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「G戦場ヘヴンズドア」(日本橋ヨヲコ)

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Gペンの戦場で戦った者だけが見える聖域
そんな意味を持ったタイトルのこの漫画。泣いたことを感動の秤にするのって好きじゃないけど、久々に泣きました。息ぐるしいぐらい熱くて苦しくて、自分の周りにある何もかもを巻き込んでも「漫画を描く」という人生を選択してしまった少年達の姿に震えが止まりませんでした。
漫画を描くということは、こんなにもこんなにも激しいことなのかな。きっとそうなんだろう。そうであってほしい。
今更確認するまでもなく、私は漫画が好きです。でも、小説を読むことは生きることだって認識があるぐらい本を読むことが自然な反面、漫画はどこか私には魔法のような世界なんです。隔たりがあるというか。真白な紙にペン1本で世界を構築すること、そこに小説が遠く及ばない奇跡のようなものを感じるのですよ。日本が世界に誇る―なんて陳腐な言葉じゃ、まったくもって漫画の素晴らしさを表現するのに不足だと思う。そのぐらい素晴らしい表現手段だと思います。素晴らしい漫画を読むと私は結構本気で「漫画の神様に感謝」と呟いているのですが、もちろんこの漫画を読み終わった後も呟く、というか唸りました。
漫画って一人で作るものじゃないんだよね。それが小説との大きな違いだと昔から感じていました。ネームの作業がどんなに孤独でも、そのネームに可を出す担当者がいなければ漫画は仕上がらなくて、緻密な作画はアシスタントの人達の協力のもと仕上がっていく。ひとつの作品を常に誰かと共有している。それがすごいなと思うんです。小説を書いていた町蔵に父親が「オナニーは布団の中だけにしとくんだな」と言う場面があるのだけど、漫画って「オナニー(作り手の自己満足)」を許さない世界なんだよね。漫画家がいて、編集者がいて、アシスタントがいる。みんなが見ている。一人ではないんだよ。日本に何種類の漫画雑誌があるかしら?(書店員なら調べろよ)。一冊の雑誌に漫画家が平均30人前後だとして・・・それがどんなに狭い門なのか想像すると絶句します。漫画家になること、漫画家で居続けること、それは凄いことなんだね。
ちなみに私の一番身近な漫画家は旦那の友達、「少年エース」で『デッドマン・ワンダーランド』を連載中の片岡人生さんです。面識ないけどさ。

長くなったのでたたみます。
人気マンガ家である父に反発し、ひそかに小説家を志す堺田町蔵。幼い頃から、マンガだけを心の拠り所として生きてきた長谷川鉄男。まるで正反対な性格を持つふたりの高校生。しかし、お互いの心の内に、共通する情熱はあることに気づいた鉄男は町蔵に手をさしのべた。運命的ともいえる出会い・・・・・・ふたりの目的はマンガを創りあげることー!!戦友とはいったいなんなのか、その意味を探り続ける著者渾身のコミック!!

偉大な父親への劣等感から身動きが取れずにいる町蔵と、天才的な漫画の才能を持ちながらカラッポの自分には何も生み出せないと思っている鉄男。町蔵の父親で少年漫画界の王、坂井大蔵の漫画を忌々しげに見つめる町蔵と、それを読んで漫画への情熱を取り戻した(ように見える)鉄男が教室で出会うことから二人の少年の運命的としか云い様のない激しく熱い日々が始まる。町蔵の小説を読んだ鉄男はそこに「坂井大蔵の匂い」を感じると云い「それよりもいい」と心からの賛辞を町蔵に伝える。厭世的でひねくれた子供のまま成長してしまった町蔵だが、鉄男の声はまっすぐ心に届いたのだ。そのときに町蔵の心は「震えた」。それはもう、運命のベルが渾身の力で鳴り響くみたいに。鉄男は町蔵に漫画の原作者になって欲しいと言う。鉄男の描く漫画を読んで町蔵は「この程度なのか・・・」とがっかりするものの、鉄男が小学生の頃に描いた漫画を読んで衝撃が走る。そこには今の鉄男の漫画とは比べ物にならないぐらい「本気」の漫画が描かれていた。鉄男にとって漫画は編集者である父親とのコミュニケーションでもあり、紛れもない天才であることに変わりはなかったが、漫画を描く目的はもう純粋なものではなくなっていて・・・。そんな鉄男に町蔵は言うのだ。

もしお前がもう一度、オレを震えさせてくれるのなら、この世界で、一緒に汚れてやる

とにかく、漫画に人生を捧げた(町蔵と鉄男もだけど)男達が熱くて激しすぎて、息が詰りそうでした。二人の父親である偉大な漫画家と伝説の編集者の漫画にかける情熱たるや、狂気の世界と言っても過言ではない。出てくる言葉の一つ一つがまるで血が滲むような本気を感じさせて、ただ漫然と漫画を読むことも多い自分の姿勢を改めさせられました。読む方も本気じゃなきゃ失礼だよ!!マジで。
初投稿作で新人賞を受賞した二人にはしかし別々の道が待っていて・・・町蔵の世界が開けていくのに比して、鉄男の世界は編集者である父親への憎しみに染まっていく。
3巻通して滅多に表情が見えない鉄男のたまにのぞく暗い暗い瞳がまた凄くて。才能以外にも、父親の賛辞、久美子という鉄男を盲目的に愛する幼なじみの存在、そんなものに劣等感を揺さぶられた町蔵は鉄男に「お前になりたい」と言うのだけど、その後の鉄男の言葉と表情が・・・「しんどいよ?」に込められた暗さにぞっとしました。鉄男の漫画はもはや父親への復讐のためにあった。新人賞後のデビューをかけて二人は別々に漫画を描くことになり、見事デビューを果たしたのは鉄男だった。でも憎しみに支配された鉄男はどんどん深いところに沈んでいってしまう。一方で町蔵は一歩づつ自分のやり方で漫画と向かいあっていくことになる。
鉄男の心の堤防が決壊してからがもう!「戦友」ってこういうことなんだね。怒涛の展開からラストの大団円まで、本当に本当に熱いドラマを見せてもらいました。いやもう、本当に感動した。
脇を固める女達のドラマも素晴らしいくて、特に久美子の鉄男への想いとトラウマが交差する展開はめちゃくちゃドラマチックで、私はこの二人が幸せになってくれてすごく嬉しかったよ。

ああ、どうして漫画を描く人生を選択してしまったんだろう。もっと楽に生きる道はいくらでもあるのに。それでも漫画と関わって血ヘドを吐いて生きていくことを望んだ男達の姿に涙が止まりませんでした。男達はきっと、家族と漫画だったら迷わず漫画の方を選んでしまう。そしてそんな男達を女は苦しみながらも愛さずにはいられないんだ。そういう熱、私はとてもとても好きです。面白い漫画を読みました。感謝感謝。


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yoriさん……、今回……、長い……、熱い……。

ああ、でも気迫は充分伝わりました。探してみます。
yoriさんをここまで熱くさせた漫画、読んでみましょう。
ところでこれは少年漫画ですか?
いろいろな漫画見つけますね~。

編集と言えば、何日か前の記事での「宙出版」。
そこの社長のK氏がまだ某出版社の少女漫画雑誌の編集さんだった頃にお付き合いがありました(いや交際していたわけじゃなく)。
漫画家さんからの人気も高く、なかなかやり手の編集さんでしたね。少女漫画家と編集ってホントに特殊な関係ですよ。まるで仕事を共有する恋人同士?だからこの組み合わせのカップルも多いわけで。
「宙出版」がBLから撤退するのは残念です。売れないんでしょうかね。K氏を知っているだけに心配してます。
あっ、話しがズレてすみません(汗)

これを読んだら熱くなりますって!
マンガへのリスペクトが止まりません!(鬱陶しいですね。すみません)
日本橋先生は今だと『少女ファイト』というバレーボール漫画を描いています。ずっと青年漫画の人ですよ。線が太くて独特なタッチです。少し前の漫画なのであまり本屋さんには置いてないかも。私も注文出して入手しました。

知人に担当が付いてデビューを目指している女の子がいるのですが、彼女の話を聞くと担当ってとても力があるんだなーと思います。アシもやっているので、某少女漫画の原作が作家ではなく担当者だとかの裏話を教えてもらいました。面白い!

宙出版が倒産という話は聞かないのでまだ大丈夫だと思いますが、心配ですね。本当に多いですからね、出版社の倒産って。その度に本屋には不良在庫の山が築かれていくのです・・・。
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