先々月に続いて草間さんの新刊が読めるなんて嬉しい限り。
舞台は終戦直後。昭和の闇が猥雑な空気を助長していてとてもよい。実は勝手に「ニア系だろう」と決めつけていたので読んでみて驚いた。草間さんの近作の中でも格段に色っぽい話だったから。でもそれが過剰ではないのは選ばれた季節が冬だからかな、どこか静謐な雰囲気も漂っている。恋文によって人生を狂わされた4人の男達の物語だ。先月の『地下鉄の犬』でも書いたように今作は草間さんの作品の中でも際立ってアイテム萌えの作品のように思う。時代や人物の設定と、何よりも登場人物たちを結びつける「恋文」の使われ方。それらすべてが相俟って大変好みの作品だった。
「マッチ売り」マッチと一緒に春を売る若い社長と学生の話。大勢に抱かれなければ達しないという厄介な性癖を抱えた社長のトラウマともいえる経験の重要アイテムと、純朴で鈍感な学生の持つ一通の不完全な手紙が「恋文」なわけだ。好きで立ちんぼのような真似をする社長の色気が素敵。恋愛感情はどこにある?と問われれば、草間さんらしい作品だと答える感じではあるのだが、それにしてもこの雰囲気はいい。
「やぎさん郵便」社長に想いを寄せる秘書と、学生に想いを寄せる友人の男の話。こちらでは男が学生に宛てた恋文を盾に男を半ば恐喝して身体を手に入れてしまう秘書となし崩しに抱かれて怯える男の姿が描かれる。私にしては珍しくインテリ眼鏡の秘書がツボだった!社長も秘書も節操がないといえばないのだが、でもどこかで純粋な気持ちも持っているのだよね。それを社長は学生と出会うことで一人の人間と抱き合う喜びに目覚める。それを間近で見ていた秘書の苛立ちがいい。眼鏡が不憫なのって楽しいわ(そんな結論?)秘書に情のようなものが芽生えかけたところで以下続刊である。
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感想は短めに突然ですが近況報告。
仕事の繁忙明けてから先、漫画ばかり読んでいます。
まとめて感想を書こうと思っていたのだけど、いっぱい読むとどうも書きたい気持ちがあっても「溢れない」のよね。1冊1冊の本を大事にしたいのになぁと思うのに大量に消費してしまう。ちょっと悲しいことだ。
いっぱい読んだ中でも一番のヒットはこちら!
続きものということで完結まで待つつもりが、お友達のプッシュに背中を押されて読んでみたらもの凄くキュンキュンした!ヒコさんはいつも数回読んでから萌える傾向にあるのだけど、これは一発できた。2巻は12月に発売とのことなので完結したら感想を書きたい。我慢する年下がこんなに可愛いなんて!キュンキュン。
それにしても、あまりにもBL小説が読めなくてどうしてしまったのかしらとグルグルしている。
そんな中でも楽しみなのは『世界の果てで待っていて』(高遠琉加)の待望を続編だ。果たして完結するのか、二人のニア未満な関係はどうなるのか。新しい挿絵は雪舟さんの雰囲気とは真逆のスタイリッシュな方の茶屋町さん。センシティブな側面が強い作品だと思っているのだが、ハードボイルドな色も強まっていたりするのだろうか?もうすぐ発売である。
今読んでいるのはノベルスになったこちらの作品。
森博嗣版『トーマの心臓』はまず舞台に驚愕した。森さんの既刊作品は実は得意ではないのだけど、文章の美しさは以前から好きだった。まだ中盤なのだが読了したら感想を書きたいと思う。
ここ数日で思ったのだけど、やっぱり私は本を読んで本のことを考えていないとダメな人間なんだよね。別に誰に必要とされているわけでもないし自己満足でしかないのだけど、大袈裟に云ってしまえば生きている感じがしない。心が死んでいくみたい。妙齢の女としてもっと他に考えなくてはいけないアレコレがありませんか…?という言葉は聞こえないふりで(笑)だから心の平穏の為にも、いっぱい読んでいっぱい考えて出来ればいっぱい吐き出したい、な。
そんな感じで日々過ごしておりますなんて云うとちょっと暗めですが、大丈夫です。全然元気で健康です。
最後にいつも覗きに来て下さる方拍手を下さる方、どうもありがとうございます!