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一周年記念「毎日晴天!」菅野彰

気付けばブログを開設して1年です
まだ1年なのか、なんだかもっと長いことやっている気がするなぁ。コンスタントによく読みよく書いたなと我ながら感心しますが、きっと今後もこんな感じでダラダラいくのだと思います。改めて、遊びに来て下さる方々に感謝です。どうもありがとうございます!
記念に何か特別な本をと思い、大好きなこの小説について感想を書いてみようと思いました。

最も心に残っているBL小説は何ですかと聞かれたら私は迷わずこの小説をあげる。というか、BLと括らなくても人生においてとても特別な位置にあるし、大袈裟だけどなんというか唯一無二の存在です。新刊が出ていない為かブログを始めてからの1年間、「毎日晴天」についての記事を他所様で拝見したことがない(もちろん検索をすればあるのだろうけど)。だから私は正直この小説がどういった位置にあるのかよくわからないんだよね。えーと、「魚住くん」に匹敵しませんか?私の中ではそれ以上なのですが、そんなことはないですか・・・。
ただ困るのは、3組のカップルが出てくるのですが、そのカップルへの温度差が私の中で激しいこと。平たく言うと、大人カップルに比べて花屋カップルはともかく、子供カップルへの思い入れが薄いのですよ。一番波乱万丈なのに。今回良い機会なので読み返したことがなかった子供カップルを再読してみようかなとも思いました。しかしそんな悠長なことをしていたら結局1年記念なんて飛び越えてしまう気もします。なぜなら大人カップル以外の巻は実家に置いてきてしまったので、家に帰らないと読めないから(笑)宅急便を頼もうにもあの本近辺は危険地帯過ぎて家族を近寄らせられない(「晴天シリーズ」は表紙的に大丈夫だと思っているけど、それも間違いな気が・・・)というわけで、大人カップルに絞って吐き出したいと思います。

記事を折りたたむのがあまり好きではないのですが(自分が読みにくいので)、今回ばかりは本気で先にお断りをします。いつにも増して自己満足風味が強く、長いです。11巻に及ぶ物語をまとめようとした私が無謀でした、スミマセン。


注:記憶を頼りに書いている部分が多々あります。どうかお見逃しを。

mainitiseiten1.jpg
シリーズを知らない方の為に簡単に説明を。簡単に・・・。

帯刀大河(長男)は両親を早くに事故で亡くしてから姉の志麻(長女)と共に、弟の明信(次男)丈(三男)真弓(四男)を父親代わりとして面倒見ていた。そんなある日、編集担当をしている作家で高校時代の親友でもある阿蘇芳秀が突然、志麻と結婚をしたと言って連れ子である勇太とともに帯刀家にやってくる。しかし時同じくして志麻は失踪。すったもんだの末に男所帯6人の生活が始まる。
1、4、7、9巻は主に「大河と秀」の物語。2、3、6巻は「勇太と真弓」の物語。そして5、8巻は近所の花屋店主である「龍と明信」の物語。10巻は番外編として真弓の幼馴染の淡い恋物語。11巻は親子になった頃の秀と勇太の姿が描かれる。実際のところ11巻で「完結です」と言われても不自然ではないのだけど、菅野さんの「ラストは大河と秀の話で」という言葉を信じているので、私の中ではまだ未完です。志麻も帰ってきてないし。



私にとっての「晴天」はやっぱり大河と秀の物語なんだよね。勇太と真弓、龍と明信の話ももちろん大切だけど、この二人から始まって、この二人で幕引きされるべき「家族」の話だと思うんだ。「晴天」で描かれていることは、私の認識するところの「恋愛」を最初から軽々と飛び越えて「愛」に一足飛びしている。そして連鎖していく「情」の物語だとも思うんだ。大河から秀へ、秀から勇太へ、勇太から真弓へ、真弓から大河へ、そしてまた他の兄弟や人々へ。人が人と繋がって得られる温かい感情について、これでもかと丁寧に丁寧に心の襞の隙間まで掬い取るように描かれる。冗談じゃなく、私は「晴天シリーズ」を一読した昔、「こんなに素晴らしい小説が存在するのなら、もう小説は必要ないのではないか」と無茶苦茶なことを思ったのですよ。

有体に云えば、「大河と秀」は問題のない攻めと問題のある受けの物語。この構図は「魚住くん」にも通じることで、私が何かとこの二つの作品を引き合いに出してしまうのはその為だと思う。そして、秀ほど厄介極まりない人というのも「魚住くん」の他に思い浮かばない。彼の厄介さは幼少の頃に両親に捨てられたトラウマから、人との関係の作り方、距離の測り方、そのすべてに不安を抱いているところにある。「トラウマ」という言葉が作中では使われたことがない気がするけど、秀の破綻寸前の不安定さはトラウマ以外の何物でもない。両親に捨てられたといっても、彼は祖父の家に置いて行かれただけなのね。だけって言葉は故意に使いましたが、もっと過酷な「トラウマ」の物語(例、やっぱり魚住くん)に慣れている身からすると、なんとなく「ぬるい」ような気がしませんか?しませんって返事は聞こえないふりで。でも「晴天」はこの秀の問題からすべてが始まるし、彼の抱える問題が他の人たちに波及して影響を及ぼし、皆を悩ませることになるんだ。全然些細ではないけれど、でも、大の大人がそこまで引っ張るべきでもないように感じられるネガティブな問題を、秀は抱えて抱えてどうしようもなくなっている大人なんだ。

「家族」を「知らない」という思いが強い秀は自分の家族が欲しくて仕方がない人になる。当たり屋の不良ガキだった勇太を実の父親から引き離して「養子」にするのも、「家族」が欲しいという思いからだった。そう、秀と勇太は義理の親子なんですよ。情緒が足りないような秀と、幼い頃から過酷な環境で荒れた生活をしてきた勇太が最初から打ち解けられるわけもなく、波乱に満ちた日々を送ることになる(この時期の話が最新刊「夢のころ夢の町で」に描かれる)。勇太という「家族」が出来ても秀の内面は根本では変わらない。惜しみなく愛を捧げる対象が出来たがそれで満足をして、全てを与えて自分は何も欲しがろうとはしないからだ。そんな秀を勇太は哀れに思い続けていた。そんなある日秀は大河の姉である志麻に「嘘の結婚」を持ちかけられる。「志麻と結婚をすれば帯刀家の家族になれる」そう考えた秀は話を合わせて帯刀家にやってきたのだ。志麻は母親代わりを務めてきた家から抜け出す身代わりと、弟である大河の想いを知ってこの計画を立てたのだった。まぁ、「毎日晴天」内で志麻の扱いは「ラスボス」というか史上最強最悪の姉といった感じなので、この辺りはコメディチックです。

大河と秀、二人の出会いは高校の同級生としてだった。いつも独りで淋しそうにボンヤリしている秀を大河は何故か放っておくことが出来ず友人になる。しかし付き合いを続けるうちに大河の中で秀が友人以上の存在として、欲望の対象になってしまうのだ。大河が自分を見つけてくれたという思いが強い秀は何でも大河の望むままにして欲しいと思うようになる。依存、していく。その頃から大河はこの関係は何かが「おかしい」という違和感を抱きながらも秀の側に居続けるが、二人の進路が分かれる冬の日に、ついに大河は秀を押し倒して事に及ぼうとしてしまう。しかし、秀自身がまわした腕の重さによって大河は我に返り未遂に終わるのだ。大河は気付いてしまう。秀は大河の欲しがるものを只ひたすらに与えようとしただけであり、彼自身の「欲望」は不在であることに。秀の依存と虚無を高校生の大河は受け止めることが出来ずに、大学が離れたのをきっかけに秀との関係を一端切ってしまう。

この大河のストレートな「欲望」と秀の歪曲した「願望」の問題が、長く長く二人の間に横たわることになる。依存でも構わないと、大河は決して思わない。自分と同じように「欲望」を秀が持つようになることに必死になる。それはもちろん大河に対する気持ちの問題だけではなく、秀自身が生きる姿勢そのものへの「変化」であり、それを決して諦めない。何度でも何度でも秀が迷えば大河はその迷いに付き合うし、ひたすら向き合うのだ。大河の行動は独善的な、いかにも長男気質な風に捉えることもできるし、秀の抱える闇は存外に深くて彼らは行きつ戻りつする。それでも大河の必死さが秀を愛するからこそだと十分過ぎる程伝わるし、秀だって自分が上手く出来ないことへの思いこみと不安に押しつぶされそうになりながら、大河と家族皆を愛している。「家族」だったらこうする筈だーという葛藤からグチャグチャになる秀の不安定さを、大河も勇太も他の兄弟全員がなんとかしてやりたいと願っているのだ。7巻のそういったやり取りはとても苦しくて切なくて何度読んでも泣けてくる。そして大河と秀が繋がった夜の静けさと熱の描写の素晴らしさといったらない。扇情的な文は皆無のとても真摯な愛の光景で、本当に感動的。私が「毎日晴天」は「恋愛」ではなくて「愛」の話だと最初に言ったのはその為なんだよね。これは他人同士が家族になっていく緩やかな過程と、そこに存在する温かな「情」の物語だと思うから。「勇太と真弓」の話になればお互いが「親」として葛藤をするし、「龍と明信」の話になれば家族として葛藤する。もうね、二人の愛が鬱陶しくなるぐらいです(笑)真弓は大河の為に敢えて「子供」でいる部分を持っていて、実は誰よりも周囲の状況を見ている子だし、勇太は登場人物中もしかしたら一番大人かもしれない。でもその気づかいが「親」である秀を悩ませることにも繋がるのですね。どこを切っても「毎日晴天」は「家族」の「情」の物語なのです。

そして、これは特筆すべきことだと思うのだけど、この二人はセックスをしない。高校時代の未遂から再会まで6年、一緒に暮らし始めてから2年、もちろん未遂は何度かあって、その度にお約束のように家族の「邪魔」が入ったりというコメディ的展開になるのだけど、実に7巻までしない。これは上手く言えないけど菅野さんの小説だから許されていることでもあると同時に、この二人だからこそ、そうなるんだよなと無性に納得をしてしまうところでもあるのだ。他のカップルが普通(?)にしているというのに。今よりも若干子供だった私はそのことにも驚いてしまったのですね。BLで(BLと限定しなくても)セックスを描かなくてもこれだけ愛に溢れた物語を紡ぐことは可能だし、愛は存在し得るのだと。
ある意味でこの二人の関係は私の理想だったともいえるのです。他人と他人はここまで関係し繋がり合うことが出来るのだという希望を見せてもらったような気がしたから。たぶん当時の私は今より色んなことに臆病で未熟で懐疑的で、それを誤魔化すように本ばかり読んでいた(今もだけど)。あの頃夢中になった作家達というのは自分の中でも特別な引き出しに入っているのだけど、菅野さんも例外ではないんだよね。人と人が一緒に居る理由、もしくはいない理由。一人であること、二人であること。グルグルした日々の中で「毎日晴天」は正しく私の「希望」だったのだと思います(限りなくライトなタッチのコミカルセンシティブな話に救われるなんてちょろいガキだなとも思いますけど!)

まとめようと思ったのですが、まとめの言葉がまったく思いつきません(笑)
とにかく私はこの作品をとても愛していて、BLを愛する原点でもあると思うのです。また、鬱陶しいぐらいに家族想いで長男気質な大河を「お節介な男だなぁ」と思いながらも大好きでたまらないのです。苦労性で世話焼きで俺様で優しい大河は、本当男前だなと思いますもん。なんだか「晴天」を好きだと言うことで、自分の根底にある「明るさ」を確認した気分です。まぁ、ホモな時点でアレですけど。
その魅力を伝えるには力不足な感想でしたが、何か引っかかるものがありましたら是非手に取ってみて下さいませ。


ここまで読んで下さった方本当にありがとうございます。
いつにも増して支離滅裂のまとまりのない雑文で申し訳ありませんでした。今後ともよろしくお願いします!そして、「長いよ!読めないよ!」と思った方、ここだけでも見て~。
こんなに長い感想はたぶんもう書きませんので、今後ともどうぞよろしくお願いします!


長々と失礼いたしました。

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『夢のころ、夢の町で 毎日晴天! 11』

夢のころ、夢の町で 毎日晴天! 11 菅野彰/二宮悦巳  徳間書店キャラ文庫2005.06待望のシリーズ最新作は、秀と勇太が出会い一緒に暮らし始める京都編。しょうじき、知ったようなくちをきくのもひどく申し訳ない気がして、感想に困るのがこのシリーズで…。登場人物...

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拍手ありがとうございます!

わー、嬉しいです!

>Sさん
いつも思うのだが伏せ字の意味ないよね(笑)
ありがとう!ちょっとダメな私とかたまに見せてゴメンナサイ。また漫画話一緒にしてね!

>Mさん
拍手ありがとうございます!
確かに「好き」って連鎖しますね。本が好きと言っても完全に趣味が被ることって稀だったのに、BLはBLというだけで無限に可能性が広がっていきます!特に小説は、遅れてスタートした私にはまだまだ見てない世界がいっぱいです。これからもMさんや他のブロガーさんを参考にしつつ開拓していきたいと思います!

初めまして

yoriさん、初めまして、こんばんは。
ブログ1周年おめでとうございます。
以前から時々、おじゃまさせていただいていたんですが、「毎日晴天!」の記事を拝見したので嬉しくて、コメントさせていただきました。
「毎日晴天」についての記事をほかで見たことがないとのことですが、確かに、この作品のレビューは多くないと思います。
人と人が出会い、愛し合い、信じあうといった、とても強い情のつながりを描くこの作品が、多くの読者に愛されていることは確かだと思うんですけれど、単純に「好き」とだけ言っておしまいにできるような気軽さをゆるさない、そういう空気がこの作品にはあるような気がします。

> どこを切っても「毎日晴天」は「家族」の「情」の物語なのです。

本当にそうですね。家族のあたたかさと、幸いのぬくもりを、こんなにも鮮明に、痛々しく、伝えてくれる素晴らしい作品だと思います。

私は11巻が出たときに全巻レビューしたんですけど、そういうハードルの高さプラス、自分のこの作品に対する思いをどう表現していいかひどく惑ってしまう、作品の深さをあらためて実感しました。
僭越ながらTBさせていただきましたので、もしよろしければご参考までに。

最後になりましたが、これからもブログ更新頑張ってください。

こんばんは!

>秋月さん

初めまして、ご来訪ありがとうございます。
私も以前から拝見していたので驚きました。とても嬉しいです!

「毎日晴天!」についてはブログを始めた頃からいつか書こうと思っていました。ただ、記事でも言い訳したように子供たちの話がどうにも苦手で(今読んだら絶対に違う感想を持つとも思うのですが)、今回も自分が叫びたい部分だけを中心に感想にしてしまいました。秋月さんの全巻レビューが眩しいです。いつかリベンジ出来れば良いのですが。でも子供たちや明信の話があってこそ、大河と秀の話がより深くなるのは承知の上なので、等しく愛しい作品です。
他人が他人と居るということ―安易な「恋」では終わらない、溢れんばかりの「情」がある作品だと思います。真摯に描かれる登場人物が本当に大好きです。こんなふうに他人と寄り添いたいなと、恥ずかしながら思ってしまった程ですもの。どんな「恋愛小説」よりも私にとっては本当に希望を与えてくれる作品でした。
もう、彼らに会うことはないのでしょうかね・・・。
菅野さんの動向は本人のブログでチェックしているのですが、こちらに戻ってくる様子も見受けられないのであまり期待はしないようにと思いながらも諦めきれません。

コメントとトラックバック(初です!)ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします~






おめでとう!

もう一周年ですか!(ということはわたしも一周年)
なんだか月日の経つのは早いものですね。
yoriさんはこの一年で一体何冊の本を読んだのでしょうか?
数えるのも大変なくらいすっごい量ですよね、尊敬しちゃいます。
これからもばんばん読んで感想聞かせてくださいね~。

わたしなんか「最近のcochiさんの記事、過激すぎるから気をつけて」なんてコメいただいちゃってちょっと落ち込んでます。
過激でした?(笑)
なんか腐った友人と話していると、会話がモロですからね。
ちょっと自重しなくてはいけないのかな。
なんか暗い一周年だわぁ~~。

ヤマシタさんの「MO'SOME」読みましたよ!
感想は近いうちにアップします!

ありがとうございます!

>cochiさん

ホント1年早かったですね!
cochiさんとお友達になってからもまだ1年なんだ~と思うと不思議な感じです。
いやいや、元々読書だけが趣味!のような人間だったので冊数は大して変化ないのですが、中身が激変しましたよ!半々だった腐と一般書の割合が9:1ぐらいになっています。怖ろしいですね~

えー、cochiさんが過激だったら私なんて閲覧禁止もんですよ。
でも腐ではない方にとっては過激な部類に入ってしまうのかもですね(ゲイ友さんのお話とか?)
私も普通の友人と話をしていると、やっぱり異端の趣味なんだなと実感する時があります。先日遊びに行った新婚の友人宅には本棚自体がなくて、「エロイものを見たくなったらどうするのだろう・・・」と真剣に考えている自分が嫌でした(笑)
私は腐の方以外は見ていないだろうという甘えがあるので油断しまくりですが、一般の方、しかも男性も見ているとなると、気を付けた方がいいのでしょうね・・・私的には全然OKなのですが・・・。

ともかく!cochiさんも1周年おめでとうございます!ヤマシタさんの感想楽しみにしていますね!!
これからもよろしくお願いします!
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Author:yori
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