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「憂鬱な朝 1」

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父の死後、十歳にして子爵家当主の座を継いだ久世暁人。教育係を務めるのは、怜悧な美貌の家令・桂木智之だ。けれど、社交界でも一目置かれる有能な桂木は暁人になぜか冷たい。もしや僕は、憎まれているのかー!?桂木に惹かれる暁人は、拒絶の理由が知りたくて・・・!?若き子爵と家令の恋を紡ぐ、クラシカルロマン。

面白い。
続きものなので今後どう転がるかわからないですが、大変な傑作になるのではないでしょうか。

この緊張感と重さは何事だろう。正直私は日高先生にここまで物語を作る、世界を構築する力があるとは思っていませんでした。ごめんなさい。日高作品は短編でも長編でもどこか「熱量の不足」のようなものを感じて、それが転じて作品の魅力でもあるのですが、長中短編いずれも私にとって「カチッ」とくる感じではなかったのですね。しかし『憂鬱な朝①』を読み、もしかしたら日高先生は巻数物向きの方なのかもしれない・・・と考えを新たにしました(大袈裟な)。
感情の機微を「言葉」ではなくて「絵(表情)」に託す作家さんだと思うのですよ。だから短編だと心の変化に割くコマが物量的に限られてしまって人物の変化が性急に感じてしまう。それは『嵐のあと』にも感じたことだったのです。一方通行の葛藤部分に比べて弱いかなと。しかし、この『憂鬱な朝』は一方通行も一方通行で・・・潔い程です。切ない恋情を募らせる暁人に対して、1巻通して桂木の想いは片鱗も見せない。感情の揺れ動きがあっても、それは決して「恋情」からくるものではない。いっそ「憎悪」からくるものだと云い切った方がしっくりくるぐらいだ。息が詰まる様なやり取り。押し潰されるような周囲からの重圧。桂木を突き動かすのは矜持などではなくて、抗うことのできない使命と、諦め切れない自分が生きていることへの意義なんだと思う。桂木の気持ちを「諦めた」暁人は取引(命令)と称して桂木を組み敷くのだけど、「どうでもいい」という表情をして暁人に抱かれた桂木が、翌晩には逆に暁人に「もういい」と思わせることをする。このすれ違いというか、噛み合わなさというか、なのに切迫した情がおそらくはお互いにあるのだと思わせる展開はすごいですよ。何度も読み返して二人の表情をまじまじと見つめてしまいましたもの。そして翌朝の空を見上げて桂木が呟く台詞が―「もっと優しく接すれば良かったのかな」。桂木のストイックな表情が暁人と対峙するときだけ崩れるのです。その美しさたるや本当に壮絶。
どうにもならないものが二人の間には横たわっていて、そのどうにもならないものが「家」であったり「身分」であったりするわけですよ。ああ、時代物って面白いですね。普段私は「感情」以外の縛りがある関係性の物語が苦手なので手を出さないのですが、時代物が読みたくなりました。
続きものに対して言うことではないけど、設定を活かした物語として「完璧」だと思います。一方通行ではなくなる日が果たしてくるのだろうか・・・それはいつ?(現実でもいつ?2巻は1年後って・・・)

厳密に何年設定かはわからないのですが、冒頭の西洋菓子店が「千疋屋」だとすると明治27年創業だから・・・うーん、時代物に明るくない私は文明開化から30年後の日本の様相がまったく想像出来ない。華族令や身分制度についても想像出来ないが、とてもしっかりした時代考察を踏まえているように感じました(根拠はないけど)。というのも、日高先生ってとても真面目な人だと思うのですよ。それこそ根拠がないですが(笑)そして何回云っても云い足りぬことですが、男達が美しすぎる。すべての表情が溜息が出るぐらい美しいです。礼服や詰襟の美しさもだし、兎にも角にも読めて良かった。
これは確実に掲載誌で追いかけてしまいます。ああ、楽しみだ。

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