久しぶりに…

魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)魔王 1―JUVENILE REMIX (少年サンデーコミックス)
(2007/11/16)
伊坂 幸太郎

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全10巻。原作は伊坂幸太郎の同名小説(未読)
物語に徹底して流れているのは“自分で考えろ”というメッセージだ。

普通の高校生の安藤には幼い頃から人とは違う能力があった。彼の住む街では開発屋と熾烈な抗争を繰り広げる「グラスホッパー」という自警団が存在した。ある日偶然にも安藤はリーダーの犬養と接触することになる。市民を扇動し自らの信念とする計画を実行に移す為には手段を選ばない犬養。安藤はそんな彼のやり方に疑問を感じ、深入りしていくことになる―

熱しやすく冷めやすい、流されやすく責任転嫁ばかりの諸々の社会情勢に加担している一国民としての自覚がある身としては、なかなかに耳に痛いメッセージだった。これが新興宗教や不良グループの諍いといった規模の小さな話ならまだしも、国作りにまで視野を定めている犬養の存在を私は終始悪とも善とも決めることは出来なかった。対する安藤兄弟の戦い方やラストだって非常に曖昧で示唆的だ。何も終わってはいない。でも当たり前だ。私たちが生きて思考する限り、何かの“終わり”など訪れはしないのだから。私が考える「少年漫画らしさ」とは程遠い話だった。それは主人公の信念の向う先がわからないからかもしれない。現状を打破することだけに必死で先が見えていない彼の1章での退席は必然だろう。では終幕は?もう一人の“彼”が下した一撃の後に一体何が変わるというのだろう。それはわからない。ただ、群衆に一瞬のブランクを与えたことに意味があるのだろう。
サンデー連載中に何度か読んでいたのだが、まさかこんなに面白いとは予想だにしていなかった。主人公の敵が「悪」ではないという構造。ピカレスクロマンでもなく、とても小さな存在として主人公を描いていること。彼らにある「小さな力」は彼らを「異端」とするけれど、そこから逃げるも向き合うも自由なのだ。「死んでるように生きたくない」という言葉によって生きることを選んだ彼らの壮絶な戦いの行方を息付く暇もなく一気に堪能した。面白かった!

Waltz 1 (少年サンデーコミックス)Waltz 1 (少年サンデーコミックス)
(2010/03/12)
伊坂 幸太郎

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Waltz 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)Waltz 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2010/07/12)
伊坂 幸太郎大須賀 めぐみ

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さて、なんで突然完結した少年漫画を読んだかと云うと理由はこちら!
現在ゲッサンで連載中の「Waltz」を読んだからなのだ。「魔王」では殺し屋として活躍をしていた“蝉”と呼ばれる青年と、彼の雇用主である“岩西”の出会いの物語。これがなんというか、ピンポイントで私の萌えにヒットしてしまったのだ!久々の二次萌えである(ちなみに合田シリーズはカウントされません)。「魔王」でも不思議なくらい岩西への依存度をチラつかせていた蝉。個性的な殺し屋が多く登場する話だったが、蝉に焦点が当てられたのも頷ける。なんというか、本当に二人の関係がヤオイ的で魅力的なのだ(笑)支配されていないと云いながら絶対に岩西からもらった携帯を手離さないあたりとか、依頼に失敗して岩西に切り捨てられると思った蝉の不安定さとか、狙っているとしか思えないよ…。
「Waltz」では孤独な不良殺し屋である少年が狡賢い大人に見出される過程を描いているのだが、「魔王」を知っているから安心して読むことが出来る。過酷な家庭環境に育ち人の命の重さがわからない少年は、流されるままに人を殺して生きている。定住もせず漫喫に寝泊りをし僅かな金の為に理由もわからず人を殺す。そしてある時気が付くのだ。もう長い間名前を呼ばれていないことに。誰も呼ばない名前。誰にも認識されていない自分。彼は自分が生きているのか死んでいるのかと自問自答する。評判最悪の殺し屋少年を岩西は「捨て駒」として活用しようと接触するのだが、初めて自分に熱心にかまう大人の存在に、出会った瞬間から少年の心は捕われている。そして、ミンミンと蝉のように五月蠅く喋るので「蝉」と名付けられる。その場面の絵なんてもう、どこのラブストーリーだよ!という感じ(違う)
兎にも角にも蝉が超可愛いのだ。ゴロゴロしてしまう。ツンツンしながらも必死で岩西の期待に応えようとする姿なんて本当にキュンキュンだ。なんというツンデレ!あっという間に夢中になってしまった。1巻と2巻の表紙を見比べると、彼の目つきが格段に和らいでいるのがよくわかる。ゴスチックな服装も見ていて楽しいし、大須賀めぐみさんは「魔王」がデビュー作だそうだが、表紙のオモチャ箱をぶちまけたような細かい描き込みといい、場面の見せ方といい、とても上手いと思う。それはスピン元の「魔王」でも強く感じたことだ。力がある。
どちらから読んでも大丈夫だと思うが、「Waltz」を読めば「魔王」を読みたくなるのは必至なので順番通りに「魔王」から読むことをオススメします。殺し屋達のピカレスクロマンである(と思う)肝心の「Waltz」本編もとても面白いので続きが楽しみ♪


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>mさん

お久しぶりです!
拍手&コメントありがとうございます~。

私は伊坂作品は「チルドレン」までの初期の初期読者でございます。だから未だに「重力ピエロ」が一番だという…。手を出さなくなった理由は大したことないので省略しますが、久々に「魔王」を読んでいる最中です。まだ序盤なのでなんとも云えないのですが、コミックはまったくの別物として十分に楽しめると思います。「JR」の名の通り主人公は高校生ですし、少年漫画的な見せ場と異質なメッセージが混在した魅力的な作品だと思います!しんどい部分も確かに多いのですが読んでみてください!

「Waltz」は萌えを抜きにしても面白いです!いや、でもあんな描かれ方をされて腐読みをするなというのも無茶な話なのですが。蝉の可愛さにハァハァ云っております。
「グラスホッパー」にも出ているのですね、それは読まなくては!伊坂さん、もう追いつくことはないのかもしれません…。ベストはこれ!というのがあれば是非教えてくださいませ。

ではでは。



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