「I'll アイル」浅田弘幸

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ああ、読み終わってしまったよ~。
本当に本当に私は「I'll」が、茜が、国府津のメンバーが大好きだ。
好きすぎてどうしたらいいのかわからない。

5年前に完結したこの作品の、おそらく一番盛り上がった頃を私は知らないのよね。高校生になって、私は漫画を以前ほどには読まなくなってしまって、雑誌で追いかけていた「I'll」も月刊連載のペースに心が離れてしまったんだよね。試合シーンで数話使う展開に焦れてしまったというか。
そんな状態なので、どれだけ私がこの漫画を好きだったかなんて比べる量りも持たないのだけど、今回読むまで私の中の「I'll」は単行本5巻までで終わっていたんだ。

だから最終巻の展開には本当に驚いたし、涙が止まらなかった。
今も書きながら目が潤んでしまっているぐらい。気持ち悪いぞ。

グダグダ長い上にネタバレ含みます。心の広い方だけどうぞ。


といっても、その魅力を語ることなんて冷静になれない今の私には無理なんですよ。
もうとにかく読んでみて欲しい。心の底からそう思います。


不思議な魅力を持った漫画だと思います。
少年漫画の熱と青年漫画のクールさが混在しているだけではなく、女の子(菫)を語り手に置くことで少女漫画の柔らかさまで備えたような、本当に稀有な漫画です。


主題も、青春→バスケット→青春→バスケット→青春と、日常描写が「箸休め」的な他のスポーツ漫画と違い、青春部分に非常に重きを置かれていましたね。これは簡単に言ってしまえば「宝物を見つける」男の子達の話なんですよ。茜にとっての「バスケットボール」、柊にとっての「茜(友達)」という。二人とも、お互いの大切な物を退屈でままならない日常に倦んで諦めていた少年だったんですね。苛立ちや反抗を暴力的なものでしか表現できないような子たちだったわけで。そんな二人が中学最後の練習試合で出会う。茜は、才能だけなら超一流の柊のプレイを目にした瞬間に、自分の中の失われかけていたバスケットへの情熱を思い出すんですよ。そして偶然同じ高校に入学した二人は再びバスケットを始めるのです。

ああ、あらすじなんか説明しても魅力は1ミリも伝わらない!もどかしい!!

とにかく主人公の茜がめちゃくちゃ魅力的なんですよ。台詞ひとつひとつが鳥肌が立つぐらいカッコイイ。読み終わった頃には一人名台詞ランキングが開催出来るぐらい、茜の台詞は心に響きまくりです。おバカでクールで自己中心的で熱血な友達思い。そんなわけわからん魅力全開な茜と、浅田先生の白黒な絵がまた絶妙なんだ。これが普通の少年漫画の絵で表現されたら、正直恥ずかしくて引くような場面も多いと思う。それだけクサイ台詞も満載ですもの(笑)でも、浅田先生の絵で描かれた茜は本当に本当にカッコイイんだ。ケンカ早くてしかも強くてちょっと皮肉屋で、自分が楽しければ他はどうでもいいと思っている節があるくせ、有り得ないぐらい友達思い。柊も東本も山崎も金本も、茜と関わる全員の心に茜は何かしらのものを残していく。本能全開で相手の抱えている痛みや悲しみを鋭く察する茜。茜の放つ言葉はストレートに心に響いて相手に影響を与えずにはいられないんだ。まあ、主人公なのでね、当り前なんだけどね。
そんな茜の存在が少年漫画のヒーローと一線を画しているのは、この漫画が恐ろしいぐらいの「リアルさ」を持っているためだと思うんだ。決して茜達が巻き込まれる事件や解決方法がリアルなわけではない。何がリアルって、彼らの生きている「土地」の描写がリアルなんだよね。これは大げさでもなんでもなくて「I'll」は神奈川県の小田原近くにある「国府津」という小さな町を舞台にしている。それはもう、本当に忠実に再現しているのだろうと行ったことはないけど伝わってくるぐらい、漫画からにじみ出る空気が凄い。茜達があの場所で生きている。そんな風に読者に感じさせること。このリアルさが、茜の存在を身近に感じさせ、より魅力的な男の子に仕上げていると思うんだ。だって私叶うなら次の休みにでも国府津の海を見に行きたいぐらいだもの(笑)土地の力というのは凄いですよ。

茜の他にも、というか全員が本当に魅力的なんだよね。柊も東本も山崎も金本も、一人としてカッコ良くない人がいない。カッコ悪さも含めて本当にカッコイイ。ライバル校の葉山崎メンバーのエピソードや、巻末におまけで入る主要登場人物の過去エピソードなど、読者を惹きつける力が凄いです。

最終巻の展開が驚きだったのは、悪くいえば「少年漫画的」な法則に落ち着いてしまったからもあるのです。でも考えずにいられないのは、どこか不穏な印象のあった菫のモノローグについてね。決定的な「負」の言葉は確か7巻で初めて出てきたと思うのだけど、ということは、これはある程度終わり方を見越した伏線だったのよね。「別離」が誰にどのようなかたちで訪れるか。もちろん山崎と金本の引退のための言葉とも取れなくはないけど、浅田先生は最初からラストを決めていたのだろうか・・・と余計な詮索をしたくなりました。確かに漫画的なカタルシスを読者に与えるのには必要なことだったと思います。13巻で葉山崎戦が終了してもなお、分厚い14巻が残っていた時に「えっ・・・どう終わらせるの?」と一抹の不安がよぎりましたもの。本当に漫画の終わらせ方というのは難しいですね。
ああ、茜に起きたことと本当のラストページの余韻といったらないですよ。
何度か読み返して、ようやく気持ちが落ち着いてきました。二人が何で繋がっているかなんて、一目瞭然ですよね。側にいなくても気持ちが寄り添うことというのはあって、これはこれで素晴らしい締め方だと思います。あっ、私の感想を読んで嫌な予感がしている方、大丈夫です。ハッピーエンドです。

いやもうとにかく私はこんな素晴らしい漫画を読まずに5年もどうしていたんだ!と自分を叱責したい気持ちでいっぱいです。なんなら高校生の自分もまとめて叱責したい!でも、大人になった今だからこそ冷静に読める部分もあるのだろうし、ノスタルジーや甘酸っぱさを感じるのもきっと大人の特権だよね。本当に、読めて良かったです。



そして、大人になった特権として、以下(笑)




中学生の頃から思っていたけど、これは「腐的」にもなんて素晴らしい漫画なんだ!!と改めて思いました。とにかく柊が茜のことを好きすぎるんだよ。「宝物」だよ?お姉さん笑顔が止まらなかったよ。出会って一月ぐらいで、「あいつはそんなんじゃねーよ」的な「俺は立花のこと理解している」発言ですよ?その後もやれ茜が自分のこと考えていないと思っては拗ね、代わりをみつけようとして(学のことです)みたり、とにかく柊の気持ちが茜一直線で、どんだけお前は茜を好きなんだよと、ツンデレ柊が愛しくてたまりませんでした。クールなくせに何気に茜よりも恥ずかしい台詞をバンバン吐いているところも可愛い。受け攻めは別にどうでもいい感じですが、やっぱり茜×柊に落ち着きますかね(誰も聞いてないけど)。他にはそうですね、東本と原田も好きです。原田もツンデレ女王様ですね。東本は一生原田にパシられるといいと思うよ。後は葉山崎の美濃輪と井上ね。この二人の過去話は特に好きだなー。アホだけど痛いぐらいに真剣で。葉山崎メンバーのエピソードはもっと長く読みたかったです。作中でもっとも屈折のなさそうな高岩の過去話も気になりますね。高岩と柊兄のやり取りもムフフと笑ってしまう感じで好きだなー。

「I'll」の隠れた魅力のひとつは恋愛要素の薄さかもしれませんね。
茜と菫であれ、山崎とアンであれ、東本と美加であれ、どこまでもさりげない。大人カップルの峰藤ですらさりげない描かれ方で、そこがまた良いなと思いました。柊には結局女の影が1ミリも出てこなかったね(笑)一番描かれていたのが金本であることにも何だかびっくりですね。金本のエピソードは私本当に好きで、彼のように目立たない地味な子が実は一番しっかりしているというのにやられます。桜井も嬉しかったことでしょう。あと、私は菫の強く広い心ももちろん大好きですよ。見守り続ける強さですよね、彼女が持っているのは。幼馴染って本当に羨ましいわーと思いました。


なんて長い感想文になってしまったんだ!
魅力が少しでも伝われば良いのですが、読んだ方が早いことは確かです!
「I’ll」最高!!


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うわーん!

涙で前が見えない(ToT)
yoriさんの記事を読みながら物語を回想して居たら目頭が熱くなって仕舞いました。。
あれだけのキャラが出て来るのにみんなに愛着があるのは、それぞれのキャラのエピソードが一話を通して語られたり、ちらちらと過去の片鱗が垣間見えたりするからではないかなとおもうんです。過去を語られなかったキャラにしても、周囲との繋がりがはっきりと見える。有る意味「脇役という脇役が居ない漫画」。主人公だけが矢鱈主張するのではなくて、みんなしっかりした個性と過去を持って読者の前に存在して居るから余すことなく物語全体を楽しめて、入り込める、、、生きた感情が裏打ちされた本当に素晴らしい漫画だと思います。

此処で話は「腐」に成りますが(おい
葉山崎の美濃輪と井上!良いですよねーーー!(前から此れを言いたかったの~!)成瀬も誰かとCPできないかな~。とずっと考えてるのだが誰ともしっくり来ないんだ。。妄想力でカバーするしかないか矢張り、、、←

噫!I‘llについてyoriさんとたーーーくさん語らいたいのだけど何を言ったらいいのかまとまらないよー!あの魅力を文字にするのは難しい、、、。でもyoriさんが言葉にならない私の思いを全部書いて呉れたのでほんとにすっきりしてる^^思わずひとりでうんうん頷きながら読んで仕舞った(怖っ!
てか国府津の海でいっしょに語らいたいですね~。(腐トークに成る事間違い無しでしょwww)

こんばんは!

エスさん!もーね、本当にやばかったですよ。
心が飛んで飛んで大変だった(笑)1巻を手に取った時は、正直「いくら好きだったといっても10年以上前だしなー」と悠長に構えていたんですよ。まさか、こんなに好きな気持ちが甦ったどころか、それ以上に彼らに引き込まれるとは!!これって漫画としての魅力が全然色褪せていないってことですよね。凄いですよ。
そう、キャラクターひとりひとりが本当に生きてましたね。彼らの過去や未来までも知りたくなってしまうような・・・本当に夢中にさせてもらいました。幸せだった~

はい、もちろん腐の話に移りますよ!
もうね、出てきた瞬間に「こいつらだー」とわかりましたよ!
美濃輪は絶対受けですよね!バカヤンキー受けと言ったら失礼すぎでしょうか?不良っぽい子が受けることに萌を感じる私としては非常に美味しかったです!あいつら絶対大人になっても一緒にいますよ。成瀬は確かに難しいですね。最初は高岩?と思ったのですが、高岩は是非とも柊兄とCPしたかったので(でもどちらも攻めなんだよな~)諦めました。
ああ、純粋な気持ちを汚してもなお楽しい!大人になったなぁ(笑)

国府津の海で本当に語りたいです!ビール(今はノンアルコールかな)片手に「茜ー!!」って叫びに行きたいっすね!
ピンポイントで同世代感も強まってきましたし、盛り上がること間違いなしですよ!



其の時は酒解禁で←

是非ビール片手に叫びたーい!笑笑

美濃輪は完璧に受けですよね~!葉山崎メンバー唯一のイジられキャラwおバカなヤンキーって、、、ちょうかわいい(*´з`*)
成瀬に関しては私も高岩かなと思ったんですよね。。でも確かに柊兄とのCPの方が具合が良いな~。。
ちなみにこのCPだとどちらかといえば柊兄が受け、、、個人的に(゜v゜)
日頃お兄ちゃん風吹かせてる彼を年下の高岩が辱めちゃえば良いのにと、ちらっと思って仕舞った私は外道でしょうか。。

失礼致しました(TvT)!退散!

お兄ちゃんと

弟の禁断の関係を一瞬、ほんの一瞬思ってしまった私にくらべたら大丈夫です(笑)!
柊兄は最初は典型的なエリート兄貴って感じだったのに、徐々に「天然」っぷりが開花してきた魅力的な人材でしたね!最終話で高岩の吹き出しの横に小さく「年がら年中天然ですか・・・」という台詞があり激萌えしました。うんうん、この二人だったら確かに高岩が攻めですね。いいですね~
でもでも気持ちの上では天然兄に振り回されて欲しいです!
成瀬は・・・ま、いいか(笑)

というか、今回初めてシドの名前の意味を知りました。あの過去話は本当に素晴らしいと思います。井上は外見的にはちょっとアレですが、美濃輪にはやっぱり彼がいいな~

おっと、止まらなくなってしまうので失礼します!



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