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まとめて感想

久しぶりにまとめて感想いきます♪
5月後半はバタバタしていてあまり読書に集中出来なかった為、ダラダラ感想はおあずけなのです。

Don't touch me (新書館ディアプラス文庫)Don't touch me (新書館ディアプラス文庫)
(2010/05/10)
一穂 ミチ

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苦手だ苦手だと云い続けている一穂さんの新刊。今回は初社会人CPに加えて挿絵の高久さんが好みだったこともあり、リベンジとして購入。潔癖症の連(受)と特殊清掃作業員である長谷川(攻)の物語。結論から云うと…やっぱり苦手な印象は拭えなかった。そして難点が文体にあることを「藍より」の時よりもハッキリと思い知らされてしまったかな。ただ、ストーリーは面白かったです。かなりギリギリな描かれ方をされている連の性格(ちうか、同い年として正直アウトだった)だけど、連が潔癖症になった原因であろうトラウマへの語り方がとてもアッサリしていて、でもだからこそ外側から見ると脆さがよくわかるのだろうなと思って切なくなった。前半では連の問題に焦点が当てられて、後半では幸せな二人の後日談かと思いきや、長谷川の方にも問題があることが判明する。彼の問題については、もう少し突っ込んで欲しくもあったけど、その解決方法のファンタジックさ含めて、とても私の好みではありました。文体は個人的な好みなので仕方がないと思うのですが、その、なんとなく「文学部臭」を感じてしまうの、よ。文章は上手なんだけど、本人がキモチイイからその単語を選んでいるのだろうなという置いてきぼり感を覚えるというか…。いや、相性の問題ですね。失礼しました。

凍える月影 (プラチナ文庫)凍える月影 (プラチナ文庫)
(2010/05/10)
いとう由貴

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私にしてはとってもとっても珍しい「時代物」!その理由は一にも二にも表紙の美坊主!!
先日樹生さんの「極楽浄土」で坊主の素晴らしさに身悶えた直後の出会いですから、仏のお導きを感じずにはいられません(笑)。いとう由貴さんは初読(というか、初耳)だったので著作一覧をザッと眺めたのですが、キラキラしい感じですね。今作は簡単に云えば「傾国復讐譚」ですが一捻りあって、その後にある攻めの「成長譚」に比重が向けられている。その為面白かったのだけど、ちょっと散漫な印象だったかな。どちらに感情移入することもなくスルスルと展開してしまったというか。正室の陰謀によって家族を殺され稚児として生きるしかなかった月永は、美貌を武器に実の兄を籠絡して国を滅ぼす為の陰謀を巡らすのだけど、何もかもが「月永の美貌ありき」で成立するのですよね。BLでそこをツッこむのは反則な気もするのだけど、月永が「男である必然性=BLである意味」が私にはあまり感じられなかった、です。あと、端から「色仕掛け」でと覚悟を決めている月永なので、肉欲に対する罪悪感(時代がら仕方ないのかも?)が描かれなかったのが個人的に残念かな~。朝南さんの挿絵は素晴らしかったです。

かわいさ余って何かが百倍 (アクアコミックス)かわいさ余って何かが百倍 (アクアコミックス)
(2010/05/12)
エンゾウ

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評判の良さに気になって手を出してみたら、とても面白かった!
年下のドエス男と、彼に惚れられた流されやすい受けの話。年下特有の「可愛げ」というものを微塵も持たない凶悪な面構えの攻めが新鮮だった。「好きな子は苛めちゃう(ハート)」なんてレベルではないドエスっぷりが読んでいて爽快ですらある。年上の男に流されて都合のイイ男にされるばかりだった受けだが、一見身勝手だけど十分に自分のことを想っているドエスの愛情に流されて幸せになるといいよ。同時収録の高校生物も短編ながら上手にまとまっていて良かった!そしてもう一つ収録されているのが、ニューハーフ×ボーイの話。女の格好をしている彼が自分のことを好きだというから付き合ってみたら意外に可愛くて好きになったけど、実は彼女は攻めだった―という、これも良く出来た話。ところで他所様で拝見した感想でもあるのだが、共感したので書いておく。最後の話の関係性はヤマシタトモコが以前に描いていたので既見感があったのは事実だが・・・そう、エンゾウさんは確かに「ヤマシタトモコっぽい」部分を感じさせる作家さんだと思うんだ。表題作の受けが攻めに対してブチ切れるシーンの運び方とか、ね。でもそれは別に真似をしていると云うようなことではなくて、創作物は何かしらの影響を受けるのは仕方がないことだし、エンゾウさんにはエンゾウさんの魅力があると思う。ただ、決して弱くはない影響を私が感じるのは本当なので、次回作でどうなるかが気になるかな。

50×50 (ビーボーイコミックス)50×50 (ビーボーイコミックス)
(2010/05/10)
国枝 彩香

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楽しみにしていた国枝さんの新刊はコメディ!
楽しいのは当たり前だよ、だって国枝さんだもん♪強いフェチ嗜好を持った残念な男前二人が、その残念さ故に失恋→痛飲→泥酔→真っ裸で朝、を繰り返すドタバタ劇。受け攻めは決めずに何度も同衾して、ラストでようやく何かしらの想いが見えてきたような…という所で以下続刊なのですね。彼らが「ラブ」にならなくてもいっそ構わないぐらい、面白いコメディだった。毎回フリ役で登場する女性陣の麗しさにも満足。あとは私好みの国枝漫画御用達「黒髪ウエーブヘアーのフェロモン系オッサン」が出てきてくれれば文句なしです♪

愛憎連鎖 (ラヴァーズ文庫)愛憎連鎖 (ラヴァーズ文庫)
(2010/05/25)
バーバラ 片桐

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バーバラ&奈良コンビのラヴァーズ文庫といえば、前作は私が店頭で購入を躊躇したのは後にも先にもこれだけというトンデモ表紙(遠い目)。今作は店頭で買ったけど、これまた潔いほど見事にエロしかない!テーマは主人公(受)と先輩(攻)先輩弟(攻)による「3P」ですね。プレイのメインは乳首です。実を云うと、お道具てんこ盛りの3人遊びは私の好みではない。三角関係が好きではないのと同じで、常に1対1というのが恋愛小説では理想なので。しかし、これだけ頑張られたらそりゃあ満足だよ、満足せざるを得ないよ!ままま、前作の時も思ったけど、もう少し核となる話のオチや展開をどうにか出来ないかと思うのだけど…ポルノ小説だと思えば無問題ですね。面白かったです♪


まだまだ読了本はあるのですが、とりあえず今回はこのへんで~。
来月は兎にも角にも「憂鬱な朝②」が楽しみ!とても楽しみ!!

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「災厄を運ぶ男」水原とほる

災厄を運ぶ男 (キャラ文庫 み 3-7)災厄を運ぶ男 (キャラ文庫 み 3-7)
(2010/04/27)
水原とほる

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倒産寸前の父の町工場を継ぎ、多額の借金を背負った秀一。金策に悩む秀一の前に現れたのは、大学で同期だった戸田。ヤクザまがいの金貸しを営む戸田は、「無期限で金を貸そうか」と囁いてくる。悪魔のような美貌の笑み―疎遠だった十年を埋めるかのように近づいてくる戸田に破格の条件を提示され、とうとうその手を取ってしまう秀一だが…!?情欲の焔を隠し持つ男と堕ちる宿命的な恋。

何作読んでも登場人物達の気持ちがサッパリ掴めずにいた水原作品。
これはもう相性の問題だと最近では読んでいなかったのだが、熱烈なコメントに背中を押されて(tさん有難うございます)久々に手を出してみたらとても面白かった!
以下、ネタバレ注意

***

惚れられたのが災難だと思って諦めろ、と云わんばかりの無体さで秀一に迫る戸田だけど、どこか一歩引いているようにも感じられるのだ。押し倒して抱いたところで秀一の心は決して自分に向きはしないとわかっているんだよね。狡猾な男なのにまめまめしく工場を訪ねてきたり食事に誘ったり、断られて拗ねて見せたりと、意外に子供っぽい普通の一面も持ち合わせていて可愛い。災厄を運ぶ男はしっかり「秀一に惚れている男」でもあるのだ。弱みを掴んで金を貸し、弱みをチラつかせて犯罪に引きずり込み、それでも時々見せる戸田の罪悪感や遠慮のようなものに、私は二人の関係の対等さを感じ取って萌えてしまった。

秀一の「平凡さ」が戸田にとっては、戸田の「異質さ」が秀一にとっては羨望だったのだ。ないものねだり、と云えばいいのかな。自分にはない魅力を互いに感じて目が離せない様を。その執着が戸田はわかりやすく欲望という形で表れているのだけど、秀一は違うんだよね。秀一は「流されている」自覚を持ちながら諦め半分で身体を差し出す。愛でも恋でもなく、無理矢理の凌辱でもなく、ただ本当に流されて抱かれてしまっただけという。そんな秀一の開き直ったふてぶてしさが、甘くない関係を際立たせていて好きだった。


ドタバタ逃避行の果てに、秀一は妻子を選ばなかった。
堕ちていく快感に抵抗することが出来なかったのだ。この選択が私はとても気に入った。
女の私が何をと笑われるかもしれないが、わかる気がしたのだ。水原作品で初めて感じる共感だ(笑)戸田は道を用意したかもしれない。だけど手を引きはしなかった。秀一は自らの足でその道を歩き出していたのだ。妻子の幸いそうな姿を見届け、何も声をかけずにそっと立ち去る秀一は「平穏」な人生の退屈さに気が付いてしまったのかもしれない。失踪する人間というのは、きっとこんな風にストンと日常を捨て去ってしまうのだろうなと思った。もしかしたら安定した仕事を捨てたときから前兆はあったのかもしれない。彼の本質は戸田側にあるということを、本人はおろか戸田でさえも気付くことはなかったけど、物語が始まったときから示唆はしていたのかもしれないな。離ればなれになった妻子が「不幸」であれば、絶対に秀一は妻子を選んだと思うのだ。女だった妻が母になり、自分の計り知れない強靭なものへと変化していく戸惑いが書かれる一節にもえらく共感してしまった。そして後半を読みながら「水原さん、その展開だけは絶対にやめてね…」と密かに心配していたことが杞憂に終わったことに心底ホッとした。それは何かと云うと、「妻に新しい男が出来ること」だったのね。秀一に最後の最後で責任転嫁や自己弁護だけは絶対にして欲しくなかったから。

秀一はすべての選択の責任が自分にあると繰り返し自問自答する。決して自己弁護をしない。傍から見れば災厄を運ぶ男にブンブンッに振り回されているような経緯なのに、それでも秀一は戸田のせいにはしないのだ。「お前のせいだ」と恨み節を云っても、次の瞬間には「選んだ(流された)自分が悪いのだ」と思いなおす。なんともカッコイイ男なんだよ!
秀一の潔ささえ感じる諦観と溜息にとてつもない色気を感じて、読んでいてクラクラしてしまった。

私はラストの大団円を読んでも二人の関係に「恋愛」という名前が付けられるようには思わない。強いて言うなら「共犯」という言葉がしっくりくるかな。執着を続ける戸田と、実際には戸田がいなくたって独りで大丈夫そうな秀一と。一方通行がたまに交差するような関係性がとにかくツボだった!そんなわけで彼らの行く末に「永遠」のようなロマンスは感じられなかったのだけど、どうせなら堕ちるところまで堕ちて末永く一緒にいて欲しい。とても面白かった!

良い本を読みました♪



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「センチメンタル・セクスアリス」「メランコリック・リビドー」砂原糖子

センチメンタル・セクスアリス (幻冬舎ルチル文庫)センチメンタル・セクスアリス (幻冬舎ルチル文庫)
(2006/11/15)
砂原 糖子

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モデルの相原春巳には奴隷がいる。デカくて力持ち、家事もでき、自分の命令をなんでも聞く男。そんな都合のいい奴隷・真部仙介は理系大学院生。春巳とは幼馴染みだ。高校卒業の時、仙介に告白されプロポーズのように申し込まれた同居を始めてから4年。セックスの真似事はしているが、ホモじゃないから最後まではしない―そんな春巳に仙介は…。

唐突&今更ですが、私はツンデレというものが大好きなのですよ。
今作の主人公春巳は紛れもないツンデレで、しかもアホというオマケ付き。そう、ツンデレというのは別に優等生だけの特権じゃないのよね!この春巳のアホさ加減が可愛くて可愛くて、外出先で読んでいたのですが家だったら間違いなく萌え転がりましたよ(笑)久々にキャラ萌えの小説を読んでいるな~とニヤニヤしながら楽しんでいました、途中までは
奴隷宣言という名のプロポーズをした仙介とワガママ放題の春巳の関係には、「なにが先か」という捻りが加えられている。先に気持ちがあったのはどちらか。同性愛者だったのはどちらか。問題をややこしくしているのはどちらか。そこに絡んでくるのが春巳と過去の事件、そして父親との関係なのだが、伏線はあったものの春巳のアホキャラに惑わされたのか「あ~、そうくるか!」という驚きとともに読んでいました。関係の転換が素晴らしく鮮やか!
その辺りの心理描写を楽しませつつ、萌えとも直結している。文句なしに面白い作品でした。

実は読了直後の私のテンションはちょっと普段では有り得ない感じだったのだけど(帰り道に自作のアホッコツンデレの歌を口ずさむぐらいでしたから。酔ってましたけど)、文字にすると落ち着いてしまう自分が残念・・・。何が萌えるって、エロがすごく良かったのよ!!春巳の「早い」という性質にも萌えたのだが、一番ゴロゴロしたのはラストの挿入時に仙介が入りきらない部分を自分で扱くという描写にですね、え~と、は、発狂するんじゃないかという萌えを感じました。仙介はそれはもう我慢強い寡黙な男で気持ちを伝えるのも当然不器用なのに、最中の気遣いや行動の端々から春巳のことが大切で仕方ないという気持ちが痛いぐらい伝わってくる。それがキュンキュンで顔が綻んで大変でした。回数的にもホップステップジャーンプと三段階あり大満足。出来上がりつつあるカップルの行為なのに、三段階(厳密にはムリヤリ含めると四段階)のすべてに意味と萌えがあってイチイチ萌えるんだ!アホッコツンデレ万歳!!

*****

メランコリック・リビドー (幻冬舎ルチル文庫)メランコリック・リビドー (幻冬舎ルチル文庫)
(2009/04/15)
砂原 糖子

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中沢千夏史には好きな人がいる。九つ年上の売れっ子カメラマン日和佐明。日和佐は男も女も来る者拒まず、だが「子供は嫌い」と千夏史を相手にしてくれない。九歳のときに出会った日和佐は亡き兄・由多夏の恋人で、千夏史が恋心を抱いても叶わない存在でもあった。そして、二十歳になっても、千夏史の想いは募る一方だが…。

こちらは「センチメンタル」で当て馬役だった日和佐の物語。
「博愛主義」と嘯き男も女も大好きな遊び人と、そんな日和佐を出会った時から一途に想い続ける主人公の千夏史。そして二人の間に横たわるのは亡き兄の存在。以前ブログに書いた記憶があるのだが、私は「ライバルは死者」という関係性の物語が好きではない。なぜなら、死者を越えるのはとても難しいことだから。記憶は消しさることが出来ず更新もされない。「彼はこうだった」と自分で思い込んでしまえばそれが真実になる。日和佐も例外ではなく、「由多夏はこういう人間だった」と過剰にミステリアスに捉えている節がある。死者の気持ちは誰にも確認出来ない。だから、残された人が気付く(変える)しかないのだ。「子供は嫌い」だと千夏史を邪険にし続けた日和佐も実は大人になり切れていない大人で、その成長を止めてしまっているのは、一番大切だった他人の「本当の気持ち」を知る術を持たなかった後悔なのかもしれない。知ってしまえば傷付くと尻込みし続けて失ってしまった臆病な自分への後悔。「子供だ」とバカにしていた千夏史の真っ直ぐな気持ちが、日和佐は眩しくもあり怖くもあったのだろう。「子供」の千夏史を認めてしまえば、過去の自分達の記憶が近づく。「子供だったから」と記憶の片隅に追いやることも出来ず、かといって面と向き合うことも出来ない「あの頃」が見えてしまう。

上手いなと感心したのが日和佐の職業で武器でもある「写真」の使い方だ。
「記憶」は必ずしも真実を写さない。だけど写真は違う。写真は正しくその時を写し、しかも不変だ。
何を考えているかわからなかった恋人の真実は思いがけず近くにあった。だけど日和佐はその真実から目を背けて大人と呼ばれる年齢になってしまった。そんな彼が過去と正しく向き合い、「ああ、子供だったんだな」とストンと気持ちが落ち着く場面に感動してしまった。ミステリアスなはずの死んだ恋人は、30の日和佐から見れば紛れもない「子供」で、わからないと思い込んでいた恋人の「気持ち」さえも見えてきたのだ。大人になり切れなかった男が、子供だった自分達を発見したときに成長をする。この話で描かれているのは日和佐の成長憚に他ならないのだ。
日和佐と千夏史の関係に兄の存在はこれからも横たわり続ける。兄の存在を超えることは出来なくても、想い合う二人が幸せならばそれで良いではないかと素直に思った。こちらもとても面白い作品だった。

人気作家様の人気作品という事で感想は短めに~。
以下は砂原さんについて思ったことです。

何らかの「心の問題」を抱えてその為に行動と心理に多少のズレが生じてしまう登場人物。その心の問題というのは、トラウマと名前が付いてしまう程大きなものもあれば、人が生きていく過程で必ず付いてしまう「疵」のように些細なものまで多岐に渡っている。誰もが持つ小さな心の「疵」。時には自分でも気が付かないようなソレは見過ごしてしまえばそれまでだけど、絶対に何らかの形で表出はしていると思うのだ。砂原さんは、そんな誰もが普遍的に持つ「心の問題」を描きたい人なのだろう。
ということを思いながら、今まで何作読んでも「こういう人」という印象を定めることが出来なかった不思議な作家さんでもあったのだが、それはたぶん、作品を自分の書きたいもので終わらせない強い意志のもと小説を書いているからなのではないかな。作家の萌えと読者の萌えを擦り合わせるのではなくて、まず、読者の萌えどころを熟考してブレがない人。だから「心の問題」を描き続けながら、こんなにも「多彩」なのだと思う。砂原初心者(というか、BL小説初心者ですね)が何を偉そうなと思われるかもしれないが、二作品読了後には、とんでもなくプロ意識が高い人だと感心してしまったのだ。


というわけで、遅ればせながらファン宣言とさせていただきます~。
良い本を読みました♪



「極楽浄土はどこにある」樹生かなめ

極楽浄土はどこにある (ピアスノベルズ)極楽浄土はどこにある (ピアスノベルズ)
(2004/03/06)
樹生 かなめ

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都会の異次元空間、泉妙寺は筋金入りの貧乏寺。しかし美貌の住職・松前義旬は貧しさなど意に介さず、托鉢と自家製の野菜を日々の糧にひたすら清く正しい生活を送っていた。そんなある日寺にやってきたのは檀家であり美術商を営んでいる美青年・仁科博紀。彼はこともあろうに泉妙寺の仏像を外国人客相手の商品として売り出したいと言ってきた。頑なに申し出を拒もうとした松前を陥落するため、博紀が取った神仏をも恐れぬ行動とは―!?

感想を上げて良いものかと、一瞬、ほんの一瞬だけ迷ったこちらの作品。
仏罰覚悟でいきまーす(嘘です、見逃して下さい)
以前、他所様のブログでドン引き感想を拝見した時から気になっていたのです。
その理由は兎にも角にも大根!!
ええ、このブログを読んで下さる方は何に使うかおわかりですよね(笑)?
「そうか~、坊主に大根か~、それはとっても面白そうだなぁ」とドン引きされていた他所様を傍目にヒトデナシな感想を抱いてしまったのでした。その時は「樹生かなめ」という著者名を特に意識することもなかったのですが、最近になって「そういえば坊主に大根の作者じゃないか!!」と気が付き是が非でも読んでみたいと思っていたところを古本屋で捕獲したのです(仕事柄あまり話題に上げたくはないのだけど、行きつけの古本屋には御縁を感じる)。

ピアスノベルといえば投稿規定の要項にハッキリと「全体の1/3以上がエロ」と書いてある伝説のレーベルですが、読む前は、そうはいっても樹生さんのこと、またアサッテな方向のスンドメエロ描写なのでは?と予想していたのでした。
とんでもなかった。
これは、まぎれもないアホエロです。え~と、アホエロですよね?
ちょっと自信がないのは樹生さんが後書で「裏には深いテーマが」と仰っているからなのだけど、それは兎も角、アホエロはアホエロに間違いないと思います(何度云うつもりだ)。しかも、私の気持ち的にはアホエロエロとエロをもう一つ追加したいぐらい、罰あたりにも萌え滾りました(笑)えーと、毛がないってエロスなのですね。目から鱗と云うか、「開眼」というか、挿絵の神葉さんの神技カットの力も大きいのですが、ツルツルの坊主頭にキスの雨を降らす博紀の気持ちがわかるような気さえします。なんというか、住職が可愛いの!可愛くて可愛くて仕方ないの!!
「泉妙寺の住職はいやらしい尻が二つある」など悶絶するような台詞の数々。特に可笑しかったのが「人参ごときに初物を譲るなんて一生の不覚です」という台詞。そんな台詞が吐かれるからにはその前に人参による描写があったり大根による描写があったりするのですが、そしてそれは超無理矢理だったりするのですが(そりゃあドン引く読者もいるだろうよ…)、なぜか不思議と下品さは感じないのですよ。以前から思っていたのですが、樹生作品にはいつもある種の品の良さを感じます。それは、エロを「扇情的」に書こうとしていないからだと思うのですよね。「極楽浄土」は樹生さんにしてはエロエロだと思いましたが、それでも「坊主に大根」がとにかく書きたかったのだろうなと思わせる抑えがある(もしくは、抑えなんて意識しないで自然に書いているのかな)。線香や蝋燭を突っ込むのが上品なのかよ!?と云われるとスッと視線を反らしたくなりますが(笑)、兎にも角にも大満足です♪

「H場面1/3以上」という規定をクリアする為だと思うのですが、今まで読んだ中では受けと攻めの「対話」が成立しているようにも感じられました。まぁ、攻めは相変わらず人の話を聞かない奴なのですけどね。どうしてコミュニケーション不全とも取れるような関係性の二人を描き続けるのだろうと真剣に考えてみたのですが、恋愛の成就云々は樹生さんにとってはきっと二の次三の次なのですよね。特殊な環境や状況にある「受け」を通して、社会全体を俯瞰する視線を持っている。痛烈な皮肉や批判になっていないのは、何らかの決断を下す立場にはないと著者自身が自制をしているからなのかもしれないな。だから極端な話だけど、「社会×受け」小説とも云えるかもしれない。もちろん「攻め」の存在は不可欠だけど、「社会」と対峙する解決方法のようなものを示唆する役割は含まれない。それも当然で、社会との関係は解決策があるような問題ではないからなんだよね。
貧乏故に崩壊寸前の寺を抱え、清貧を地でいく生活を送る松前(住職)。お寺は檀家のお布施がなければ成り立たない。昔は定期的に法事を組み、その度にお布施をしていった周囲の檀家達だったが、時代が移るにつれ人々の信心深さはなくなり、人は死者を悼む心を現実生活の厳しさの中に置き忘れてしまった。そのことを嘆き悲しむ松前だけど、変わってしまった人の心は取り戻せない。そしてどんどん貧乏になっていくというスパイラル…。そこに白黒ハッキリした答えは存在しないわけで、後書にあった「テーマ」とはこういうことなのかなと思いました。

現在絶版というのが本当に残念。
大根描写に引かない自信がある方、心からオススメします。
かなり罰当たりな話ですが、私は好きです!大好きです!!これも続編希望!!


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「狂ひもえせず」まんだ林檎

狂ひもえせず (バンブー・コミックス 麗人セレクション)狂ひもえせず (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
(2003/07/26)
まんだ 林檎

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すき。愛してる。恋。
……ああ、そうじゃない。僕らを駆り立て追いつめるのは、
心よりも肉体、邂逅よりも血…
そう、本能であり宿命なんだ―――。


ずっと探していたまんだ林檎先生の作品集(現在絶版)。昨年「LOVE SONG」でその魅力に気が付いたものの、ショタからギャグに男女物と作風の幅が広いのは知っていた。感動を生み出す人は同時に狂気(虚無?上手い言葉が見つからない)も生み出すことが出来るのだ。これは徹底的に「愛」が不在の作品集。その代りこの中には「人間」が居る。愛などなくても人は欲情を覚えるし、存外この世はそんな関係性未満の空虚さで出来ているのかもしれないと思ってしまった。


「狂ひもえせず」
表題作は画家と双子のトライアングル。
女が愛した男は誰だったのか、男が愛した女は誰だったのか。
三者三様に残酷な片思い劇。
ただ一人狂うことを許されなかった画家の目に写るのは、孤独と云う名の絶望でしょうね。
中也の詩が効果的。

「ソラリゼーション」
solarization(写真用語)―写真感光材料に過度の露光を与えた時、適正露光の場合と明暗が逆になる現象。反転。
美術教師×陸上部員。
走れなくなった少年は走行の快楽をセックスの快楽に置き換える。
教師が愛の不在を嘆いたとしても時は既に遅く、彼らの間に横たわるのは身体の関係のみである。
「高階君は走る時どんな感じがするの?」
「気持ちいいの はじめは苦しいんだけど だんだん頭の中が真っ白になって 耳鳴りと自分の息と空だけが ぼくの世界になるんだ」
関係を間違えてしまった大人(攻め)が後悔する図というのが、私は好き。
遅いんだよ馬鹿野郎とほくそ笑みたくなる。

「AFTER 16」
16年の時を経て再会した同級生二人。
主人公は再会相手が自分のことを慕っていたことをタイムカプセルによって知り、関係を仕掛ける。
そうそう、私が「再会物」を読むときにたまに感じる違和感はこれなのよ!!
人は変わる。性格や容姿だけではなく置かれている環境によって周囲の評価や価値も大きく変わるもの。過去に盲目的に好きだった相手と再会したからといって、相手と自分に変化と誤差が生じないなんて、そんな可能性の方が限りなく低いと思うのだ。これはそんな視点に真っ向から答えてくれた残酷な話。昔と現在、愛は互いに一方通行。またも不在である。

「僕らは快楽に貪欲です。おそらくは愛よりも恋よりも」
この作品集の裏テーマそのものと云っても過言ではないと思うタイトル。
アナルセックスに興味を抱いた主人公がホモだと噂のクラスメイトにセックスを仕掛ける。
受け側にまわる彼(なにせ興味はアナルセックスなので)は自分が同性愛者ではないことを自覚しているし、ホモのクラスメイトもそんな彼のことをわかっている。快楽が先に立ったとしても気持ちは後から付いてくる(こともある)という性愛ドリームを見事木っ端微塵にしてくれる話。教室でのとち狂った告白とキスから、僅かに「愛やら恋やら」の片鱗も覗かせるけど、私はこの二人の間にあるものはタイトル通りなのではないかなと思う。一番のお気に入り♪

「痴漢電車」
「晴れた日には黒い傘を持って」が痴漢OKの符牒という、現実にも起こり得そうな集団セックスを淡々と描写した作品。男性向けエロ雑誌を読むと、男でも女でもそういった願望(他人の欲望にモノのように扱われたい)を持つ人は意外に多いのだとわかる。うん、本当にそれだけの話なのだけど、欲望に忠実な人間というのは理解の範疇を超えると怖ろしく感じるというのがわかった。何もかも望んで堕ちていくサラリーマンが、結構怖い。

「ケツメイト」
ギャグである。
国枝さんの不細工よろしく、シリアス作品のオアシス的存在(?)
え~と、ハゲデブのリストラ中年オヤジが自殺を試みようとしたところを、真性サドホモの美青年に拾われてM奴隷調教を受けつつ生きる希望を取り戻す話である(笑)たぶん、一番「愛」がある、かな・・・。続編になっている描き下ろし「まぼろしの村」もつい笑ってしまった!ギャグが描ける人はやっぱりなんでも描けるのだ~。


絶版本ということで入手は難しいかもしれないけど、ネット配信などで読む手段はあります。
とっても読む人を選ぶだろうし、「愛がない」は大袈裟でもなんでもない感想です。でも、読んでいて爽快感すらあったのでこういう作品は自分の性に合っているのよね。漂う文学臭といい、心の底から楽しめました!(なにせ私もエセ文学少女ですから)
まんだ先生、最近は男女物の方が多い印象ですがまたBLを描いて欲しいなぁ。2作品読んで思うのは、まんだ先生は短編が本当にお上手!明治さんやヤマシタさんも短編が上手だと思うのですが、良い意味で「続きが気にならない」というのが共通点かなと。絵柄は今も同様にちょっとした「泥臭さ」や「ダサさ」「湿っぽさ」があるのだけど、それが隠微な雰囲気を醸し出していて合うのよね。

良い本を読みました♪



「落花流水」凪良ゆう

落花流水 (SHYノベルス)落花流水 (SHYノベルス)
(2010/04/27)
凪良 ゆう

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自堕落な生活を送る井上一也は、ある日想いを寄せていた、成田夏生に再会する。夏生は五年前、軽蔑と嫌悪の眼差しをむけ、一也の前から突然、姿を消した男だった。夏生は借金を作った婚約者の妹が、風俗店で働かされそうになるのを身を挺して助けにきたのだ。そんな夏生に、どうすることも出来ない苛立ちを感じた一也は、借金のカタをつける代わりに、夏生に身体を要求する。期限つきの関係でいい。心まで望まない。夏生が欲しい―と。

楽しみにしていた凪良さんの新刊。
本や歌のタイトルでたまに耳にする「落花流水」という言葉。恥ずかしながら、私は今作を読書中に辞書で引くまで意味を知らなかった。「諸行無常」と同じような意味だと思っていたよ・・・。正直、作品自体の感想は難しいというか辛めになってしまいそうなので見送ろうかとも思ったのだけど、言葉の意味を知ったことが嬉しかったので書き残すことにしました(我ながら変な理由だ)

感想はとっても微妙&辛めなのでご注意を~

***


落花流水―①落ちる花と流れる水
        ②(落花に情があれば、流水にもまた情があってこれを載せ去るの意から)男に女を思う情があれば、女にもまた男を慕う情の生ずること。相思相愛。


なんとも幸福なタイトルを与えられた二人のどこまでも幸福な話。
それはもちろん構わない。ただ、私の琴線に触れなかったのは、その幸福が「他者」によって成立していたからだと思うのだ。借金のカタに身体を要求というBL小説界ではよくある話も、婚約者のオチも構わない。しかし、強力な第三者のお膳立てで幸福を手に入れる姿には違和感を抱かざるを得なかった。そして第三者がお膳立てをする理由というのも、二人の逃避行自体が、後に続く因縁への伏線になっており、読んでいて戸惑いを覚えてしまったのだ。

逃避行には取捨選択が付きものだが、彼らは平穏な日常を捨て去りながらも多くの物を持ったままのように感じた。汚泥すらも生温く、だけど、彼らは只一つの恋を叶えて幸いそうである。
読者としては、彼らを庇護した男に訪れた吉報の行方を楽しみに待ちたいところ。

私は以前凪良さんがお持ちの倫理観のようなものに対して、家族関係に対する視線がシビアという感想を抱いたのだが、強固な繋がりを持っているからこそシビアに描かざるを得ないのかもしれないと今作を読み思った。一也も夏生も「家族」の一方的な行動や期待に振り回される人生を送っている。一也は母子家庭に育ち、高校卒業後は就職をして母親の面倒を見ようと考える、素行はともかく根は非常に真面目な高校生だった。しかし母親の男の出現で事情は変わることになる。こういった流れを持つ小説もまた多いのだが、一也はいつまでも母親との縁を切れずにいる。それも当然で、母親は男と暮らしているが一也に対して直接邪険にしたことはなく、居心地の悪さを感じた一也が自ら家を出たに過ぎないのだ。親子の間に決定的な亀裂はなく、また、情も存在する。夏生もまた失くした兄の分まで過剰な期待を背負って息苦しい人生を送る青年だったが、彼と両親の間にも決定的な亀裂は訪れない。一也の手を取ることにしてもなお、夏生は家族に「手紙」を送ると云う。そのバランスが、上手く云えないのだけど凪良さんなのかもしれないなぁなんて思ったのだ。

***

う~ん、アップするか非常に悩んだのだけど・・・私、凪良さんが好きなのですよね。今作は好みではなかったけれど、読めば何かしらのモノを与えてくれる作家さんだと思っています(無理矢理こちらが受け取ろうとしているだけな気もしますが・・・)。なので怖々上げてみました。一也の安っぽさも夏生の臆病さも、私の理想とする人間像とは程遠い二人なのだけど、愛やら恋やらのために身を持ち崩す二人を救った「男」の脇役とは思えない存在感は楽しめました。
あと、私の逃避行物の理想的結末は「テルマ&ルイーズ」だったりするのですよ(笑)楽園は二人だけのものという、ね。

そんなこんなで微妙な感想となりましたが、これからも楽しみにしています!


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気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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