「アンナ・カハルナ」城平海

以前やっていたブログを掃除しようかなと思いつき、許容範囲内(これでも!)の感想だけ移動させてみることにしました。改めて読んだけど酷い(今もだけど)。言い訳ですが、だって一般文芸って腐じゃない人も見に来るし~、男の人だっているし~、色々誤魔化しているのがわかります。
そんな中で、これだけはタイトルにしてあげたいと思った作品がこちら。
(文字色が変わっている部分は書き足しました。)

アンナ・カハルナアンナ・カハルナ
(2005/10)
城平 海

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男に身を売ることでしか生きていけない哲也、32歳。かつてはそのルックスのよさで新宿2丁目でも知られた存在だったが、今では歳のせいもあり声がかかることも少なくなった、負け犬出張ホスト。そんな彼にある日突然田舎の農村から指名が入る。不思議に思いつつも向かった先に待っていたのは―。

著者の城平海はゲイ雑誌で同性愛者向けの恋愛小説やエッセイを書いている作家です。出版社も古川書房という、まず一般の本屋には新刊委託のない、その道専門の出版社。2週間待って手にしました。読みたいと思った動機・・・BL・耽美は、まあどんなものだか知っている。←知ってるどころじゃない!
『蜘蛛女のキス』や『潮騒の少年』『モーリス』『薔薇日記』などの同性愛小説の古典もまあ読んだことがある。しかしゲイ小説というものは未知の領域だったのですね。本を読みたいと思うのに動機の説明なんて言い訳がましいですね、単純に好奇心です(笑)

あと、「アンナ・カハルナ」という題名の美しさに惹きつけられました。

何のことだかわかりますか?
「安中榛名」
哲也の勤める出張クラブの女社長が地名を勘違いしたのです。
この小説で一番素晴らしいのはこの題名だと思います。←失礼ですね
恋愛小説なのでご都合主義な展開は仕方がないと思いますが・・・BLやハーレクインにも負けない展開だった気が。哲也を買ったのは、昔二丁目でも有名な色男だった元・大学助教授の健二郎。母親の死をきっかけに脳梗塞になった父親の介護をするため東京の職を捨て地元の安中榛名まで帰っていた。健二郎は昔哲也に想いを寄せていた。そして哲也も二丁目時代に健二郎のことを意識していた。ホストと客という再会だが二人の気持ちは燃え上がり、ついには健二郎の父親の介護の手助けをするため、哲也は安中榛名の健二郎宅に住むことになる。・・・再会もの?と思うじゃないですか。違うのです。

家族のように暮し始めた3人だが、父親は健二郎の性癖を認めてはおらず哲也にもなかなか心を開かない。何もない田舎で流れるゆっくりとした時間。村の農作業を手伝ううちに哲也は徐々に安中榛名に馴染んでゆく。
このままスローライフな家族小説風味で進むのかと思ったらそんなことにはならなかった。
哲也は運命の出会いをするのですよ。農協の若者、耕太と。

ここが面白いなと思いました。健二郎は完全にあて馬役だったわけです。恋愛小説といえば「Only One主義」というイメージだったので意外でした。しかもその伏線と云うか前兆があまり感じられない!哲也と耕太は秋祭りの神楽舞で風神雷神役に選ばれたのを切っ掛けにあっという間に距離が縮まります。耕太は新婚だったのですが、昔から性癖に対して違和感があり、哲也に出会った瞬間に真実の自分を認識したと。神楽舞の練習は二人きりで行われるのですが、ここがゲイ小説のドリーム部分なのかなと思いました。「祭り」「褌」「若い男の汗」そんな記号がたぶんドリーム。あと、風神雷神を舞う二人は生涯消えることのない強い絆で結ばれるというエピソードもドリーム。そして秋祭りが終わり、登場人物各々に何らかの結論が出て「大団円」と呼ぶに相応しいラストを迎えます。
性描写はそんなに激しくないので苦手な方でも大丈夫だと思います。

ゲイ小説ですが、そこに親の介護問題という実はかなり深刻なテーマを取り入れた作品だったのではないでしょうか。父親、突然亡くなるんですけどね(この展開が一番納得いきませんでした)
あとがきで著者がいうように「超」「極」「甘口」の小説でした。
現実に親の介護で泣くシングルが大勢いて、その中の何割かは同性愛者で―という著者のあとがきが読んでいて一番心を揺さぶられました。
長々と書いてしまいましたが、興味のある方は注文して読んでください。
本屋にも、たぶん図書館にもないですからね(笑)


この著者は某腐男子さん宅で知りました。
っていうか、これを一般書ブログにあげた時点で色々アウトよね(笑)BLに「眼鏡」が記号的に出てくるのと同じで、「褌」に大変納得したのを覚えています。えーと、文章的にもストーリー的にも正直云えばオススメは出来ません。あまりに色々と拙い気がしたから。ただその拙さを愛する人がいて、拙さの奥にある真摯な問題と、フィジカルに感じられるけどやっぱり真摯であろう恋愛物語に需要があるのだと思うと、心のスミッコに残り続ける作品です。

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