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一般書感想「ノスタルギガンテス」

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93年刊行の児童書です。
他ブログ様で懐かしい題を拝見して猛烈に読みたくなったので図書館に駆け込みました。
これは当時の「夏の課題図書」だったんですよ。こんなブログ書いている私なので、読書感想文の宿題だけは嬉々としてやっていたような、そうでもなかったような微妙なところですが、「ノスタルギガンテス」の題のインパクトは強烈でした。
正直に言いますと、題のインパクトから手に取ったものの内容の「?」さに当時の私は最後まで読まずに返却してしまったんですよね。ここに描かれていることはよくわからないけど怖い。とりあえず感想文は書けそうにない―と、当時の私が思ったかどうかは知りませんが、子供には少々荷が重い話であることは間違いありませんでした。これは「児童書」の皮を被ったなんとも言えない薄ら暗い退廃的な話です。希望のようなものがここまで徹底的に排除されている話を久しぶりに読みました。逆にこの話で読書感想文を提出した子供の感想を読んでみたい気分ですよ。何を書けというのだろう・・・。

舞台は新興住宅地。林立するマンションの目前に広がる公園には広大な「森」があった。主人公の「櫂」はその森にある「木」に、夏休みの工作で作った「メカザウルス」を隠す。その時から異変が始まった。「メカザウルス」の鎮座を皮切りに、「木」には櫂が「キップル」と名付けた街中の「ゴミ」が集まるようになる。日ごとに増殖していく「キップル」に為す術もない大人たちは「森」そのものを失くしてしまおうと考えるのだが、二人の男の出現によって事態は思いがけぬ方向へ進むことになる。男達は「木」の写真を撮り、「木」に魅せられた櫂を不可思議な木の「創造主イザナギ」として吊るし上げる。そして男の一人によって「木」が「名前」を付けられて世間の目に晒されたことによって「木」は人の手によって保存されながら増殖を止めることなく巨大化を続ける。

えーと、これがあらすじではなくて全体です。
環境問題の話に取れなくもない気がしますよね。でも全然違うと思います。そんな表面的なものでは終わらない残酷さが終始あります。本当に、一縷の希望も見えない。そして視覚的なイメージがひたすら美しい。最終的に「木」が保存される形態は「樹脂」によるのですが、そのイメージの素晴らしさといったらないです。
櫂はその「木」が「特別なもの」であることに気が付いているのですが、彼の理解者は誰一人としていない。友達は彼を気味悪がり、両親は彼を見ていない。主人公の櫂はとにかく徹底的に孤独です。彼の心の拠り所であったのが自身が作った「メカザウルス」であり、それを隠している「木」そのものなのです。その描写が児童書的な「感受性豊かな少年の夢想」レベルで済む優しさじゃまったくない。これは読まないと伝わらないと思いますが、彼が「木」に執着していく様は寂獏としていて狂気的です。読んでいて何より恐ろしいのは、これは何かの「寓話」などではなくて、ただそれだけの話なのだとじわじわと感じさせる所だと思います。少なくとも私には、「木の周りにゴミが集まりそれが増殖していく話」で十分に感じられました。男が「木」に名前を付けるくだりなどは思索的でいくらでも深読みが出来ると思うのですが、「名前」によって「モノ」の存在に限らず「人」の存在までも「限定」されて「閉じ込められる」といったところでしょうか。先日読んだ「ダブルミンツ」も名前に関わる面白い話でしたが、「個」の存在を限定するのは「言葉=名前」であるというメッセージを強く感じました。しかし、それを感じたところで「読書感想文」にどう書けというのか・・・。
そして、私が著者のたくらみに「ヤラレター」と思ったのは「木」の名前がそのまま「ノスタルギガンテス」ということでした。強烈な題によってこの本が記憶に留まった所以は紛れもなく「名前」によるのですから。ま、そんなことを著者が意図したのかはわからないですが。

ここまで書いても自分がこの本に対して何を言いたいのかさっぱりわからないのですが、たぶん私は「ノスタルギガンテス」の名前を忘れることはないと思います。内容や感想をすっかり忘れたとしてもこの名前は忘れない。そんな本があっても良いではないかという一心で書いてみました。しかし、「児童書」としておくにはもったいないというかなんというか、そんな感じの本です。





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