「王朝恋闇秘譚」

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時は平安王朝時代。高貴な家に生まれながら、政変に巻き込まれ離ればなれになった綾王と吉祥丸の兄弟。寺から寺へ高値で売買され高僧に体を捧げる笛人に身をおとした兄のもとに、ある日雅な文が届く。今宵、お迎えに参ります、と。しかしそれは巧妙に仕組まれた罠だった。時代に翻弄された美しき兄弟の確執の行方は?そしてあの日の慟哭の別離の真相とは?めくるめく禁断の官能と真実の愛とを描き切る究極の耽美世界。

山藍作品三作目です。とりあえず店で買える角川文庫から攻めてみた次第。
当然のように近親相姦だとか、瑣末なことは全然気にならない耽美世界。山藍先生は耽美作家であられるわけですが、その力量は他のジャンルでも十分発揮できるのではないでしょうか。不勉強のため時代考察とかよくわかりませんが、調度装飾から言葉遣いまで、これだけ真に迫った世界観を作りだすって感服してしまう誠実さです(耽美小説を下に見るわけでは決してないのですが、それにしてもここまでやるかという驚きが)。お話全体の流れは『アレキサンドライト』とほぼ同じように感じたので、そんなに萌はしなかったのですが、数頁に一回はある濡場はこれまた美しい凌辱で大変満足しました。奇をてらった責めは・・・琵琶や桜の異物挿入かな?4Pに見えなくもないラストの濡場も凄かった。腕、疲れるだろうに。
平安時代って雅な人たちが色恋のことばっかりに心を砕いていたイメージです。男色や色事は「秘めてこそ」という私の好みからすると、『王朝』はちょっと違うかなと。でもそれよりも大きな理由が「中童子(稚児)」「笛人」「陰間」というように前提として春を鬻ぐ身分であることが食指が動かない理由かなと。上手く説明できないのですが、「稚児愛」ってあまり好きではないのですよ。どうしても女性の代替物っていう考えが抜けなくて。対等な関係の極北じゃないですか。男と男でなくてはいけない物語が見たいのよね。今では一ジャンルを形成している「遊郭物」を読みたくないのも、「花嫁物」、「女装物」があまり好きではないのも似た理由からです。結局のところ「オンリーワン主義」が好きなんだろうな。心だけではなく身体を開くのも生涯あなた一人、みたいな。はは、どこの歌謡曲だ。

そういえば卒業論文で『雨月物語』の「青頭巾」を研究しました。何年も前のことなのであまり覚えていないのですが、とにかく身分の高い僧が稚児を愛するあまりその稚児が亡くなったあと死姦をした挙句死肉を食べた為成仏が出来ずに苦しんでいた―という話です(たぶん)。「稚児愛」好きなんじゃん!?って感じですが、違うんだよ。私が「青頭巾」を卒論に選んだのはとっても下らない理由だったんです。「晴天シリーズ」の菅野彰が『海馬』の1巻で短大の卒論に「青頭巾」を選びカニバリズムについて熱弁した、という文がずーっと頭の隅にありまして、「yoriさん、決まりましたか?」とおじーちゃん先生がモゴモゴ聞いてきたときに咄嗟に「あ、青頭巾で・・・・」と答えてしまったんですね。そんなもんです文学部。
余談ですが、子供の進学に口を出す親にはならないと思いながらも、もしも子供が「本が好きだから」という理由で「文学部に行きたい」といったら私は結構な勢いで反対します。姫野カオルコがエッセイで「大学の文学部の機能というのは本当にどーしようもなくて・・・そもそも文学部というのは本来芸術大学に属しているべき学科なのである」と書いていましたが、全面的に賛成します。本は一人で勝手に読めばいいから、ね。
「青頭巾」を研究したからって別に稚児愛に造詣が深くなったわけでもないあたりが私らしいですが、就職が決まらない鬱々とした時期に、死体を食べた高僧と一体化しよう、とか呟いて妄想を繰り返していたことは楽しい思い出です(嘘)。そんなことしてるから就職が決まらなかったんだけどね。

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