「眠れない夜の子供」(菅野彰)

nemurenai.jpg
せつなげに遠くを見ていた少年。何かを言ってやりたくて、ついに伝えることができなかった…。思いおこせばそれが魚彦の初恋だったかもしれない。大学も三年になった今、再会した彼・貴史は、不眠に苦しむ大学生になっていたけれども―。魚彦のもとでなら眠れると、夜ごと訪れる貴史に、魚彦の眠れない夜が始まった…。書き下ろし「青年も、夜」など、シリーズ三篇を収録したキャンパス・ラヴ・ストーリー。

「毎日晴天!シリーズ」が大好きなわりに、菅野さんの他の小説ってあまり記憶に残っていないのです。新書館から出ているもの中心に何冊か読んでいるはずなのに。先日の在庫整理中に本棚の奥から引っ張り出した作品です。存在を忘れられていたという。うん、読んで良かった。他の作品も再読してみようかな。

読んでいて驚いたのが、あまりにも「晴天」の大河と秀に主人公二人の性格が似ていること。
世話焼き長男タイプの魚彦(でも七男)と、大切な感情に欠陥を抱えたまま大きくなった貴史と。
同時期に発表したことも含めて軽い戸惑いを覚えたのだけど、奥付と後書を読んで納得しました。これは94年に雑誌掲載された作品だったのです。ということは、98年刊行の「晴天」の前身ともいうべき作品だと云えるのではないかしら。テーマは「晴天」の方がより深く、受け(秀&貴史)の性格も厄介極まりなくなっているけれど。記憶にあるのがたった2作品(しかも同系統)なのに語るなって感じですけど、私、菅野さんの小説こそ本当に「センシティブ」だと思うんですよ。内省的で、漠然とした不安や自己否定の気持ちを抱えて、それでも他者と関わろうとすることで何らかの変化が訪れるような。

日常の賑やかしい描写と、魚彦と貴史が二人っきりで過ごす夜の静謐な描写の落差と云ったらすごいよ。決して美文ではないし、くどい言い回しが気になる部分もある。でも、全編に漂う文学臭がたぶん私のツボなんだろうな。そして菅野さんはセックスシーンをあまり書かない人なんだよね。抽象的な表現だけで終わらせてしまう。物足りなくもあるけど、菅野さんの小説はそれでいいかなと思うんだ。そんな書き方を認められて求められる人がいても良いと思うし、貴重な存在だと思う。最近は小説出されていないですけどね。そして、私が知らないだけでドエロも書いているのかもしれないけど・・・。

詳しい作品の内容は省略しますが、ひとつだけ。
この作品に描かれている「文学部」はフィクションでありノンフィクションです(笑)
漢詩を朗々と読み上げる人間はさすがにいなかったけど、「太宰は・・・」なんて台詞は遠くの席の方からたまーに聞こえてきましたっけ。ああ、私の中の文学部コンプレックスを刺激される。
一種の自虐なのかとも思ったけど、たぶん菅野さんは本気で書いているのだろうな。



本日は会議のため遠征しました。
疲れたけど、やたら笑いの起こる和やかな会議で良かったです。
不景気な上にインフル騒ぎで売上は下向くばかりだけど、しっかり仕事しようと思わされる一日でした。
そして明日は友人の結婚式!絶対泣くよ。
せっかくだから「花嫁物BL」を読みつつ行こうと探したのですが、良いのが見つからず断念しました。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード