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「ミスター・ロマンチストの恋」砂原糖子

ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫)ミスター・ロマンチストの恋 (幻冬舎ルチル文庫)
(2008/10/15)
砂原 糖子

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高校三年の千野純直は、成績優秀な生徒会長でテニス部のエース。本当は内気な性格なのだがクールで渋いと女の子に大人気。そんな千野は密かに二年の有坂和志に恋している。有坂を一目見ることが楽しみな千野は、外見はかっこいいのに心は夢見る乙女。有坂もまた千野の不器用さに気付き、惹かれ始め…!?商業誌未発表作品、書き下ろし短編を収録。

重めの作品&感想が続いたので、ちょっと気分を入れ替えて軽めの甘めのものが読みたいわ~なんて思っていたら、運よく本棚から未読のこちらの小説が出てきました。乙女男子(外見は男前)受けということで、ラブコメテイストを大いに期待して読み始めたのですが、蓋を開けてみるとそうでもなかったような。自分に自信がないヒロインが王子様とのハッピーエンドを遂げるわかりやすい話ではあるのですが、その自信のなさと外見内面のギャップに焦点を当てたお話でした。

乙メンはなぜ乙メンになったのか。
三つ子として生を受けた千野には愛らしい外見を持った2人の姉がいた。女の子2人と男の子1人。両親の気持ちの比重は自然と姉2人に向けられていた。これ、すごくよくわかります。別に女の子の方が可愛いと差別をしているわけではなくて、「女の子2人は平等に可愛がらなくてはいけない」という気持ちが強く働くのですよね。子供3人に両親は2人。両親の腕はいつも姉2人のものだったという千野の独白は切ない。彼が過剰にロマンチストになっていったのは、自分に向けられない愛情を求めていたからでもあったわけで。女の子になりたいわけではないけれど、でも、女の子になって姉達のように可愛がられたかったという千野の心理には非常に共感しました。
「可愛い」を排除されれば求めるし、押しつけられれば避けるようになる。
これは何も男の子に限ったわけではなくて、女の子にも同様に云えること。
余談ですが、小さい頃になぜ赤やピンクの服を着なければいけないのか一度ならず疑問に思ったことのある私は、思春期の頃にはすっかり可愛いものを寄せ付けない人間になっていました(今も若干その名残があります)。親友の朋巳が「可愛らしい小動物系美少年、でも乱暴者」という対比も分り易くてよかったですね。千野はあまりにウジウジしたヒロインで、途中一皮剥けたりするのかしらと思ったらそこまで強くなることもなく、あくまで乙女でしたが、でも彼にとっては好きな人に気持ちを伝えることが出来ただけでも大きな成長だったのですよね。千野が高校生の劣等感や自身の無さからくる自意識過剰をよく表現していた半面、有坂は高校生にしては少々出来過ぎのきらいがありましたが(主に人格面で)、ジンクスを信じる乙女で古風な子がタイプだったというあたり、似合いのカップルといった感じで微笑ましかったです。

あれれ、読みながらゴロゴロ転げまわるぐらい可愛い話だったのに、感想に書くと全然伝わらないのは何でだろう?普段あまり「高校生物」を読まないのですが、それは以前も書いたけど「永遠が見えないから」なのですよ。何を恥ずかしいこと云ってるんだって感じですが、本当に。でも、「ミスター・ロマンチストの恋」を読んで、改めて「高校生物」っていいなと思いました。何もかもが初めて尽くしの彼らには、その時の彼らにしかない必死さがあって、人を好きになるときに感じる様々な感情が最強に詰まっている。恋をするということは、喜びだけではなくて、悲しみや恐怖といった負の感情とも無縁ではない。でもそれを上回る喜びに満ちている。そんなことを思い出させてくれる素敵な話でした。

***

さて。
今この時期に「高校生物」を読んだら以下の話題に触れないわけにはいけません。
東京都が規制をしようとしている「非実在青少年」について関連サイトのリンク(時間がないので一か所です。スミマセン)と、思う事を書いています。基本的に頭の悪い人間なので認識の誤り等々あるかもしれません。詳しくはサイトをご覧くださいませ。

***

サイト:「非実在青少年」規制問題・対策まとめ 


高校生物を好んで読まず、幼女少年が凌辱されている類の漫画に嫌悪感を感じる人というのは多いと思う。かくいう私だって、男性向けエロ漫画の表現の過激さには怒りを覚えることもある(そこはBL読んでいる負い目のようなものがあるから声高には批判出来ないけど)。だからといって、そういった性描写がある創作物を、一定の基準(18歳未満と判断される青少年=「非実在青少年」だ)を設けて一律に排除するというのは、大変に危険で許し難い行為であると思うのだ。だって、「健全」「不健全」の線引というのは限りなく曖昧で、特定の誰かによって著しく変わるものだということはちょっと考えればわかること。例えば、まさか役所の人間が「残酷な神が支配する」(漫画賞も受賞している)を「不健全」だと判断することはないだろうと私が思っても、誰かにとって「アウト」だと云われてしまえばそれまでなわけで。そして、目下の私が一番心配するところのBLの性描写表現が、「健全」「不健全」の判断を個別になされる前に一律に「BLで18歳未満→アウト」になってしまうことは想像に難くない。その内容が審議の土台に上がることすらないのではないだろうか。もちろんある程度の「規制」を設けた方がよい類の本だってあると思う。でもそれは、購入者の年齢確認だとか(本屋として無茶云ってんなーとも思うけど)、これまでのように個別に注意指導をすれば済む話だと思うのだ。話はそれるけど、只でさえ不況の出版書店業界に、これ以上不穏な風を巻き起こさないでくれという気持ちもある。今この現状で表現物に規制を設けることで、経済的に誰が得をするというのか。
また、性描写の排除が健全な青少年を育成すると本気で考えている人間がいたとしたら、肩を揺すぶって「正気か?!」と問いたいぐらいだし、抑圧された欲望の方が余程「不健全」であると思うのだけど、そうは思わない人というのは多いらしい。児童ポルノの単純所持が罰せられるのは、そこに三次元の「被害者」が存在するからであって、二次元の人物達を規制することで守ろうとしているのは「読み手側の健全さ」なのだ。それは、なんというか、違うだろう。青少年が性的な物に触れ、「良い」「悪い」を自己判断する機会すら奪う事は、よく考えなくてもとても恐ろしいことだと思うのだ。すごく抽象的な正論になってしまうけど、「悪いこと」を実感する機会を奪われたら「良いこと」だって感じることは出来なくなると思うのだ。「こんな現実も世の中にはある。でも、僕は私はこれを良しとは思わない」そうやって学ぶ機会を与える役割の一端を「創作物」は確かに担っている筈なのだ。それを一部の人間が「これは悪いものだから見せません」と勝手に決めてしまうことの恐ろしさ。そうやって大人になる子供が「健全」だなんてどうして思えるのか。表現の自由が侵されることを一度受け入れてしまえば、更に更に不自由なことが絶対に起こる。オタクや漫画好き周辺でしかあまり話題になっていないような印象を受ける今回の話だけど、誰にとっても決して他人事ではないのだ。


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あれれ

>Iちゃん♪

「ミスロマ」って云わないの!?これ、公式(って何だろう…)だと思って堂々と使っていましたよ。は、恥ずかしい~。
後半の雑記に気持ちを取られてしまい、すっごく面白可愛かったのに思うように書けなかったのが悔やまれます。乙メン千野には若干イライラしたのだけど、朋巳がいい味出していて笑いました。最近順調に砂原さんが増えているので、まだまだ手を出すつもり♪

私の意見も多くの人たちの意見を読んでいるうちに整理されていったものです。最初は「BLエロが読めなくなるなんてイヤ!」から始まったのだけど、考えてみれば様々な危機的問題を孕んだ規制法案なのですよね。都民じゃなくても関係なし、意見書を送ろうと思っています!!

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