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「月に笑う」木原音瀬

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路彦は、深夜の教室である事件を目撃してしまう。それ以来、事件のことを探りにチンピラ信二が学校周辺をうろつき始めた。ひ弱な優等生と小さな組のヤクザ―年齢も環境も大きく違う二人なのに、知り合ってみるとなぜか奇妙な友情関係が芽生え、路彦の未成熟な心と体に、信二の存在は唯一の安らぎとなっていくのだが…。二人の出会いから九年の歳月を描く超長編。 (上巻)
組を移った信二と、大学に進学した路彦。それぞれの新たな生活が東京で始まったが、二人の関係は穏やかに続いていた。組に疑似家族を求める信二は、組長の息子・惣一につくことになって以来、洗練された惣一に傾倒していく。しかし、組の仕事に路彦が偶然にも関わりつつあると知り…!?失ったものを取り戻すんじゃなく、お前が心底欲しかった― (下巻)



またまたしっかり発売日に読んでしまいました。
対になる表紙を見た時から予感と期待はしていましたが、これ程とは!!
まさかの木原さんでBL力(?)回復という事態に戸惑っております(笑)
とても面白かった!!


ただ、たっぷり上下巻所要読書時間5,6時間のあいだ、絶えず私の頭の中にあったのは、「で、いつ受けるの?」という1点のみだったことを考えると(もちろん芯になる話も面白かったのだけど)かなり偏った感想になってしまう気がします。先月の「月の船」や同レーベルから出ている「COLDシリーズ」に比べると、木原さんにしては、とても優しい部類に入る話ではないでしょうか。主人公の二人が若いことも相まって、過剰にダメな人間が出てこないし、想像の範囲内に心地よく収まってくれる話でもありました。

何度も云っていることなのですが、私は「不良(ヤンキー&ヤクザ)受け」に非常な萌えを感じる人間です。
それもヤンキーなら何処に属してもクズ扱いの半端物なら尚良し(リーダー的なカリスマ性のあるヤンキーも好きですが、カリスマには受け攻めを超越した孤高の存在でいて欲しいという願望があります)、ヤクザなら株を操り高級車を乗りまわすような経済ヤクザではなく、中卒学なし刺青持ちの武闘派系ヤクザが受けるのが良い。良いったら良い。雄っぽさを過剰に意識して自意識過剰の女子中学生みたいな恥ずかしさを持った彼らが、女に転じる瞬間の興奮といったらありません。もっと泣かしたれと、それが強制交じりの凌辱でも俄然攻めの肩を持ってしまいます。その心理を深く突っ込むとかなり屈折した答えが出てきそうなので止めますが、とにかく私は「不良受け」が好き。

そしてもうひとつ好きなのが、「精神的下剋上=関係性の逆転」です。
読んで字の如く、初めは圧倒的に力を持っていた側が、いつの間にかジワジワと相手に執着していくようになる関係。
木原作品ではお馴染の「追う者追われる者の逆転」ですが、大抵の話は受けにしろ攻めにしろ好きとは言い切れない人物達なので、あまり萌えを感じないのですよね。ただ「こどもの瞳」は例外で、あの話の主人公二人も今作と同様に、小説的な登場人物だったので素直に好きと思う事ができた。結果、私は「こどもの瞳」が大好きです。「月に笑う」を読み始めて、「こどもの瞳」の二人の関係にちょっと似た部分があるなと思いました。イジメを受けていた路彦を救う信二と、信二を無心に慕うようになる路彦と。雛の刷り込みのように信二の後をついてまわるようになる路彦ですが、肉体的にも精神的にも未成熟な泣き虫(読んでいてイライラするぐらいよく泣く)のくせに、一歩俯瞰したような所を持っている。路彦は「ヤクザ」そのものに憧れているわけではないし、信二の職業だからといって尊重するわけでもない。早いうちから信二が「カッコ悪い」ことも見抜いている。そのカッコ悪さに路彦が気付く切っ掛けとなったのが、タイトルにある「月に笑う」。信二が覚悟を決めて背負った刺青の下絵を見て、信二は「龍が笑っているみたい」と云うのです。信二の背中にある「覚悟」なんて、その程度の物だと暗に伝えている。そういった路彦のキャラが思いのほか良かったなと思いますね(好きではないけど)。イジメラレッ子の陰気さとヤンデレ風な怖さを持っているのに、受け取る側(信二)がバカだからイイ感じの甘さがある。男前な発言をしても、男を立てる貞淑な妻のような雰囲気もあるし・・・路彦の精神的な強さはかなり女性的で、母性本能のようなものに近いなと感じました。
「ダブルミンツ」の金髪ミツオ(攻め)や、「恋のまんなか」の司(受け)を思い出しました。

上下巻に及ぶ長編ですが、二人の関係はなかなか逆転しない。
挿入まで及ばなくても身体の関係はずっと信二×路彦ですし、信二が本格的なヤクザ稼業を始めてからは、二人の共同作業というのが減り、信二の感情そのものも曖昧です。路彦が信二を盲目的に好きなのは伝わってくるけど、信二の気持ちがイマイチ見えてこない。もちろん路彦のことをとても大事にしているのも好きなのもわかるのだけど、核心が見えない。セックスしても挿入はしないことが路彦の不安を煽るのですね―なんて書くとすっごくBLっぽい話のようですが、今作はすっごくBLっぽい話なので問題なし。しかし、「身体を繋げたら相手のもの」的な甘ったるい考えは理解出来なくはないけど、木原さんで読むと微妙に違和感がありました(笑)
でもそれも全部信二が受けることへの伏線ですからね!
途中あまりに信二は受けないし、路彦は強いけど女々しい(失礼)し、もしかしたら「恋のまんなか」のように、精神的に強い方が「受ける」ことで、攻めの「弱さ」を増し増しに表現する展開かな~とも疑ったのですが、そんなことはなかった!!

信二が路彦を「自分のもの」にしないのは、結局手に入れてしまうのが怖かったから。
好きだから、すごく好きだから、失うのが怖くて自分のものに出来ない。路彦はそんな信二の臆病さにもとっくに気が付いていたのですよね。そして、「あなたを僕のものにしてあげる」と云って抱く。ヤクザ的ストーリー展開のゴタゴタの中でついに路彦に抱かれる信二の姿に、私は内心でガッツポーズでしたよ。ああ、良かった~。
気持ちの上ではとっくに両想いだった二人なので、その点だけを気にして読んだかいがありました(笑)
木原さんは「極限状態における性交」をよく描く方だと思うのですが、彼らが置かれた状況と、自らを「雌犬のよう」と自嘲する信二の表現が合わさって、獣じみた交わりになっている。そういった表現もとてもツボに入ります。切羽詰まって暴走しているような愛情が切なくて好きだ。襦袢趣味はないけど、真顔で「花嫁にしたい」と云う路彦と赤面する信二に悶えました。可愛いよー。

ヤクザ的ストーリー展開、後、大団円という甘さも安心して楽しめました。良太(信二の舎弟)の顛末もホッとしたし、信二がヤクザから足を洗えたのも良かった。二人が迎えたラストも申し分なかった。
ただ、ひとつ辛いことを云ってしまうと、上下巻のボリュームの割に信二にしろ路彦にしろ人間的な成長&葛藤をあまり描き切れていなかったような気がしました。それは信二という「半端モン」の視点だから故と、ストーリーが彼らの少年期から青年期の九年間をつぶさに追うからかなと。九年経っても彼らは若いしね。だから後書で木原さんが編集に云われた「冗長」という言葉が、あながち遠くもないかな~な印象を受けたのも事実。もうちょいまとめて一冊でも良かったかも。対になる表紙は美しいですけどね!

ともかく、二人の関係は私が理想とする「不良受け」としてほぼ完璧!
大変素晴らしい萌えを与えてくれました!良いものを読みました♪

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