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「罪と罰の間」綺月陣

罪と罰の間 (リンクスロマンス)罪と罰の間 (リンクスロマンス)
(2010/02/28)
綺月 陣

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リストラによって会社を解雇され、家族からも見捨てられてしまった41歳のオヤジ・高島。生きる希望もお金もすべて失った高島は、歩道橋から飛び降り自殺を図るが、運悪く派手なオープンカーの中に落ち、助かってしまった。そのまま車の運転手・三沢に拾われた高島は、イカサマカジノで稼ぐ相棒として、彼の仕事を手伝うことになる。しかしある夜、強引に三沢に抱かれた高島は、彼の抱える心の闇に気づいてしまい…。

綺月さん初読みでございます。他所様で怒涛の有名トンキワ巨編「獣三部作」の感想を読んで以来、BL界にはとんでもない方がおられるようだ~と他人事のように思っていました。まさか手に取る日がくるとは思ってもいなかった作家さんの一人です。「脂(非枯れ系)オヤジ受け」の噂に誘われてワクワクしながら読み始めたのですが、とりあえず「脂オヤジ受け」についての萌えは置いておいて。「罪と罰の間」の名の通り、登場人物の犯した「罪」、それに対する「罰」、そして間に存在するものはおそらく「償い」だと思うのですが、全編通して「罪とか罰とか…」と呟かずにはいられないぐらい、それ一色のお話でした。当然重いし、綺月さんの文体には終始馴染めず座りの悪い読書ではあったのですが、夢中で読みました。
綺月さんの文章の率直な印象は、「!」「…」「―」が多い。そして私が苦手とする「喋り口調」をそのまま文章に起こしたかのような会話文。この二つが重なると作品としての「好き」からは外れてしまうことが多いのですが、とにかく内容で読ませる読ませる。息も吐かせずとはまさにこのこと。

高島がこの世を儚み身を投げた「死者」なら、差し詰め三沢は「天使」といった役どころのように思えます(職業イカサマギャンブラーでド倹約家の天使)。だけど違う。この話の真の主人公は高島ではなく三沢なのです。断言するけど、これは恋愛の過程を楽しむような類の話ではない。二人の間に生まれる「愛のようなもの」は、最初から拍子抜けするほど呆気なく姿を見せるし、似たような傷を抱えた孤独な者同士が心を寄り添い合う過程すらも問題ではない(ように私には感じられた)。何故なら「死者」は「天使」に救われたから―そこに「愛情」が生まれるのは必然のように描かれているのですね。
高島に焦点を当てれば、何もかも失った男が歩道橋から飛び降りたことで生まれ変わったという都会のファンタジー。「白馬の王子様」ならぬ「白いポルシェに乗ったビジュアル系」に救済される過程はまるで御伽噺のよう。でも同時にどこか泥臭さもあるのは、三沢という謎の男のあまりに質素な生活だとか、寂れた商店街だとか、流行らないけど常連客で賑わう喫茶店だとかの日常風景による。天使のように慈悲深い男は一体何者なのか?彼は一体何をしているのか?この三沢の抱える「罪」と「罰」の「間」にあるものが、この話の肝ですね。抱えてしまった罪と正面から向き合いすべてを捧げて償いながら罰を受け入れる男の姿に、高島自身の気持ちにも変化が生まれていきます。

読みながらずっと「ゲイノベル」のようだなと思っていたのですが、言葉の選び方や直截さだけではなくて、天使のような三沢は決して聖人君子なわけではなく、欲望にはかなり、とても忠実。一目惚れらしき高島をあっという間に手練手管で夢中にさせます。そのギャップが、以前に城平海さんの「アンナ・カハルナ」を読んだとき感じた印象と被ったのですよね。すごくセンチメンタルな話のようでフィジカル面はガッツリという。三沢の抱えるものは重くて哀しいのだけど、愛し愛されることに長けている魅力的な人物でした。

それにしても、高島が妻子にした「罪」を今の私は冷静に眺められないな(笑)
だって…この男マジで最低っすよ、奥さん!金の切れ目が縁の切れ目とはよくいったものですが、最後の晩餐の冷え冷えとした空気のリアルさといったらない(いや、知らないですけど)。それなのに最後まで「お茶!」とか云う男の愚かさには怒りを通り越して情けなくて哀れで渇いた笑いすら出てきそうでしたよ。私が理想とする「オヤジ受け」からはあまりに遠い人物だったので、途中で「攻めの方が良かったかも?」とも思ったのですが、女好きだった高島が「女」にされることで彼の内面の転換を描くことに成功しているので、やはり高島は受けるしかなかったのです。それが結局は三沢の過去のトラウマとも繋がることになり、他人を思いやる気持ちなんてこれっぽっちも持ち合わせていなかった男の変化がよく伝わってきて泣かせる効果もありますしね。「オ」連発の喘ぎ声には少々面食らいましたが、慣れれば大丈夫!ついて行きましたよ!(萌えにはならなかったあたり、まだまだ未熟者です…)

もちろんすべてが納得出来るというわけでもない。三沢が高島の罪を何度肩代わりしたとしても、それは高島自身の罪滅ぼしにはならないのでは?とも思った。だけど、救済というのは結局のところ結果論で、「今、お金が必要な人にお金を提供すること」の即物的な下品さと、「でも救われる事実に変わりはない」という真理を上手いことついていて、凝り固まった常識を覆される快感がありました。「罪」と向き合い「罰」を受け入れた時に、これから一体自分が何を出来るのか。高島の贖罪がいつの日か、傷つけた人たちに伝わるといいなと思います。面白かったです!

綺月さんとのファーストコンタクトを無事に済ませられたので、この勢いで他の作品にも手を出してみようかな。「獣」はやめておこう。「龍と竜」あたり読んでみようかしらね。


残念ながら「40代ヒゲオヤジ受け」についての萌えは、この作品では消化しきれなかったのですが、その萌えのすべての原因はこの男!!もうすぐ4巻が出ますが、お茶目で繊細で淫乱なオヤジ受けなのですよ!!(注:BLではありません)彼に出会ってからオヤジ受けっていい!と目覚めたのですが、世間には「枯れオヤジ受け」は多いけど「脂オヤジ受け」ってあまりいないのですよね。岡田屋さんの「千夜一夜」の主人公のイメージが一番近いかな?求む、非枯れオヤジ受け!

Vassalord. 1 (BLADE COMICS)Vassalord. 1 (BLADE COMICS)
(2006/03/10)
黒乃 奈々絵

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こんばんは!

>mさん♪

コメントありがとうございます!こちらこそ細々としたスミッコブログですが宜しくお願い致します!あっ、私なんぞに様は不要ですのでどうぞお気軽に~

唐突ですが、mさんのお返事コメントを読んで私は本当に「野暮」だなと。野暮も野暮、野暮天もいいところだとうな垂れました。「間」にあることの答えについて「償い」というのは当然で、その先にもう一歩踏み込めなかったことを今更ながら残念に思います。仰るように、本当に「生」への讃歌で満ち溢れた作品でしたね。罪の重さも罰の重さも、世間一般の常識からすれば比べようもなく三沢の方が重い。でも、抱えている持ち物がある事実に変わりはなくて、各々が各々の「償い=生」をどう選択するかを描いている。お金で物事を解決することへの抵抗も含めて、それでも生きる希望に繋がるのならばいいじゃないかと思わされる。
そして、重要なのはやはり誰も高島を「まだ」許していないところですよね。三沢と高島の物語は始まったばかりだけど、同時に高島と妻子の物語だって終わることなく続いている。三沢と鍵の人物の人生がいつまでも重なり続けるように。償いは対象があってこその生なのですよね。
冒頭の冷え冷えとした食卓風景がいつまでも心に残り続けるのは、そして高島が妻に対してとことんクズな奴なのには、きちんとラストまでの影響を考えてのことだったのだと伝わりました。

mさんがまさかvassaを未読だとは!!もったいない!もったいないです~
私のヒゲオヤジ受けの理想のすべてが詰まっている彼は、本っ当に素晴らしいオヤジ受けです。ドラマCDほぼノータッチの私がCD付き限定版まで手を出してしまう程に(笑)!ぜひぜひ手に取ってみてください。内容は・・・まぁ、あそこらへんのレーベルらしい感じのソレといいますか(もごもご)。でもでも、絶対に楽しめると思います!「ピースメーカー」よりも断然オススメします!連載続いていますし。

長くなってしまいました。それではまた~



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