「MOON DIVE」神江真凪

MOON DIVE ムーン ダイブ (二見シャレード文庫 か 6-4)MOON DIVE ムーン ダイブ (二見シャレード文庫 か 6-4)
(2009/05/22)
神江 真凪

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まるで、本当に恋をしているようだ―人魚の息子として生まれ、満月の夜に女の体になってしまう秘密を抱える司波。人並み外れて優れた容姿と優等生の仮面で他人を欺き、それを誰にも悟らせずに生きてきた―ただ一人、高校時代の同級生・榊淳行を除いては…。ある夜、榊と再会した司波は、女の姿で彼の気を惹くゲームを思いつく。だが榊が男しか愛せないと知るや、自分でも制御不能な欲望に突き動かされ、彼を無理やり抱いてしまい…。

今月はブログを書きたい熱が高まっていましてですね、とりあえず読んだ本は短くても感想を残してみようかなーと思っています(読書メーターは1日で脱落したダメ人間)。以前から気になっていたこちらの作品。攻めが「人魚」という設定だけは知っていたのですが、先日機会があり手に取りました。神江さんは初読み。余談ですが読み始めた日に同著者の「満天星」をおススメされてちょっと御縁を感じております。そして書き始めたら長くなりました…はは。

冒頭から「なぜ人魚?」という疑問が常に付き纏う話ではあった。後書によると「女装攻め」という設定を生み出す為に生まれたのが人魚だったということで、それはそれで面白い観点だし、異世界ファンタジーが苦手な私でも現実を舞台にしたファンタジック設定は楽しめる。ただ、司波のお世辞にも良いとは云えない、悪い、悪すぎると云っても過言ではない性格の理由が「=人魚だから」という描かれ方をされていなかったので気になってしまった。同族ではないから(人間が嫌いだから)、男も女も遊んでポイ捨てしても罪悪感の欠片も無しというなら頷けなくはないのだが……人間の男を手玉に取って暇つぶしする様は、単なる性格悪い奴。いつか痛い目見るだろうなと思っていたら、終盤で女の子に仕返しされるわけだけど。う~ん、これなら優等生で外面が良くて他人のこと見下している子金持ちのエリート坊ちゃん(でも女装癖有)で十分だったのでは?と思いつつ読んでしまった。その点では諸々残念な話ではあったのだが、それでも主張したいのは、前半の面白さと受けの榊が私好みのツンデレだったということなのよ!

イジメッコ×ツンデレという、コミュニケーションの取り方が下手くそ同士の恋愛話としては、そこそこ面白かったと思うのだ。榊が大変好みの受けだったことでちょっと甘めの意見かもしれないが、本当にそう思う。司波は榊のことを繰り返し「懐かない野良猫」と表しているが、警戒心だらけで容易に心を開かず、口を開けば出てくるのは毒舌ばかり。性癖を理由に家族と揉めて家を出る以前から学歴コンプレックスがあり鬱屈したものを抱えている。そして喧嘩っ早い。えーと、可愛い!!としか云えない私の好みは置いておいて(あれ?ダメかな?)、とにかく榊はそんな男です。
二人の接点は高校時代の同級生だから「再会物」でもあるわけで、高校時代から外面のいい優等生をやっていた司波の本性を指摘したのが、他ならぬ榊だったのですね。誰も気が付くことのなかった本性を言い当てられたことを不快に思っていた司波は、偶然再会した榊を女体化して遊んで捨てようと思いつき画策を巡らす。ほら、ここでも司波の重要事項って「性格を言い当てられたこと」なんだよね。人魚は関係ないの。う~ん、残念…。一度も会話を交わしたことがなかった榊がなぜ一度の接触で司波に暴言を吐いたのか。最初は何も匂わせないどころか、本当に迷惑がっていそうな榊の本音がだんだん見えてくる様は読んでいて楽しめた。まさに野良猫が餌付けをされて徐々に懐柔されていく感じ。

作者が書きたかったと云っていた「女装攻め」の描写だが、やっぱりここでも引っ掛かるのは司波なんだよね。ムリヤリ抱いてしまったというけれど、この男、本当にムリヤリ抱くんだよ。そんな話BLでは溢れているが、司波は「恋やら愛やら」をはっきりとは自覚していない状態で、ほぼ興味本位で酔った榊を抱くのよね。それまでが会話と食事とメールだけで成り立つ割とセンチ系の雰囲気だったので、読んでいる私の覚悟も出来ていなかった。榊側には気持ちがあったから良かったものの、それすらも司波は知らない状態で抱くわけだから、本気で失礼千万な奴だと思うよ。公園での不測のカミングアウトや元彼らしき男の下劣さも、榊の可哀相さを引き立てていて良かったのだけどなぁ。野良猫榊のことだから、これはいくらなんでもアウトだろうと思ったらなぜかそのまま甘めの監禁話になってしまって、この時点で「人魚設定は…」と考えるのをやめました(笑)。榊は言葉が足りない男だから、司波は決定的な言葉を本人から聞くまで榊の恋情に気が付かないんだよね。それでようやく「榊の恋を自分が踏みにじっていた」となるわけだ。
好きだからすべてを許していた榊の純情に司波は甘え過ぎだ!と憤りすら覚えるようなラストなのだが、ここでやっと「人魚だから仕方ないのよ」と云う免罪符として彼を認める気持ちになりました。榊よ、私は親友の山川君の方がいいと思うぞ。

重ねて云うけど、あまりにも榊が好みの受けだったので物語への期待も大きくなってしまったのだと思う。
とまあ辛目な感想を抱いた今作ですが、神江さんの文体や雰囲気はむしろ好きです。他の作品に期待!


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