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「夜をわたる月の船」木原音瀬

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ある日河瀬は上司の柴岡に人事異動をたてにセックスを強要された。どうしても企画部に異動したい河瀬は、たった一度寝るだけで自分の望みが叶うならと、嫌々ながらも男の条件を呑んでしまう。しかし、企画部に異動になったのは河瀬ではなかった。河瀬は自分の体を弄んだ柴岡を憎み、殺意を抱く。…それから数年後、河瀬は北海道支社長になった男に再会し…。心の闇を描いたヒューマンラブストーリー。


しっかり発売日に読んでしまいました。
長くなった上に微妙な感想です。心の広い方のみどうぞ。




いきなりの問題発言で申し訳ありませんが、たぶん私は木原さんをBL作家としてあまり信頼していないのです。「この関係の何がご本人にとっての萌えなのだろう?」といつも考えずにはいられないから。だからいつしか、「奇をてらった関係(人物)」をBLに包んで表現したい人なのかなと思うようになっていました。もちろん読めば文句なしに面白いですよ。「つまらない」がない(萌えもないけど)。ただ、どーにも勝手にですが、「これはどう?まだいける?」的な挑戦っていうか、挑発っていうかを感じてしまって・・・ヤマシタさんと同じようにBLとして読むのはやめました。だから逆にBL的萌えを感じる作品に出会うと本気で驚きます(笑)

なんて失礼なことを先日まで思っていたのですが、今も基本はそう思っているのですが・・・ああ、木原さんは「本気」なんですね。この作品の初出が同人誌ということで、木原さんは本気で48歳の病んだ男をどうこうしたいと思ったのですね。それは、すごいや。そうか、本人の萌えが常人を凌駕するから異端の存在なんだ。改めて確認しました。

途中「介護萌えなのか?」と思わずにはいられなかったりと、なかなかの衝撃を見せてくれた今作ですが、好きか嫌いかで問われたら正直好きじゃないけどグイグイ読まされましたよ。
柴岡の設定が凄い。一言でいえば「社会生活は普通に営むが、自殺願望があり、心を病んでいる男」でしょうか。自分が病んでいることを自覚し、自分の自殺願望を自覚し、それを当然のこととして河瀬の前にフラッと立つ姿に寒気が走りました。ただ私が簡単に使った「心を病む」や、作品冒頭にある柴岡が河瀬に向けて云った言葉「心の中に闇なんてないんだよ。自分は自分でしかありえない。それを理解できない他人が、理解できないものに、便利な名前を付けただけのことなんだ」について考え出すと止まりません。ま、心療内科にかかるレベルだと思われる柴岡にはあんま云われたい台詞じゃありませんが。「心の闇」程重くはないけど、「あの子変わっているから」「天然だよね」または昨今流行りの「草食系」に代表される「~系」だって、単なるカテゴライズじゃなくて、大多数が理解出来ない対象にたいして使われる言葉だなーと思いますもん。でも、とりあえず柴岡は心療内科にかかるべき。

思春期に「普通」を逸脱してしまった柴岡の心は、その頃からゆっくりとおかしくなっていたのですよね。だから「普通」を体現したような河瀬に心惹かれたのも事実だったのでしょう。普通か普通じゃないかで物事を計るよりも、好きか嫌いかで計った方がずっとシンプルで美しいと思うと同時に、でも世間や社会はそんな理想論を許してくれる場所ではないことも承知。社会の中で世間に揉まれて生きている私は、せいぜいが「好きなものは好き」「嫌いなものは嫌い」と心に決めて、「でも仕方ないから従うんだ」と拳を握ることぐらいしか出来ない。じゃあ、一見して個人の問題のように思える「恋愛」は?と考えたときにも、やはり社会と世間の目は無関係ではいられない。柴岡と母親の問題に対して「普通」ではないからいけなかったと口にするのは簡単だけど、本人達にしかわからなかった部分の感情も含めて、本当のことはわからない。ただ、その関係が柴岡を壊していったのは事実。

毎回「この関係がどう恋愛らしきものに発展するのか?」という驚きを見せてくれる木原作品ですが、あまり数を読んでいない私が云うのも憚られますが、今作は一番の「力技」ではないかと思います。「自殺を考える男」がいて、「目を離すと自殺する」のは分りきっているが、「自分とセックスをしている間は男は自殺をしない」ということも分っている。さぁ、どうするって・・・しないわけにはいかないよ。「死にたがり」なんて漫画にも小説にもよく出てくるキャラクターだと思いますが、柴岡の「本気度」はそれはもう、本当に本気なんだと河瀬同様読者にも十分に伝わってくる。「出てけ」と云えば最後、男は死ぬ。6年前は「異動」を盾にした脅迫ですが、再会した男は、決して自分から口にはしなくても「命」を盾にした脅迫を続けているようなもの。これは、怖すぎるだろう。どんなに忌わしい人間でも、「死ぬから」と云われて「はい、どうぞ」と答えられる程人はドライには生きていない上に、河瀬にとって柴岡は「仕事の出来る有能な上司」という表の顔を知っていることも大きい。要するに、「わけが分らない上に、この男は嫌いだが、死なれるのも困る」というとても現実的な感情を河瀬は持っていたのですよね。そこからの展開は・・・私は正直納得がいかんというか、それはないような気がするかな。うん、その状況で河瀬の心が傾くには色々(ページ数もエピソードも)足りないような気がしました。でも「FRAGILE」を読んだときに感じたような強い否定ではなくて、「そんなことも、あるかもしれないなぁ」ぐらいの気持ちです。「無罪世界」と似ているかな。実際柴岡は段々可愛く思えてくるしね。日高さんの挿絵で本当に良かった(笑)面倒くさいとか、性格が悪いとか、そんな表現を遥かに超えた柴岡。やっぱり木原さんの萌えは凄いなぁ。

木原さんは小説を「BL的に」終わらせてくれる人なので、安心や若干のカタルシスも感じられるのですが、その部分が逆に「浮いている」ように感じられるのも事実。かといってBL(と、一応名前を付けられるもの)を書かないことが、ご本人にとって意味のあることなのかと考えると、きっと意味がないことなんだろうなと思う。だからなんだって話ですが、読後感は悪くなかったです。時間をおいて読み返したら、また違った感想を持つかもしれない。そんな感じでした。


来月出る上下巻の話になるのですが、表紙を見る限りでは・・・ヤンキーが受けだよね?
上巻では黒髪の子を庇護するようなヤンキーの図が、成長した下巻ではまったく逆になっている。「薔薇色の人生」を読んだときに、どうしてモモが受けじゃないのか不思議で仕方がなかった私。不良は受けて欲しいのよ!これはちょっとBL的に期待をしてしまいそう。楽しみだ♪



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Pさんへ♪

こんばんは!わざわざこちらにお返事をありがとうございます~。お仕事大変そうですが、身体には気を付けてくださいね!国民の14人に1人がインフルエンザなんてご時世なので、元気なのが逆に妙な気になってくる今日この頃です。

応援の件は出遅れも甚だしい感じで、本当に申し訳ないですっ!巻数物が苦手というヘタレなので、なかなか手が伸び切らず・・・。でもPさん宅で予習はバッチリなので頑張ります!
先生自身もご存知とは!それはとっても嬉しいことですね。でもそれ以上に、きっと先生も嬉しいと思いますよ。著作に対してあれだけ熱心な活動をしてくれるファンがいるのだから。私も大好きな先生や作品は数多くありますが、「広めよう!」というよりも拙宅で「好き!」を吐き出して自己満足してしまう部分があるので、Pさんの熱意と行動力はとても尊敬しています。うん、やっぱり杉本先生は幸せですよ。

あはは、嵐ネタはどうぞ気にしないで下さい。彼がテレビに出るとポワ~と画面を見つめている程度なので(笑)しかし最近の彼の「色気」は尋常じゃない気がするのですが、何事でしょう。そう!あの目が良いですよね。母性本能をくすぐるというか、本気で可愛いです。おっと、失礼しました・・・。

私の方こそ今後ともよろしくお願いします~
ではでは。
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