「天使のうた」

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はい、宣言します。
私は西田東作品を遅ればせながらコンプリートすることをここに誓います。
今まで短編だけを読んで知った気になっていました、ごめんなさい。長編、面白すぎるよ。
この人の魅力って本当に不思議ですよね。絵は見れば見るほど味があるというか、作画に疎い私でさえ「!?」と思う、すっごい描き方しているコマが多々あって驚いてしまいます。でもこのストーリーを流麗な絵柄に乗せても、たぶん魅力は半減どころかなくなってしまうと思うんだよね。西田先生の男達ってとてもカッコイイと思うの。夢を見せてくれるような美しさはないけど、生きてきた人生の重さや臭いが感じ取れる。その姿がとてもリアルに感じる。男の色気というのは年を重ねる程に深みを増すというけれど、それが実感できるんだよね。まあ、本物の40オヤジと現実であまり関わっていないから言えることだよなーとも思いますが(笑)とにかく、この絵とストーリーで「西田東」なんだ。
某版元が新刊の帯に「BLの物語の力」という煽り文句を載せていますが、その言葉の「?」感は置いておいて、「物語の力」という部分のみを取り上げるなら、西田東ほど物語の力を感じさせる作家はいないのではないかと思う。この『天使のうた』は心からそう思わされる話でした。

最愛の妻と子供を事故で失い、人生に希望を見出せない医師・ミシェル。ある日ゲイストリートに迷い込んだ彼は、かつて知り合いだった少年を目撃する。その少年、アレックスは美形の音楽家、クリストフ・アドラーの息子。アレックスのことを相談しにクリスの楽屋を訪れたミシェルが目にしたのは、男と戯れるクリスの姿だった―。

ミシェルとクリス、そしてクリスとアレックスの関係を軸に話は展開します。何を書いてもネタばれになってしまうのですが、話の流れを知るだけではこの漫画の魅力は絶対に伝わらないと思うので是非とも読んでいただきたい。クリスは父親に虐待を受けていたトラウマからアレックスとの関わり方がわからない父親です。愛している、でも、愛し方がわからない。自分の父親のように愛する(虐待する)ことが間違っているのも頭では理解している。でも、混乱すると自分を見失ってアレックスに暴行を加えようとしてしまう。アレックスはとても頭のいい少年で自分とクリスの関係が歪であることを冷静に見つめていて、それでもクリスを愛する気持ちは絶対に揺るがないと自信を持って言う子供です。この父と息子の関係がとても重厚で、まるで1本の映画を観ているような気持ちなりました。そんな二人の側に寄り添うミシェルは亡くした息子とアレックスを重ねて、うまくいかないクリスとアレックスの関係に気を揉むんだけど、クリスに対する気持ちが恋だと認識するのは最悪の事態が起こってからなんだよね。二人が近づくきっかけになったピアノや髭剃の場面に漂う色気や甘い空気がなんかもう素晴らしすぎます。あぁ、だめだ。上手く魅力を感想にのせれないなー。もどかしい!とにかく力強い人間ドラマです。一読の価値あり。本当に感動しました。

西田先生の話って、庇護する者と庇護される者の関係ではないんだよね。受けや攻めで括る事が出来ない。圧倒的に二人とも「男」なんだもの。私が求めている「対等な恋愛関係」「対等な人間関係」とはこういうものだと思うんだ。それにしても、後書漫画やたまにあるユーモアシーンが素晴らしすぎるんですけど!本当、面白い作家様ですよ。

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