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「堕ちゆく者の記録」(秀香穂里)

『9月1日、俺は目覚めると、檻の中に囚われていた―』ある日突然、勤務先の青年社長・石田に監禁されてしまった、デザイナーの英司。「今日から君をAと呼ぶ。これは三十日間の実験なんだ」石田は1冊のノートと鉛筆を渡し、日記を書けと命じてきた。名前と自由を剥奪され、身体も精神も支配される―官能と狂気に晒されて、人はどこまで理性を保てるのか、衝撃の問題作。

昔は監禁凌辱モノが好きでした。何を求めていたのかといえばエロを求めていたとしか云えないあたりどうなんだと思いますけど、世界には二人きりという状況で追い詰められて身体はおろか心まで支配される関係に悶えていたのですね。
今は、二人を取り巻く世界があって、その世界は開かれているのに「二人だけ」を選ぶ(って普通の恋愛は大抵そうだけど)関係の方が好きです。誰にもムリヤリ人を閉じ込めて変える権利なんてないし、そこまで二人が近い(監禁という行為による物理的な近さ)関係は今の私の気分に合うものではありません。

と、前置きはこのぐらいで・・・この本、面白かったです(あれ?)
大前提として攻めが「正気の状態で狂っている」というのが凄い。会社の部下である成人男性を30日間監禁して、その様子を日記に書かせるという「実験」。それを冷静沈着に淡々と実行する石田(K)の不気味さが半端じゃないです。「愛しているから」なんてお為ごかしは一切吐かず(ある意味「愛」なのだけどね)、実験対象としてAを凌辱していく徹底ぷりに読んでいてゾクゾクしました。
監禁された人間の心理に非常にリアリティがあったように思います。監禁した相手に恋愛感情を抱く。まぁ監禁ものBLはオチとしてほぼそうなりますけどね。BLですからね。不条理なんだけど、生存本能と相まって理に適っている気がしてくるのよね。それがもう良いことなのか悪いことなのか誰にもわからなくなってしまう。開けた世界には日常がある。でも日常って一体何?それがどんだけ価値のあるものなの?って繰り返し繰り返しこの小説自体に問われている気分になってくるの。恐ろしいよ。日常で感じる乾き(職業デザイナーとしての自分の存在意義)から目を反らしていたAにとっては、監禁という極限状態で生み出されたデザインの方が価値のあるものだったという、すごい、すごいけど、心のどこかで理解出来てしまう結論を出すのよね。攻めとの恋愛関係ありきではないんだよ。狂うか狂わないかの極限状態を生み出してくれる攻めありきなんだよ。なんてストイックで強烈な回答なんだろう。そんな回答を出してしまうAだからKに目を付けられてしまったわけですが。
Kの動機には正直、心の底から迷惑な話だし大して同情する余地もないよと思いましたが、そこは「狂人」だから、ね。それにKはAに自分の生い立ちを詳細に話してはいないので、その点は良いと思いました。監禁する側が「好き」で、された側も絆されて「好き」になってハッピーエンドという安易な話ではない。萌えるかといえば、萌えない。でもとても面白く読みました。こういう話があるからBLは奥が深いです。
秀作品は結構読んでいるのですが、この人はエロが本当にエロくて、職人のような心意気を感じます。凌辱モノとしても十分楽しめました。『黒い愛情』『3シェイク』と読んできましたが、小説書きとして追い求めている理想の高さや誇りが感じられる人だと思います。常識を根本から覆そうという挑戦は尊敬にも値します。(ダメ作品もかなりあるようですが)

それでも監禁モノはこの先も好んで手に取らない気がします。趣味嗜好は面白いぐらい変化するものですねー。まあなんにしても面白かったです!一気読みでした!

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