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「狂ひもえせず」まんだ林檎

狂ひもえせず (バンブー・コミックス 麗人セレクション)狂ひもえせず (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
(2003/07/26)
まんだ 林檎

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すき。愛してる。恋。
……ああ、そうじゃない。僕らを駆り立て追いつめるのは、
心よりも肉体、邂逅よりも血…
そう、本能であり宿命なんだ―――。


ずっと探していたまんだ林檎先生の作品集(現在絶版)。昨年「LOVE SONG」でその魅力に気が付いたものの、ショタからギャグに男女物と作風の幅が広いのは知っていた。感動を生み出す人は同時に狂気(虚無?上手い言葉が見つからない)も生み出すことが出来るのだ。これは徹底的に「愛」が不在の作品集。その代りこの中には「人間」が居る。愛などなくても人は欲情を覚えるし、存外この世はそんな関係性未満の空虚さで出来ているのかもしれないと思ってしまった。


「狂ひもえせず」
表題作は画家と双子のトライアングル。
女が愛した男は誰だったのか、男が愛した女は誰だったのか。
三者三様に残酷な片思い劇。
ただ一人狂うことを許されなかった画家の目に写るのは、孤独と云う名の絶望でしょうね。
中也の詩が効果的。

「ソラリゼーション」
solarization(写真用語)―写真感光材料に過度の露光を与えた時、適正露光の場合と明暗が逆になる現象。反転。
美術教師×陸上部員。
走れなくなった少年は走行の快楽をセックスの快楽に置き換える。
教師が愛の不在を嘆いたとしても時は既に遅く、彼らの間に横たわるのは身体の関係のみである。
「高階君は走る時どんな感じがするの?」
「気持ちいいの はじめは苦しいんだけど だんだん頭の中が真っ白になって 耳鳴りと自分の息と空だけが ぼくの世界になるんだ」
関係を間違えてしまった大人(攻め)が後悔する図というのが、私は好き。
遅いんだよ馬鹿野郎とほくそ笑みたくなる。

「AFTER 16」
16年の時を経て再会した同級生二人。
主人公は再会相手が自分のことを慕っていたことをタイムカプセルによって知り、関係を仕掛ける。
そうそう、私が「再会物」を読むときにたまに感じる違和感はこれなのよ!!
人は変わる。性格や容姿だけではなく置かれている環境によって周囲の評価や価値も大きく変わるもの。過去に盲目的に好きだった相手と再会したからといって、相手と自分に変化と誤差が生じないなんて、そんな可能性の方が限りなく低いと思うのだ。これはそんな視点に真っ向から答えてくれた残酷な話。昔と現在、愛は互いに一方通行。またも不在である。

「僕らは快楽に貪欲です。おそらくは愛よりも恋よりも」
この作品集の裏テーマそのものと云っても過言ではないと思うタイトル。
アナルセックスに興味を抱いた主人公がホモだと噂のクラスメイトにセックスを仕掛ける。
受け側にまわる彼(なにせ興味はアナルセックスなので)は自分が同性愛者ではないことを自覚しているし、ホモのクラスメイトもそんな彼のことをわかっている。快楽が先に立ったとしても気持ちは後から付いてくる(こともある)という性愛ドリームを見事木っ端微塵にしてくれる話。教室でのとち狂った告白とキスから、僅かに「愛やら恋やら」の片鱗も覗かせるけど、私はこの二人の間にあるものはタイトル通りなのではないかなと思う。一番のお気に入り♪

「痴漢電車」
「晴れた日には黒い傘を持って」が痴漢OKの符牒という、現実にも起こり得そうな集団セックスを淡々と描写した作品。男性向けエロ雑誌を読むと、男でも女でもそういった願望(他人の欲望にモノのように扱われたい)を持つ人は意外に多いのだとわかる。うん、本当にそれだけの話なのだけど、欲望に忠実な人間というのは理解の範疇を超えると怖ろしく感じるというのがわかった。何もかも望んで堕ちていくサラリーマンが、結構怖い。

「ケツメイト」
ギャグである。
国枝さんの不細工よろしく、シリアス作品のオアシス的存在(?)
え~と、ハゲデブのリストラ中年オヤジが自殺を試みようとしたところを、真性サドホモの美青年に拾われてM奴隷調教を受けつつ生きる希望を取り戻す話である(笑)たぶん、一番「愛」がある、かな・・・。続編になっている描き下ろし「まぼろしの村」もつい笑ってしまった!ギャグが描ける人はやっぱりなんでも描けるのだ~。


絶版本ということで入手は難しいかもしれないけど、ネット配信などで読む手段はあります。
とっても読む人を選ぶだろうし、「愛がない」は大袈裟でもなんでもない感想です。でも、読んでいて爽快感すらあったのでこういう作品は自分の性に合っているのよね。漂う文学臭といい、心の底から楽しめました!(なにせ私もエセ文学少女ですから)
まんだ先生、最近は男女物の方が多い印象ですがまたBLを描いて欲しいなぁ。2作品読んで思うのは、まんだ先生は短編が本当にお上手!明治さんやヤマシタさんも短編が上手だと思うのですが、良い意味で「続きが気にならない」というのが共通点かなと。絵柄は今も同様にちょっとした「泥臭さ」や「ダサさ」「湿っぽさ」があるのだけど、それが隠微な雰囲気を醸し出していて合うのよね。

良い本を読みました♪



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