りの神楽舞で風神雷神役に選ばれたのを切っ掛けにあっという間に距離が縮まります。耕太は新婚だったのですが、昔から性癖に対して違和感があり、哲也に出会った瞬間に真実の自分を認識したと。神楽舞の練習は二人きりで行われるのですが、ここがゲイ小説のドリーム部分なのかなと思いました。「祭り」「褌」「若い男の汗」そんな記号がたぶんドリーム。あと、風神雷神を舞う二人は生涯消えることのない強い絆で結ばれるというエピソードもドリーム。そして秋祭りが終わり、登場人物各々に何らかの結論が出て「大団円」と呼ぶに相応しいラストを迎えます。
性描写はそんなに激しくないので苦手な方でも大丈夫だと思います。

ゲイ小説ですが、そこに親の介護問題という実はかなり深刻なテーマを取り入れた作品だったのではないでしょうか。父親、突然亡くなるんですけどね(この展開が一番納得いきませんでした)
あとがきで著者がいうように「超」「極」「甘口」の小説でした。
現実に親の介護で泣くシングルが大勢いて、その中の何割かは同性愛者で―という著者のあとがきが読んでいて一番心を揺さぶられました。
長々と書いてしまいましたが、興味のある方は注文して読んでください。
本屋にも、たぶん図書館にもないですからね(笑)


この著者は某腐男子さん宅で知りました。
っていうか、これを一般書ブログにあげた時点で色々アウトよね(笑)BLに「眼鏡」が記号的に出てくるのと同じで、「褌」に大変納得したのを覚えています。えーと、文章的にもストーリー的にも正直云えばオススメは出来ません。あまりに色々と拙い気がしたから。ただその拙さを愛する人がいて、拙さの奥にある真摯な問題と、フィジカルに感じられるけどやっぱり真摯であろう恋愛物語に需要があるのだと思うと、心のスミッコに残り続ける作品です。

「純情な人のように、さよなら」西江彩夏

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「あんたを愛してる。絶対にあんたを手に入れてやる」
恋人は顔がよくセックスが楽しめればいい、そんな考えを持つエリート医師の柚木を無理やり抱いたのは、不遜な俳優・前岡。互いに恋愛感情はないはずが、時々年下の男が自分を想って言い放つ言葉に戸惑いを隠せない。しかも過去のトラウマのせいで、愛に臆病な柚木の心は、その想いを拒み続けてしまう。寂しさや本心を隠したまま、柚木はある決意をするが・・・?


山のあなたの空遠く 身体からはじまる恋もあると BLのいう

ガラにもなくパロってみました。
そう、BLだもの。っていうかBLじゃなくても普通の小説も、っていうか友人知人も、そんなことは「よくある話」だと人は云う。遠い、遠いよ~と叫びたくなるのは置いておいて。
たぶん私は西江さんの小説でそれを読みたくはなかったのだなぁ。一読者がそんな身勝手な感想を抱いてしまうぐらい、「ナルシスト」の作り(プラトニックグルグル)が異色だったのよね。BL的な話もちゃんと書けなければ作家として食べていけないであろう事情もわかるので、「これもあり、でも次回作に期待!」という結論を先に伝えておきます。

恋愛がいかに個人のメンタル的な強さに支えられて成立するか、ということを読んでる間考えていました。まんだ林檎先生の「LOVE SONG」収録「あなたが幸せになれた日々の理」の―自分のコトが好きじゃない人に本当の恋はできないんだぜ という言葉に深く肯くのですが、それでも自分のことを好きになれない人はいるし、常に全力で自分のことを好きでいられるかと聞かれれば、否と答えるしかない。ただ重要なのは、自分のことを他人から愛されるに足る人間だと思っているかだと思う。実際がどうかなんて一切まったくもって関係なく、ただ自然に(力技でも)そう思えることが私の思う強さかなと。自分のことを好きじゃないと、自分のことを好きな人のことも信じられないのよね。「こいつ何で俺のこと?」って、柚木もしつこいぐらい繰り返していたし。黙って素直に愛されてりゃいいのに、それが出来なくなる。グルグルグルグル一人相撲。いや、西江さんのキャラクターって、本当グルグル思考ですね(笑)柚木はグルグル思考なのにストイックとは無縁だから性質が悪いというか、前岡もよく柚木を執念深く追いかけたよな~と若干呆れました。この前岡が結構BL的な「攻め様」で、私にはちょっとよくわからない人だった・・・。

自己保身と自己愛はとてもよく似ているけど、まったくの別物なのよね。
自分と似た部分のない前岡に愛されて、柚木は少しずつだけど変わっていった。エリートであるとか、二枚目であるとか、自分の価値を外的要素のみに自ら留めてきたフシがある柚木は、身体と心を絆されてこれから幸せになるのでしょう。

作中にあった「偽善だって善は善。嘘だって優しい嘘は人に優しい」的な意味の台詞に、これまた深く肯くのですが、同じことを藍川さとる(古張乃莉)先生も「晴天なり。」で云っていたのを思い出しました。今をトキメク人気作家様にこんな物言いは失礼だと承知ですが、西江さんのメンタルは、なんというか、近い感じがする。えーと、自分に。読んでいて爽快だとか楽しいとかではないのに、目が離せなくなるのはそんな理由の気がしました。


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「40男と美貌の幹部」海野幸

40男と美貌の幹部 (二見シャレード文庫)40男と美貌の幹部 (二見シャレード文庫)
(2009/02/23)
海野 幸

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「君が欲しくて仕方がなかった」―勤続十数年。突然のご指名で支店勤務になった上城宗一郎を待ち構えていたのは、七歳も年下の美貌の上司だった。幹部候補生という社内でも特別なエリート社員である篠宮辰樹は、一分の隙もないスーツ姿とは裏腹な、艶かしいほどの色気と掴みどころのない性格。しかも、接客の練習としてまず篠宮自身を口説くよう命令してきて!?風変わりな上司に翻弄され、なぜかときめきを覚えてしまった四十男の運命は…。

BL本読了後にしては珍しく「仕事がんばろ…」と思わされた1冊でした。
面白かった!
以下、感想未満の雑文でございます。

ワーキングBLといえば私の中では榎田さんの「普通の男」が印象に残ってます。馴染みの業界の話ということもあり、読んでいても仕事描写に頷いてばっかりで二人の恋愛に萌えるどころじゃなかったけど(笑)
この「40男」はまったく畑違いの業界(化粧品業界)の話だけど、それでも「販売」に関わる話なので耳が痛いと云うか身につまされる描写の連続でした。優秀な幹部候補である篠宮が宗一郎に伝授する営業術は、たぶんとても基本的なことであり、正論。二人の仕事のやり取りを読んでいると「どこの自己啓発本ですか!?」とツッコミたくなるぐらい、仕事のノウハウが正攻法で描かれている。だって、営業する上での人心掌握術がどんだけ重要かは日々営業される立場の中でとても感じていることだし、それが「手土産」だったり「世間話」だったりするのは個々の違いであり、彼らにとっては試行錯誤の段階でもあるのかもしれないとかね。ともかく営業さんと話をしていると、物事ってのは人で動いているのだなぁと実感することが多い。篠宮の歯の浮く台詞だって、決してファンタジーではない説得力があった(仕事描写にリアリティがあるとはまた違うのだけど)。篠宮のアドバイスとそれを実行する宗一郎に、思わず自分の営業的な社交術の未熟さまでも省みてしまったよ…。

そして物を売る立場からも頷いてしまう言葉が多かった。
「自分が今やっている売り方が常に正しいなんて考えは捨てなさい。そのときは最善でも、時間が経てばもっと違うやり方が出てくるかもしれない―」いや、これってものすごく正論ですよ。そんな正論吐かれても!ってなぐらい正論。でも正しいからこそ改めて聞くと耳に痛いというか、「あ~、そうですよね~」と納得してしまう。本当、自己啓発本(読んだことないけど)ってこんな感じじゃないのかな。こんなところであまり真面目に仕事の話もアレだけど、そういえばウチの会社も厳しい時世に対応する為に色々なことをやってきた(と思う)。入社してから数年間で色んなことが目まぐるしく変わったし、色々文句はあったけど、それなりに正しい方向性を示しているのかもしれないと納得出来るように最近はなってきた。少なくとも思考錯誤している段階を「意味がない」なんて思う事はなくなったなぁ。うーん、仕事がんばろ…。

正直読み始めた時は、40男である宗一郎が篠宮(幹部候補とはいえ)に「反発、反感」をよく抱かないものだなと不思議に思ったりもした。篠宮は部下とはいえ年上の宗一郎に、結構きわどい喋り方をしていると思うのだけど…それは私がまだ「年下の上司」を持つに至っていないからが理由なのかもしれない。でも、40の宗一郎は「会社」がどういう場所なのか、「上司」というものがどういう立場の人間なのかをよく心得ているのよね。個人の瑣末なプライドの問題など、「仕事が出来る」「会社のことを考えている」人間の前では何の意味もないという至極当然のことを。だから篠宮の指示に忠実に従うし、必死でサポートしようとも思うわけだ。ただ贅沢を云えば、篠宮のカリスマ性が前半の短いエピソードではちょっと足りなかったかな。宗一郎が恋愛感情を抜きにしても篠宮を「サポートしたい」と思わされる絶対的な力を感じる部分がもう少し欲しかったかも。
それはともかく、年上の部下×年下の上司という下剋上(?)な関係を持ってきて、実に穏やかに恋愛に移行させてしまった海野さんは面白い人だなと思いました。恋愛面への移行の仕方がとても可愛くて(特に篠宮の気持ちが超可愛い!!)、小道具(飴玉)と涙にイチコロでしたよ!篠宮がお決まりのように色事には不慣れというのも凄く可愛かった!!仕事描写がここまで多くなければもっと萌えた可能性はあるけど、これはこれで面白かったので良かったです。後半の販売員の接待旅行も甘々な後日談かと思いきやバッチリ仕事メインの話ですしね。

実はこれを読んだ日、仕事でいろいろあって凹んでいたというかヤサグレモード全開だったのですよ。
だから余計にいろいろ耳に痛かった(笑)あっ、関係ないけどそもそも私は「化粧品」への興味関心が著しく低い女なので(デパートの1Fは足早に通り過ぎるタイプです。座って化粧してもらうなんて恥ずかしくて無理!)、コスメオタクちゃんが語る化粧の話も耳が痛かったです…。はは、化粧品の容器は軽くて小さいに限るとか思っている女ですとも。
海野さんは「八王子姫」が既読ですが、今まで感じたことがないような痛みを与えてくる人だと敬遠していた作家さんです。八王子に住む2人のお姫様の話はあまりに痛くて手離してしまったのですが、もう一度読んだらまた何か違ったものが見えるかもしれない。あれこそ感想書いてスッキリしたい類の話だったように思う。海野さんは、木原さんや西江さんのように明確な痛みではないのに、「恋愛以外」の部分で妙な痛みを与えてくる(私が勝手に受け取っているだけか)作家さんな気がします。その痛みは決して「クセ」にしたくないけど、でも気になってしまう類のものですね。はい、他の作品も読んでみたいと思います。

「カワイイ、アナタ」高村薫の衝撃

InvitationInvitation
(2010/01/10)
江國 香織川上 弘美

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八人のミューズがささやく八つの物語。とてつもなく甘美で、けっこう怖い…絶品短篇小説館。

新刊案内を見た時から気になっていたのです。
このメンツに何故高村薫先生が!?という理由で。
本のタイトルと作家名から「大人の女性のための官能小説系」アンソロジーだと思ったので(他の著者の話は読んでいないので本当のところはわからない)。で、今日特に何も考えずに休憩中手に取って、高村先生の「カワイイ、アナタ」を読んだのですが、冒頭あまりの衝撃に目を剥きました

拝啓
日々の雑事に埋もれて心身が鈍磨しているのかもしれない小生から
同じく多忙すぎて人間をやめているだろう貴兄に、今日はあまり笑えない夜話を一つ書き送る


記憶を頼りに書いているので微妙に違うかもしれませんが、この一文だけ何度も読んだのでたぶん合っています(笑)ええ、何を云いたいか分かりますよね?「小生」と「貴兄」に「手紙」とくれば・・・高村先生一体何のサービスですか!?普通に驚きましたよ、っていうか文藝春秋は「某シリーズ」には一度も噛んでいないのに、本当、誰に向けての話だったのか。(2006年「文藝春秋」掲載)
内容は、「小生」が「貴兄」に自分が昔体験したある出来事を手紙にして物語るという、ミステリー仕立ての短編です。なかなか入り組んだ構造の話で、老年を迎えた男の夢とも現とも判断できない妄執と、それに絡めとられていく「小生」の幻想憚と云えばいいのかな。若い頃は気にも留めなかった男の思い出話を、40手前になってやたらと鮮明に思いだしたと語る「小生」。ああ、ああ、合田だねぇ・・・。
それにしても高村先生も読めない人だな。読者(私)の考える以上に、あの二人は先生の中でも大切な存在なのかもしれない。時系列的に考えると「カワイイ、アナタ」は「LJ」以降「馬」の手前で、なおかつ二人に親交がある時点の話ということになる。それなのに、「小生」が長い長い手紙を書き連ねて「貴兄」に送る状況・・・う~ん、高村先生の頭の中では何がどうなっているのですか!?

とにかく、とっても驚いたという話でした。

漫画まとめて感想

未来の記憶風の行方 (ビーボーイコミックスDX)未来の記憶風の行方 (ビーボーイコミックスDX)
(2008/03/10)
国枝 彩香

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長いこと旧版の「未来の記憶」だけ読んで放置していたこちらの新装版。実は「風の行方」が「未来の記憶」の続編だと最近まで気が付かなかったのです。不覚!続編と知って慌てて読みました。
結婚(同棲)にもれなくジジババのお世話付きか・・・と考えてしまうと途端にモヤモヤしたものがこみ上げてくるのですが(スミマセン)、攻めの家族愛を疑わない真っ直ぐさと、なんだかんだで彼の想いを受け止めてしまう受けの姿に目頭が熱くなりました。私好みの国枝作品お馴染み「黒髪ウェーブヘアのフェロモン系おっさん」もきちんと出てくるし、申し分なし!面白かったです♪
漫画のデッサンを気にすることはあまりないのですが、(ブログ始めてから気にする方が多いことに気が付きました。実際に絵を描いたことがある人に多いのかな?同人で漫画描いていたホモ友も昔から気にする人だったな)そんな美的バランス感覚が限りなくゼロに近い人間でも、国枝作品の男達の均整取れた裸が大変美しいのはよくわかる。絡み合った場面の絵も全体を描いていて本当に上手。ベテランは強いなぁとしみじみ思います。

嘘みたいな話ですが (ビーボーイコミックス)嘘みたいな話ですが (ビーボーイコミックス)
(2010/01/09)
腰乃

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出勤前に購入したのですが、わかってはいたけど一言叫ばせて。
この漫画を何処で読めと!?電車、もちろんアウト!休憩室、背後が気になってアウト!自宅、旦那の視線が気になってアウト!(yori家には自室なんて素敵なものはありません。ホモ読むのもブログ書くのもリビングという名の共同スペースです)
ヤッてるページ多っ!なのに何でエロくないんだろう、っていうか、腰乃さん面白いなぁ~としか云い様がないのですが、腰乃さんのエロってやっぱり独特だよね。一見男性向けエロの手法のようだけど(オノマトペ多用や局部のドアップなど)ちっとも扇情的じゃない。ん?私が扇情的に感じないだけなのかな?ともかく、エロも内容もギッシリ詰まっていてとても面白かったです。オタクで変態チックな後輩(攻め)と男前すぎる先輩(受け)の「キャッキャラブラブ」(裏表紙より)な話です。どうでもいいけど、リブレHPのあらすじにハートが飛んでいるのを見ると無性に恥ずかしくなる・・・。腰乃さんは徹底して明るい話を描く人なのだろうか。ちょっと違う雰囲気の話もそろそろ読んでみたいかも。

坂の上の魔法使い (ミリオンコミックス 84 Hertz Series 72)坂の上の魔法使い (ミリオンコミックス 84 Hertz Series 72)
(2009/12/26)
明治 カナ子

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池袋のジュンクで原画の展示をやっていると聞き、先週用事ついでに足を運びました(1/10現在の状況は不明)。明治漫画は「ペン」で出来ているという印象を持ちました。線も荒いし決して絵が上手というわけではないのに、すごく心を掴まれます。これまでの作品とは少し違う雰囲気の今作ですが、これはこれで面白いし好きです。「違う」というのはファンタジー設定部分だけではなくて、既刊の明治漫画は暗さと明るさの奥行きがあるとして、暗さの方が前に出ている話が多かったと思うのです。でも奥の方、物語の底辺にはきちんと明るい希望のようなものが見え隠れする世界というのかな。その点「魔法使い」はオドロオドロしい画面(これは明治漫画すべてに共通していますが)だけど明るさの方が前に出ている。でも背景には暗さが潜んでいて、その暗さが物語を深くしている。ほのぼの師弟物のようだけど、きちんとその先がありそうな描き方をしている(というか、そうあって欲しい)。次巻の展開に期待です。

花は咲くか 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)花は咲くか 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)
(2009/12/24)
日高 ショーコ

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表紙が出ないなんてもったいない!
1巻を読んだだけではこの先二人がどんな展開(恋愛面でも人間関係面でも)を迎えて仲を深めていくのかまったく想像が出来ないのですが、果たしてどうなるのだろう。実は当て馬っぽい同級生君の方がキャラクタとしては好みだったりするのですが・・・まぁ報われないだろうな(笑)日高さんの漫画はちょっと歪み(性格の悪さ)を感じる人物が萌えのツボだ。「憂鬱な朝」の桂木はもちろん、「知らない顔」の黒歯医者や「嵐のあと」の当て馬君とか。次巻が早く読めますように♪

*近況(読書)*
なんと新年明けてからまだ1冊も新しいBL小説を読んでいません。(「37℃」は再読)
明治さんの原画を見にジュンクに行った時はカタギの友人達との待ち合わせ場所として訪れていたため、ササッと行動せざるを得なかったのです。そのせいで欲しくてたまらない新刊を買い逃す羽目に・・・。

ふしだら者ですが (リンクスロマンス)ふしだら者ですが (リンクスロマンス)
(2009/12)
中原 一也

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中原さんは作家買いまではいかないのですが、新刊が出るとなると一応あらすじをチェックするぐらいには好きです。(大抵攻めは私の好みなのだが、受けがどうも・・・)これは最初タイトルを「ふつつか者ですが」だと勘違いして、「中原さんなのに謙虚だ~」なんて思っていたら対極だったというオチが付きます(狙いどおり?)。元々読みたくて、レビューを読んでますます読みたくて仕方ないのですが、近所の本屋は全滅。自分ところも×。あ~、ジュンクで買えば良かった・・・。あと単なる愚痴なのですが、近所の本屋が新刊オチした本(といっても発売してまだ10日とか。BLは刊行点数多いけど場所が狭いから新刊台に乗りきらないのよね)をオール棚差しにする暴挙に出ている為、既刊本がほぼゼロになりつつある。気持ちはわかるし担当者のやり方なんだろうしその店の理には適ってるのかもしれないけど、同じ本5冊以上棚差しは、私だったら注意する・・・。というわけで、「新刊しか置いていない」本屋になりつつあるのが残念だという話です。まぁ、他所のことを偉そうに云えるような立場ではまったくないのですけどね。
もうすぐ出る西江さんの新刊も楽しみです。そして月末の「同級生」完結本も!!

そんなわけで、一般書をノロノロ読んでいます。
船に乗れ!〈1〉合奏と協奏船に乗れ!〈1〉合奏と協奏
(2008/10/01)
藤谷 治

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音楽高校でもなければオケでもないし超弱小でしたが、青春を音楽(ブラバン)に捧げた身からすると、すべてがこう、心の柔らかいところに突き刺さる。ああ、音楽をみんなでやるって色々あるんだよね。あったよね。少し読んでは息苦しくなって休憩しての繰り返しなのでちっとも進まないのですが、面白いです。「本屋大賞」有力候補?う~ん、ノミネートはしても大賞は無理じゃないかな。著者の知名度と3巻完結後に話題になったという点を考えると難しい気が。どうだろう。

「ダレセン!―Yes,all I need is Love!!」熊田プウ助

ある日のバイトちゃんとの会話。

私「あのさ・・・やまとなせさんかしてください・・・

バ「えっ、なんですか!?」

私「大和名瀬さんを貸してください!

バ「ど、どうしたんですか!?超甘々ですよ!?わかってますか??」

私「ええ、わかってますとも・・・超甘々のが読みたいのよ~、お願い!」

バ「もちろん貸しますけど本当に持ってきて大丈夫ですか?次出勤したら気が変っていたとかナシですよ?」

あなた人をなんだと思って・・・。私だって普通に「ロマンチカ」とか好きなんだけどなぁ。

私「大丈夫、たとえ変わっていたとしても持ち帰ってちゃんと読むから!」

バ「それはそれで嫌ですよ!じゃあついでに桜賀メイさんと、楢崎さんの「誘惑レシピ」も持ってきますね!」

私「えっ、一気にそこまではいいよ・・・」

バ「・・・・・・。」

毎度大した会話でもなければ面白くもなくてアレですが、殺伐とした毎日の中で少しでもホモの話が出来る人が近くにいるっていうのは嬉しいものです。大和さんの「無口な恋の伝え方」がめちゃくちゃ可愛かった~。ツンデレ甘々、美味しく頂きました♪
しかし、感想というかなんというかは以下の本。

ダレセン!―Yes,all I need is Love!!ダレセン!―Yes,all I need is Love!!
(2009/11)
熊田 プウ助

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エッセイ業界初!くま系ホモ、プウ美のキモカワな日常に腹よじれココロ癒される。

コミックエッセイが好きでよく立ち読みします(だってお値段が・・・)。

正直、腹よじれるって程ではないし、決してココロも癒されない(むしろ殺伐としてくる・・・)のですが、プウ助さんの単行本、心待ちにしていました♪って、刊行が昨年の11月なのは正直「出るわけない」と心のどこかで思っていたためチェックが甘くてまったく気が付かなかったからです(笑)最初にこんなことを云うのもアレですが、なんとなく感想書くために画像もアップしてしまいましたが、そんなにオススメというわけではありませんので、あまり気にしないでください(大失礼)。ちなみにこちらはちゃんと買いました。買うぐらいには好き、ということです。

プウ助さんは「本当にあった笑える話」(ぶんか社)という投稿ネタコミック雑誌で連載している方です。この雑誌を毎月楽しみに読んでいるBL読者層がどれぐらいいるか知る由もありませんが、あまりいない気が。有名どころでは「インド夫婦茶碗」が載っている雑誌です!いや、私も自分で買って読みはしませんよ?旦那が買ってくるからよむだけで、はい。
プウ助さんの、発展的で自虐的な日々のアレコレを、主に下方面(たまに四十路のメンタル面も)メインで描くこちらのエッセイ。確かに新しいといえば新しいのかも。セクマイ系では「性別がない!」「オカマだけどOLやってます」、ビアン系では「腐女子のサチコ」がいるけど、ゲイが描くコミックエッセイって他に思い浮かばないもの。
描かれているのは、あくまで発展家なゲイの日常なので、かなり偏っていると思うのだけど実際のところはわからない。プウ助さんの前職はゲイ専門雑誌のライターということなので、その世界の奥の方の住人であることには違いないけど。内容は、とりあえず発展場で出会った相手との一夜愛に始まり、両親との関係(限りなくライトに描かれる)、そこらの乙女顔負けの乙女思考話、尋常じゃない足の指&靴下フェチの話、彼氏とのココロ暖まる(?)エピソードなどなどが、あくまで下方面メインで描かれる。プウ助さん、漫画とはいえ性欲旺盛!楽しそうだからいいけどさぁ。
「ゲイのお付き合いは身体から♪」を地でいくちょっと下品なエッセイです。
オススメはしないけど、私は好きだ(笑)
ちなみにタイトルの「ダレセン」とは、ゲイ用語で「恋愛・セックスの対象が誰でもOKな人のこと」だそうです。う~ん、奥が深いんだか浅いんだか!!

今回まとまった連載分よりも後に描かれた話の方がメンタル系の話が多かったような気がする。ページも1ページ漫画から4,5ページのショートエッセイコミックに変わっていたような。そちらの方が面白かったので、次の巻も出るといいな。


「37℃」(杉原理生)

37.jpg
「悪いんだけど、俺をしばらく泊まらせてくれないか」 銀行に勤める野田に突然掛かってきた数年ぶりの電話。それは、大学時代の野田の秘密を共有する男、若杉からだった。泊めることを了承してしまえば、面倒なことになる… そうわかっていながら、野田は頷かずにはいられなかった。とっくに終わったはずの関係だ…… それなのに…? 静かな熱病のような恋が始まる──

1年前に読んだ時はどうにも野田のことが好きになれず辛い感想を書いていたのですが、頭の隅にいつまでも引っ掛かっている話だったので再読してみました。そしたら・・・とても面白かったので書きなおしました。前に読んだときは「キレイな恋愛物」が読みたい気分だったのかしら。う~ん、杉原作品は再読して好きになるケースが多いな。

人を好きになるということは、もちろん美しいだけではなくて、無償の愛情なんて存在する方が稀有で、相手よりも自分の方が可愛いくて、打算や逃げや駆け引きや、そういうずるくて汚くてしょーもないことを繰り返して、でもやっぱり相手が欲しいという気持ちの上に成り立っているという、ドロドロな面があるものなのですよね。
なんというか、これは正真正銘「恋愛」の話。
37℃の微熱を抱えたいい大人の男達が恋愛に右往左往して、お互いはおろか他人をも傷つけてしまう話。
恋愛は時に周囲の人間を巻き込んでなぎ倒して進む戦争のようなものなのですよね。その定義でいえば野田の妻も、若杉の元恋人も、決して一方的な被害者ではなくて、いうなれば「敗者」ということなのだ。

前は野田が妻にしたこと(ゲイでありながら結婚した後セックスレスになり離婚)に対して怒りがあったのだけど、再読して思ったのは、恋愛(結婚も)ってのは究極的には「二人の問題」であって、どちらか一方にだけ「非」があるケースなんてそうないのではないかということ。もちろん彼らの問題は表面的には野田に全面的に非かあるように受け取れるし、実際その通りなのだと思う。でも、野田と妻が上手くいかなくなった要因を語るのは野田な上、彼自身の語りを信頼するには、あまりに不安定さや揺らぎを抱えている人物でもある。「自分だけが悪い」という口上は、マゾヒストの彼にとっては「逃げ」であると同時に「快感」でもあったのだろう。野田の徹底した精神的マゾヒストぶりが空恐ろしかった。特定の人間の時間を「食い潰す」行為が恋愛(結婚)であったとして、その食い潰された時間の責任の所存をどちらか一方にあると部外者が決めつけるのは危険だし、何よりも相手にばかり責任を求めるのは、違うような気もする。(ま、現実はそんな綺麗事云ってられる世界じゃないよな。責任追及=お金だもの)
何が云いたいのかというと、再読したら野田のことを結構好きになってしまったよということです(笑)

敬虔なクリスチャンだった親の期待に答えられないことで、野田の心には深い穴が空いていく。精神的にも肉体的にも責められると安心するという歪んだマゾヒズムが形成され、ゲイであることを肯定も否定も出来ず、ただ、人並みの出世欲や地位の確立を人生の目標として(銀行員という職業の堅さがじわじわと効いてくる。ありがちだけど、とても良い設定だと思う)でも、何をしていても満たされることはなく枯れ切っている。そう、彼はとんでもなく虚しい人間だ。でも、野田の抱える問題は「誰も気付かない類の不幸」であって、そこに執着する若杉だって十分厄介な「寂しがり屋の恋愛依存症男」。若杉が持つ湿っぽすぎる感情をぶつける相手として渇き切った野田を選ばずにはいられなかったように、野田も若杉にしか反応しない心と身体を持っている。
結局、割れ鍋に綴じ蓋的な似合いの二人なのだと思った。

この話の面白いところは、彼らの恋愛の成就と罪を同じ重さで描いているところにあると思う。最終的に野田の妻は「敗者」ではなく「犠牲者」になってしまった。彼らの贖いの行方は―?というところで話は幕を閉じる。
徹底して甘くない、苦い苦い恋の話でした。堪能しました。




「孤島の鬼」江戸川乱歩

孤島の鬼 (創元推理文庫)孤島の鬼 (創元推理文庫)
(1987/06)
江戸川 乱歩

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密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。だが、そこで2人を待っていたのは、言語に絶する地獄図の世界であった…!『パノラマ島奇談』や『陰獣』と並ぶ、江戸川乱歩の長編代表作。

明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします。
新年最初の感想は読み始めたときから「これにしよう!」と決めていたこちらの本です。
本当はもっと早く書きたかったのですが思いのほか読了まで時間がかかってしまい、読み終えたのは実家に帰省した大晦日でした。大乱歩の有名傑作長編ミステリということでご存知の方も多いかと思います。私にこの奇想天外な物語をまとめ上げる力はないので感動と衝撃に反して短文ダラダラ長文です。っていうか、スミマセン本当に長くなりました。最長かも・・・。
おまけに夜中の変なテンションで書いたせいか、いつにも増して恥ずかしい感じです。

ネタバレしますので、未読の方はご注意くださいませ。






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