スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「黄昏に花」「黄昏に花が舞う」樹生かなめ

tasigarenihana1.jpg tasogarenihana2.jpg

千代田中央銀行のエリートコースからドロップアウト、子会社のビルカム・チヨダの業務課課長・岩井。特性、不能。癖の強い部下に振り回され、かつてのライバルには嘲笑われながらも、毎日を淡々と過ごしている。そんな岩井の前に、エリートコース邁進中、全女性社員の憧れの的・小田原が現れた。しかも小田原から猛烈アプローチを受けることに!?熱く迫る小田原も不能には適わないかと思いきや、情熱は増すばかり!?枯れた男と燃える男の熱い恋の物語登場。(黄昏に花)
千代田中央銀行のエリートコースからドロップアウト、子会社のビルカム・チヨダの業務課課長・岩井。特性、不能。そんな岩井の恋人は、本社エリートコースまっしぐら、全女性社員憧れの的・小田原だ。岩井の不能をなんとか治そうとする熱烈な恋人の求愛と個性豊かな部下に囲まれ、岩井の毎日は淡々と過ぎてゆく。そんなある日、部下の真砂が失恋して!?愛しさは恋になるのか?岩井忠生&小田原保徳の愛しき日々、登場。(黄昏に花が舞う)


何処を探しても見つからなかった「黄昏に花」ですが、ようやく読むことができました。
これまでに感じたことのないような読後感に戸惑いすら覚えています。
それは面白いと云うよりも、とにかく愛しい。愛しくて愛しくてたまらない。
岩井が、小田原が、ビルカム・チヨダの面々が、「黄昏に花」の世界そのものが無性に愛しくて仕方がないのです。何て云えば良いのだろう?たとえば私は彼らの話をあと、もう、延々に読んでいたい。岩井と小田原の関係に進展があってもなくても、彼らが生きている「黄昏」の世界にもっともっと浸っていたい。二人の恋愛模様だけではなくて、瀧が本社の小池君とどうなるのか気になるし、真砂が作る勝負料理と結婚退職の行方が気になるし、破壊神森田が次は何を壊すのか気になる。辻がビルカム・チヨダの仕事と人生に希望を見出せるかが気になる。その時岩井が何て声を掛けるのかが気になるし、そんな岩井と辻に一言云わずにはいられないだろう小田原が気になる。こう、すべての人間が等しく生きていて、等しく魅力的に描かれているから、こんなにも愛しいと感じるのよね。

また「黄昏に花」というタイトルが素晴らしい。
内容のすべてを表わしていて、尚且つ単語としても美しく、もし今後「ベスト オブ BLタイトル」を決める機会があれば(あるのか?)、文句なしで堂々の第一位。そのくらい「黄昏に花」という言葉は私的に完璧だと思います。

岩井は何も持たない男。彼の生き様を見ていると、欲望がないということは、絶望もないのかもしれないなどと詮無いことを思ってしまった。35才にして左遷の憂き目に合い、妻子は去り、男性機能は不能。その状況が何ら改善されることなく10年の月日が流れて、岩井は文字通りに「枯れた」45才になっていた。「あとは人生の黄昏時に向かってただ歩くだけ」と静かに腹を括って生きている岩井の姿は、淡々とし過ぎていて、物悲しさすらあるのに、どこか滑稽。そんな岩井のちょっと外れた言動ひとつひとつが愛しくて仕方ない(しつこいですが、これしか云い様がないのです)。彼に熱烈な愛情を捧げる小田原は、最初は樹生作品でよく見かける「人の話を聞かない攻め」だと可笑しな気持ちで読んでいたのですが、「オヤジだから」とのらりくらりとかわす岩井の狡さに一歩も引かない「熱い男」っぷりが、これまたどんどん愛しくなってくる。樹生作品を読むと、私が恋愛小説を読む上で気にしてしまう「なぜその相手を好きになったのか?」がすっごく瑣末な問題に思えてくる(笑)
好きだから好き。あなたの老後の世話は自分が見ます。老い先短い残りの人生をすべて僕に下さい。―こんな若干失礼だけど熱烈な愛の言葉を一方通行気味の恋愛関係なのに浴びせるように発する小田原。さすが「ゴリ押しの小田原」。岩井の不能を治そうと躍起になる彼に、徐々にだけど絆されてゆく岩井。そんな二人が、やっぱりどうしようもなく愛しい。
各話のラストに入る台詞とモノローグがこの話の優しさと温かさを物語っていると思います。
「まず、インポを治してあげます」
この時より、人生の黄昏に向かって歩いていた岩井の日々が一変した。

伝わりますか?台詞の可笑しさとモノローグの優しさ。それが無理なく共存している小説世界の稀有さが(褒めすぎ?)

そしてこの小説の魅力は優しさだけではない。
時折挟まれるドキッとするような現実社会の過酷さ。悲惨さ。それは厳しい競争社会に脱落した岩井だからこそ見える部分。負け組の視点があって、でも樹生さんは勝ち組の葛藤を挟むことも忘れない。皆が等しく会社という社会の中で生きている。人生にリタイアする人がいても、それでも残された人々は生きていかなければならない。どうせ生きるのなら黄昏時のそのまた彼方まで、横を歩く誰かと共にあれたら幸いなのではないだろうか。

とにかく、なんて異質な物語(BLとしてかな。JUNEとしてはどうなのだろう)かと、感嘆するより他ない。
主役である岩井と小田原に起こった出来事(物語が動く上での)が、諸々の出会い、無理矢理(!)、告白の後は、「岩井がギックリ腰になり、小田原が親知らずで苦しんだ」になってしまいそうなところも凄いし、そんな日常をもっともっと読んでいたいと読者に思わせる樹生さんが凄い。樹生作品の特異さは私の拙い言葉では表現し難いものがあるのだけど、その底なしの奥深さというか「アナザーワールド」(byA林さん)っぷりを最も実感したのが、この「黄昏に花」でした。
そもそも受けが45才はともかく、終始「不能」で特に治す気もないのだから!この設定だけで「トンデモ」だと覚悟をしていたというのに、彼らの愛しい日常に感動すら覚えるなんて!凄いとしか云えないよ!!槇えびしさんの挿絵もとても素敵で、挿絵を早く見たくて小説のページを捲ったのは久しぶりだ。

「花が舞う」は07年刊行だけど続編は出ないのかな?
バイアグラは飲んだの!?不能は治るの!?岩井と小田原は合意でいたすことができるの!?
この作品、本気で続編を切望します。
余談ですが本日はン度目の誕生日でございます。
昨年はインフルエンザでしたが今年は元気。

辻君、私なら図書カード10万円大歓迎♪
でもお返しが大変だからゼロ1個減らして、あとは花束で十分よ~。

コメントの投稿

非公開コメント

よどみ萎え、枯れて舞え

お誕生日、おめでとうございます♪
(ちなみに私は3日後ですー)

もともとJUNEに数本掲載されて、その後、大洋図書SHYノベルスから単行本が出た(JUNEがあんなことにならなかったら、クリスタル文庫から出たかも)とゆーいきさつのある『黄昏に花』なんですが、この表題作(つまりシリーズ1本目)がJUNEに掲載されたとき、他のラインナップもスゴかったんですよ。エダさんの「眠る探偵シリーズ」とか、アイダさんの短編とか。今となっては奇跡のゴージャスぶりでした。

大洋図書から出ている樹生さんの作品は、どれも「すんごいな~」という設定である「究極の愛シリーズ」なため、一見すると読む人を選びがちなんですけども、読んでみると当たりが大きいんですよね。私は『黄昏に花』が大好きです。岩井課長だけでなく文章まで見事な枯れっぷりで、紙面が白いじゃないですか?…いつもの樹生さんなら、不要な改行がないみっちりとした文章を書く方なのに、この作品だけは白い白い、簡潔簡潔。読んでいると思わず「課長ーっ!」と叫んでしまう私です。岩井課長が大好きなんですー。「本田(ドア)、岩井課長7(黄昏)、芽吹(交渉人)」が、私の受ベスト3です(順不同)。

> 「花が舞う」は07年刊行だけど続編は出ないのかな?
> この作品、本気で続編を切望します。

個人的にはこれで終わってもいいかな?と思ったのですが、続編が出るのならば読みたいです。ただ大洋図書がな~…むむむ。この前、講談社WHの公式サイトを覗いてみたら、樹生さんの今年の目標が「オタク活動復活&イベント復活」だったので、できるならそれで岩井課長をなんとかして欲しいです。樹生さんがイベント復活されるなら(何年ぶり?5年ぶりくらいでは?)、オラ、東京さ行くだ!

ちなみに『黄昏に花』のBLCDも出ていて、「隠れ名作CD」として人気が高いです。演出&音楽がすごく良く、岩井課長を演じた宮林さんが「岩井課長の人生が深くて、いいキャラを演じさせてもらったなと思った」というような話をされていました。ちなみに攻の小田原役は、芽吹役で有名な平川大輔さんです。原作は原作、CDはCDとしてそれぞれとても良い出来だと思います。

あとはそうですね、読んだ後になんともいえない気持ちになる樹生作品なら、絶版してますけど『炎の中の君に祈る』かな。これはBLだとはいえない。ただ「私はこれが書きたい」という作家魂の感じられた作品でした。「ああ、これはたしかに樹生さんだ」と。

今晩は!

>秋林さん

わー、ありがとうございます!嬉しいです!
3日後ということは、秋林さんも(は)「社交的でミステリアスな水瓶座」ですね♪
おぉ、当たっている気がします~。

残念ながらJUNEの興盛はおろか衰退にも間に合わなかった人間なので(私が知っているJUNEはエロ漫画雑誌でした・・・)、そんな奇跡的な話を聞くと羨望の溜息がでます。「黄昏の花」のような作品が掲載されるBL雑誌って今はたぶんないですよね。でも、樹生さんが後書で編集者とのやり取りを書いているように、当時でもきっと異色だったことは間違いないですね。なんと云っても「45才受け」で「不能」なのですから!本当、凄い。

「黄昏に花」の紙面の白さ!わかります、わかります!
文章自体の「語らなさ」加減といいますか、余白、空白、間、そのすべてが「黄昏」の世界を作り出していると思います。よく考えると(考えなくても?)部下ズはかなり酷いことを岩井にしているし、岩井に降りかかっている災難だって、読む人が読めば引くぐらいかもしれない。それにも関らず、どこか現実からちょっと浮いたファンタジーのような優しい味わいが出ているのは、構成と演出の成せる技だと思います。それを天然(なわけないですかね)であれ確信犯であれ、難なくこなしてしまう樹生さんの作家としての凄さを実感しました。
「えっ、この場面にこれ以上説明なし!?」的な驚きを持つことが少なくない樹生作品ですが、「黄昏」では敢えて語っていないというよりも、「そんなの必要ないでしょ」と作者自身が余分な言葉を端から念頭に入れていないような印象さえ受けました。私が底なしに奥が深いと感じたのはその為です。もう、凄い!そして愛しい!(しつこくてスミマセン)
秋林さんの岩井課長好きはもちろん知っていますよ♪
それにしても・・・本田、岩井課長、芽吹って、共通点が見事になくないですか?!
むむむ、そんなことはないのかしら?ちょっと面白いなと思いましたので。

そして続編を期待していたのですが、「黄昏に花」はおそらく現在絶版なのですよね。大型店に行ってもないな~とは思っていたのですが、ネット書店も軒並み在庫なしで、たまたま入った古本屋でゲットしました。そうなると、正規の出版形態での続編は難しいですよね・・・。
同人誌でも大歓迎です!岩井課長に、小田原に、ビルカム・チヨダの面々に再会出来るのなら!!
いっそ丸々部下ズの話でもいい!永遠におでこにキス止まりでもいい!!(でもちょっと進んでも欲しい~)
ふふふ、CDの方は既に購入を検討していました。迷っているうちに廃版になってしまうとショックなので、早いとこ決めたいと思います!「炎の中の―」脳内メモに記憶しました♪見かけたら手に取ってみます!

余談ですが、私も「黄昏」にちなんだ題を・・・と考えたのですが、中島みゆきの「わかれうた」しか思い浮かばず断念しましたー。コメントありがとうございました!
プロフィール

yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。