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「言ノ葉ノ花」砂原糖子

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三年前から突然人の心の声が聞こえ始め、以来人間不信気味の余村。ある日彼は、自分に好意を持っているらしい同僚の長谷部の心の声を聞いてしまう。罪悪感を覚えつつも、言葉で、“声”で、一途に注がれる愛情が心地よく、余村も長谷部を好ましく思うようになる。そしてついに長谷部の告白を受け入れるが、余村が心の声を聞けると知った長谷部の反応は意外なものだった…。切なさ200%!!胸に迫るスイートラブ。

先日購入した「15センチメートル未満の恋」を読了して、ファンタジー設定ならばやはり断然こちらの方が好きだわと思い再読した作品です。私はちっとも砂原ファンではない(好きじゃないわけではなく、数を読んでいない)ので何とも言えないのだけど、これよりも好きになる作品は恐らくないんじゃないかなー。「15センチ」は設定や世界観には何の文句もないんですよ。オチも別にあれはあれでOKだと思う。ただね、小人と凌辱プレイを某ネット漫画の影響でセットで考えている腐った私には物足りませんでした(笑)ええ、砂原先生と「凌辱」とか並べていい言葉じゃないですよねー。あと、すごく瑣末なことなんですけど、先生の後書のテンションにはいつも微妙に戸惑う自分がいます。「イロモノ」と何度も言っていたけど、果たしてそうだろか?私には非常に「まとも」に感じられるのだけど。ディアプラス作家の中では確かにエロはしっかりしている方なのかもしれない。でもあのエロで私はあんまりドキドキしないんですよね。エロい、という意味では。恋人達の中睦まじい関係を表現するのに性交描写というのは一番わかりやすいツールであって、それを過不足なく上手に使っていると感じます。

さてさて、ファンタジー設定を活かして真っ当な恋愛を描き切ったと感心した「言ノ葉ノ花」ですが、改めて私この話好きです!「人の心の声が聞こえる」ということはイコール「人の気持ちがわかる」ということなんですね。恋愛するときって、ま、チャレンジャーな方も多いと思いますがやはり「脈アリ」な方に向いやすいと思うのです(違う?)。あの人は私のこと好きだから好きになろう、とは思いませんが、好意的に接してくれる人に心が傾いてしまうのは当然だと思うんですよ。でも、「好意的」が「好意」なのかなんて相手の言葉で確かめないと知りようがないことですよね。余村は特殊な力で紛れもない「好意」を知ってしまう。本音と建前だらけの人間関係の中で、長谷部の感情だけが裏表がなかった。現実は片思いの相手に対する「心の声」だってかなりエゲツナイことになってしまうと思うのですが(自分の品性が疑われそうで嫌ですが)、それでも好きな人への気持ちというのはかなり「美しい」部類に入る感情だと思います。笑顔の裏で浴びせられる罵詈雑言に心が疲弊していた余村は、いけないと思いながらも長谷部と関わるのをやめられない。無口で無骨な男からダダ漏れてくる「好き」の感情に、段々気持ちが傾いていくのです。「人の心の声が聞こえること」を逆手に取って、相手の要望に答える部分がある余村は、長谷部の欲しがるもの(自分)を与えたいとまで思うようになる。絆されるんですね。その過程がファンタジーであるのにすごく説得力があって、恋する人の普遍的心の動きだなーと本当に感心しきりでした。その後、長谷部妹の結婚詐欺事件を通して長谷部に力のことを打ち明けるのですが、常人の長谷部にとっては戸惑いも当然あって、すれ違ってしまったりもするんです。そりゃあ好きな人に自分の下心含めて知られていると思ったら、まともな顔して会うことはできませんよ。ふと生じてしまうかもしれない汚い感情だって伝わってしまうわけで。それでも長谷部は逃げなかったので、余村は本当に良かったなというところで終わったのが本編でした。

しかし、この話の素晴らしいところは続編にあると思います。
現実の声と心の声の両方から攻められるエロシーンの秀逸さもさることながら(3Pみたいと思ったのはここだけの話です)、続編の「言ノ葉ノ星」では余村の力がある日突然なくなるんです。ずっと聞こえていた心の声がパッタリ聞こえなくなり、普通の状態に戻ることになる。
願い続けてきた夢が叶ったと喜ぶ余村ですが、思わぬ弊害が出てくる。
長谷部の気持ちがわからなくなるんですね。
今までは心の声でもって溢れるぐらいの「好き」を感じることができた。でも元来無口な長谷部は気持を表現するのが不得手で、余村はどんどん長谷部の気持ちが信じられなくなって避けようとしてしまう。心の声が聞こえるといっては避け、聞こえないといっては避け、難儀な男だよと思いますがどれもこれもやっぱりすごい説得力がある。伝えようとしなくても伝わっていたから気持ちを「言葉」にして伝えることをしなかった長谷部と、いやでも伝わってきた気持ちに頼って「言葉」にした気持ちを求めてこなかった余村が一度すれ違ってしまうのが痛いぐらいわかってしまう。力がないので不安だと言う余村に長谷部が「あなたがなくしたのは、たぶん力じゃない。人を信じる気持ちです」と叫ぶのですが、その通りだと読んでる側にも納得できて、本当に上手だと思います。

言葉にして相手に気持ちを伝えることの大切さ。超基本中の基本なことですよね。長く居るからといってわかった気になってはいけないと思うのです。一度伝えたからといって、二度三度が必要ないというわけではないのです。人の気持ちなんて、何度も何度も伝えて確認しないと揺らいでしまうような頼りないもので、わかった気になるのは危険だし、伝えることや知る事を諦めてしまっては絶対にいけないと思うんですよ。あー、しみじみと恋愛というか人間関係の基本だ(苦笑)

とにかく面白くてキュンとする良い本です。おススメ!
三池先生の挿絵がまた素敵です。三池先生は漫画よりも挿絵の方が最近は好きだわ。



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