「夜明けには優しいキスを」凪良ゆう

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寝る前に読み始めて結局最後まで一気に読んでしまいました。
その後夜明けまでとはいかないまでも、なかなか寝付けずに色んなことを考えてしまいました。


あまりに私的な感想になってしまったのでたたみます。


ここに描かれている関係や事柄は、私にとって痛いほどに「真実なんだろうな」と感じられることです。「だろうな」とお茶を濁すあたり、幸いにも私個人の経験ではなく見聞きしたものですが、それでも「BLとして」「フィクションとして」読むにはあまりに重い内容でした。
要の抱える過去の事件。加瀬の育った過酷な環境。そこから捩れてしまった二人の関係。
それらが痛すぎて、後半の「まさかの展開」のまま終わってくれても全然構わないと思った、否、願った程です。

自分に想いを寄せる少女を自殺させてしまった過去を持つ要は、DV関係にある加瀬との繋がりを切るどころか、加瀬に殴られることによって少女を死に追いやってしまったことへの贖罪としていた。そこに加瀬への愛情は一切なく、要が自分を愛さないことに焦れて殴る加瀬に内心「もっと自分を罰してくれ」と願うような関係だった。そんな中自分を慕う後輩の公平が現れて・・・。

加瀬は虐待されて育った経験から他者との距離が上手く取れずに、暴力によって欲しいものを手に入れて支配をしようとしてしまう。そこに要は付け込んだ形で、二人は恋人と名前を付けるにはあまりに悲惨な関係にあったわけです。これだけ「虐待」や「DV」という言葉が世間一般に認知されている時代ですから、生まれ育った環境がetc、暴力は繰り返されるetcの情報は嫌でも頭にあるわけで。そこに同情や弁護を認めるのは事の本質から目をそらしてしまうことになるのかもしれませんが、それでも私は加瀬が可哀想で仕方がなかったよ。この話で一番救われて欲しいと願ったのは、要ではなくて加瀬だった程に。

誰も愛さないと決めていた要の元に暴力とともに降臨した形の加瀬ですが、暴力を自分の贖罪として自覚的に利用する要の残酷さは、私の拙い言葉では表現できませんが、本当に本当に間違っていたと思います。しかしそれ以上に間違っていた要の行動は、少女の死によって自分自身の人生を諦めたことに他ならないんですよ。なんだかものすごく正論吐きますが、要を道連れにする形で自殺した少女に対して、彼は怒ってよかったし、怒るべきだったんですよ。もちろん当事者になったらそれどころではないのもわかります。というかですね、こんな場所に書くべきことじゃないのはわかっているのでそのうち消すかもしれませんが、私の知人男性(30後半)が要と同じ目に学生時代に合っているんですね。今回この話が個人的に辛かったのは要と彼の姿が重なったからに他ならないんです。彼は異様に他人に対して優しい人で、また自分を痛みつけるような働き方を常にしている人でした。私は公平じゃないけど、「なんでそんなに他人に優しいんですか?おかしいですよ」と言ってしまったんですね(年上に対して大概失礼な女ですね)。そしたら彼はポツポツと昔の話をしてくれたわけですが、自殺をした彼の友人女性には本当に申し訳ないですが、人の事でここまで腹が立ったことはないというぐらい怒りました。そんな死に方は絶対にしてはいけない。そして、許してもいけないと強く思ったんだよね。彼の優しさが彼や周囲にとって良いものであれば私も何も言わなかったと思います。でも彼の優しさは毒のようで、あまり良いものとはどうしても思えない形で周囲に影響を及ぼしていて、彼の側には優しさに付け込んだような女の子ばっかり集まるのね。今は少しマシになってはいるようだけど、でも根っこはたぶん変わらないのよね・・・すみません、人のことを長々と。でもね、こんな風にぐるぐると考えざるを得ないような話だったんですよ。

要が過去の罪に縛られるのも仕方がない。もしかしたら私は彼に「誤解」といった小説的な方法ではなく、自力で乗り越える姿を見せて欲しかったのかもしれませんね。そして、そこから立ち上がった要に、加瀬を救って欲しかったのだと思います。これが最初に書いた「まさかの展開のままで」という意味です。現実にはDVの加害者と被害者の問題を当人同士が解決するのは非常に困難だと聞きますし、離れた方が互いの為だとも思うのですが、私は加瀬の今後がとても気になるのです。どうか幸せになって欲しい。愛する人を殴らずにいて欲しい。凪良さん、加瀬で1本、BL的で良いので幸せな話を書いて下さい。

と、ここまで書いて公平は?って感じですね。
正直に言います。辛口意見ですが、私は彼の明るさが「自己啓発セミナー」のそれのように感じてしまい、どうにも最後まで好きになれなかった。デモやアジは大いに結構だと思いますし、人と議論が出来る若者ということで力もある。でもね、私の中でしっかりしている人というのは「定職」に就いている人なの。すみませんね、身も蓋もなくて。それじゃあ彼の活動が根本から覆ってしまうので、要するに公平というキャラクターだけがこの話で「嘘」っぽくて信用出来なかったということです。だから、ますます「まさかの選択」のまま終わっても良かったと思ったんだ。

ああ、一日もやもやしたものを吐き出してすっきりしました。
不快になった方がいたらごめんさい。




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拍手をありがとうございます。嬉しいです!

S様

いや、私も思いついた時はさすがにアレな表現だなと思ったのですが勢いに任せて書いてしまいました。公平にもう少し、若さ特有の青さや迷いがあればまだ良かったのかもしれないですが、あそこまで完璧な明るさには薄ら寒いものを感じてしまったので・・・。私が捻くれているだけなのかと思いましたが、共感して頂けて嬉しかったです。あっ、勝手に捻くれ仲間にしてしまってすみません(笑)

名無し様

もういっそのこと公平が脇で良いとすら思いましたよ。恋愛フラグも立たないカウンセラ的な位置(「恋愛犯」の飯田先生のような)で、二人を見守るという。そして、DV男の加瀬が定職に就いているという面でも微妙に彼の肩を持ってしまったのかもしれません(笑)

少々キツイことを言いましたが、こんな風にぐるぐる考えてしまうだけの価値があった作品だと改めて思いました。

ありがとうございましたー。

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