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一般書感想「世界音痴」

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末期的日本国に生きる歌人、穂村弘(独身、39歳、ひとりっこ、親と同居、総務課長代理)。雪道で転びそうになった彼女の手を放してしまい、夜中にベッドの中で菓子パンやチョコレートバーをむさぼり食い、ネットで昔の恋人の名前を検索し、飲み会や社員旅行で緊張しつつ、青汁とサプリメントと自己啓発本で「素敵な人」を目指す日々。<今の私は、人間が自分かわいさを極限まで突き詰めるとどうなるのか、自分自身を使って人体実験をしているようなものだと思う。本書はその報告書である>世界と「自然」に触れあえない現代人の姿を赤裸々かつ自虐的に描く、爆笑そして落涙の告白的エッセイ。

日々出来る限り心に波風立てずに穏やかに過ごしたいと願っている私ですが、そうは云ってられないことも多々あるわけで。対人相手の波風ならまだマシで、相手の怒りや鬱屈を受け止めつつかわしたりしつつ自分の感情をぶつければ済む話ですが(疲れるけど)、特に何もないのに無性に気持ちが下がるときというのが面倒くさい。
そんなときは穂村弘を読むのです。自分と「世界」に得体の知れない「膜」があるように感じるときというのがあって、それはオタクであること腐女子であることとも無関係では恐らくないのだけど、それとはまた違う次元で「なんか私上手くできていない?」となってしまうような、いわゆる中二病(が何かも厳密にはよくわからんけど)の大人バージョンのような気持ちを抱くことがたまーにあるのですね。そんなときの心の清涼剤として、穂村さんのエッセイは機能します。少なくとも私にとっては。ちなみに穂村さんはご自身の著作について書かれている一般人のブログを読むのが習慣だそうですが、こんなスミッコのブログは見つかりませんよね?その件に関して対談集「どうして書くの?」で山崎ナオコーラと語っていましたが、山崎さんの引きっぷりが面白かったです(私も若干引きました)。40間近のダメダメな独身男の日常エッセイを読むと、空恐ろしい気持ちになってくると同時に癒されるのです。それは穂村さんのダメさが私のダメさに確かに重なるからなのですね。何だこの男!?と殴りたくなるようなイラつきが段々快感になってくる。穂村弘という男が嫌いで嫌いで仕方ないのに愛しく感じてしまう。わかってもいるのです。「穂村弘」は歌人穂村弘が生み出した虚構の人間だってことは。自虐と諧謔とある種のとてつもなく高い厄介なプライドと。そう、この人は自己愛の権化だ。その姿が確かに自分と重なるのだ。「世界に馴染むことの出来ないダメな僕」―穂村さんの自己愛は「ダメな僕」と自嘲する部分の限りない軽さにあるように思う。絶対ホントには自分のことダメなんて思ってないでしょ、むしろ「世界」の方がダメだって思ってるでしょ?と突っ込みたくなってしまうような面倒くさい人です。でもそんなところが他人とは思えないというね。また穂村さんの文章はエッセイとして読んでも単純に上手い。短い文章にありったけのグダグダを詩的な感性で押しつけがましくなく乗せている。どの文章も必ずクスッやチクッがある。煽り文句の「爆笑そして落涙」は決して大袈裟ではないです。そしてそして穂村さんの歌がまた面白い。穂村さんと枡野浩一を読むと、現代短歌の自由なこと、魅力的なことがよくわかる。二人ともままならない「恋愛」の歌が多い印象だけど、やたら共感するというか、その気持ちを知っているような心境になってくる。たった5・7・5・7・7で世界を作ってしまうのだから凄いよな。実は以前触発されて短歌に少し手を出してみたのですが、私には無理でした(笑)
男性作家の「自虐ネタ」を読むたびに思うのだけど、男は「カッコワルイ」を「カッコイイ」に転化させることが出来るよね。それがちょっと羨ましいなーと思った。
女は「カッコワルイ」を「カッコイイ」にするのはなんとなく難しい気がするから。

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