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「ザイオンの小枝」稲荷屋房之介

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終戦後のドイツ。廃屋に監禁され生き永らえる伯爵少将。彼を閉じ込めて屈辱を与えながら世話をするユダヤ人の青年医師。誰にも理解できない彼らの関係とは…!? 珠玉の表題作他、2人が超絶可愛い耳キャラで動きまくるショートギャク「肉球編」も収録した贅沢な一冊!! すれ違う2人のその後が描き下ろしで登場!

稲荷屋さんとの出会いは「百日の薔薇」よりも前、何の雑誌かすっかり忘れてしまったけど、神父と捕虜の話だった。神父が道義に反して愛そうとしたその男はリンチに合い去勢されていた―という何とも衝撃的なラストで締めくくられていて(記憶が非常に曖昧ですが)、暗い展開なのに明るい画面構成がとても印象的だった。あの話には続編があったのだろうか。単行本には入っていないのかなぁ・・・。
実はこの「ザイオンの小枝」の表紙を見て「あの話かも!」と期待をしたのですが、違いました(笑)

しかし面白かった。
稲荷屋さんの描く異国はある種のファンタジーで、そこに生きる人々の愛憎や葛藤は字幕映画を観ているように遠く感じられる。この二人の辿ることになった運命は、伯爵が医者を見定めた時から決まっていたのだろう。ドイツ人の伯爵がユダヤ人の子供を囲うことの悲劇。人種間の憎悪を超えて個人として対峙することなどないのではないかという、歴史が示す悲劇だ。それを監禁凌辱という手法で見せつけておきながら、稲荷屋さんの漫画には「色気と官能」があっても「媚」がまったくないように感じる。50近くに見受けられる伯爵は終始苦痛の表情を浮かべて喘ぎを漏らさないし、そんな伯爵を見つめる男の表情も、愛と憎しみに惑う苦痛の表情を崩さない。なんというか、本当に壮絶な色気がある。長々と続く腸内洗浄の場面ですら、凌辱に違いないのに粛々としている。これは実はとても凄いことではなかろうか。どうでもいいけど「腸内洗浄」って日記に初めて書いた気がする。ちょっとドキドキしました。最後の話がなければ愛憎の「憎」の部分だけが際立った、監獄の中で二人とも気が狂うしかないような絶望的な話だったけど、一気に外の世界に放たれた(精神的にも物理的にも)最終話で救われました。遠い将来でも構わない、いつか「個人」として対峙する二人の表情が穏やかであると良いなと思いました。他の短編も面白かったです。平均年齢が高めなのは偶然かしら?おじさん達の色気が凄いです。

ナチスドイツについて語れることはほっとんど持たないし、時代と国に対する萌えもほぼないのですが、こんだけシリアスな話にもやっぱりあるのね!という「肉球編(作品のセルフパロディ。登場人物が犬猫耳付きの小人化で展開されるギャグ)」に激しく萌えました。可愛すぎるだろう!こういった悪ノリ(?)が嫌でたまらない漫画も正直あるのだけど、稲荷屋さんのギャグは好きだなぁ。もしかしたら本編よりも好きかもしれない(笑)

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