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「フェティッシュ」日野ガラス

フェティッシュ (ビーボーイコミックス)フェティッシュ (ビーボーイコミックス)
(2011/01/08)
日野 ガラス

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教室の後ろの席から、ずっと見ていた。どうしても、お前のその髪に触れてみたい―!同級生の薫を密かに思い続けるツカサは、頭の中で何度も薫を犯すうちに、暗い欲望をエスカレートさせ…?狂おしい激情が爆発する表題作「フェティッシュ」を始め、貴方の心を必ず少し傷つける、ガラスのように危うく美しい読みきり集、描きおろし付!

初読み作家さん。
このところ満足のいく読書が出来ておらず(時間的にではなくて気分的に)モヤモヤしていたところ、こちらの本を店頭で見かけ「リブレか~」と思いつつ表紙買い。そうしたら大変私の好みでビックリしました。久しぶりにエロをガッツリ描いてあるBLを読んだということもあり、やたらドキドキしましたよ!大好きです。

「フェティッシュ」
表題作。裏表紙のあらすじを読んだ時は不穏な予感(好きが募って無理矢理―)がしたのだが、蓋を開けてみれば抑制された展開に意表を突かれ、感動すらしてしまった。主人公のツカサは、自分には無い美しい黒髪の持ち主である薫に恋をしている。親しい友人の顔をした裏で、それは手酷く薫を犯す妄想をする。妄想だけなら人は皆犯罪者、とは誰の言葉だったか、私はツカサの優しさなんて微塵もない妄想と欲望にとても…共感したのだ。「酷い妄想」を子細に描くことで、その切羽詰まった欲望が哀しいぐらい浮かび上がってくる。ツカサは健全な男子高校生ではないのだろうか?ヘンタイなのだろうか?そんなことは決してないんだよね。だってこれは妄想なのだから。この話の素晴らしいところは、そんなツカサが現実で薫に対して取った行動のささやかさによるのだ。妄想と現実。その中で生きる自分も薫もまったくの別物だと彼はちゃんと理解している。教室で恐る恐る抱きしめ合い、互いの髪を撫でる彼らの可愛いことといったらない。妄想と現実の乖離を描く話は多いけど、この話は現実の彼らがその後恋人になったかどうかすらわからない。私はこの二人がまとまるのは相当に先のような気がしている。そのくらい、現実のツカサは臆病な少年なのだ。「フェティッシュ」と名付けられているぐらいなので、キーは「髪」なのだが、二人のエピローグとプロローグで似たもの同士の様子が描かれていてにまにましてしまった。

「ワン・マイ・スター」
収録作中一番好き。幼馴染で元親友同士の二人の話。明るいとは言えない家庭環境に育った翔にとって、優しくて頼りがいのある慶志は「暗闇に唯一輝く星の様」だった。だがその関係は慶志に「ホモだ」という噂が立ち一変してしまった。いや、もしかしたら描かれないだけでそれ以前から彼らの関係は形を変えつつあったのかもしれない。翔の背が慶志を追い抜き、その骨組みを「頼りない」と翔が感じるようになった頃から。クラスメートの悪質な嫌がらせに翔は積極的にではないにせよ加担をしてしまう。翔の中ではいつしか慶志は欲望の対象になっていて、嫌がらせを受ける慶志を心配するのだが保身の為に何もすることは出来ない。そして、関係を揶揄された翔は「キモチワルイ」と最低の一言を発してしまう。そして、慶志が男に抱かれていた事実に混乱した翔は慶志に詰め寄るのだが、そこからの展開に息をするのも忘れるぐらい、入り込んでしまった。心臓がぎゅうっとなったよ。日野さんの魅力の一つは「言葉」にある。それを確認したのが足を舐めろと云われた翔の、「キラキラした恋なんてどっかに落ちてんのかなぁ」というモノローグだ。二人の間にあるのは「恋」のようなものなのに、それはあまりにも明るさからは遠い。昔、翔にとって「星の様」と感じたはずの慶志なのに。時折挟まれる幼い彼らの姿と相俟って壮絶に切ない。翔のことを酷い奴だと罵る慶志は、泣きながら「でも俺はホモだから ずっと一生お前に縛られ続けんだろうな…」と云う。その言葉に、昔慶志が翔に云った「ずっと一緒にいるよ」という言葉が重なるのだ。何気ない台詞の対比なのだけど、日野さんは上手い。月並みな表現だけど、言葉がキラキラしている。そしてラスト、このシチュエーションが個人的なツボ過ぎた為に一番好きなのです。私は「名前を呼ぶ」という行為に弱いんだよ…。短い話なのに素晴らしくまとまっていた。後書を読んで驚嘆したのだが、私はこの話はこれ以上ないぐらいのハッピーエンドだと思いますよ!大好き。

「とらわれびと」
箱の中での再会物。収録作中一番ファンタジックで安心して読めた話―と思ったけどそれは描き下ろしの「旅立ちの日」」を読んだから思うことなのだ。同じ児童養護施設で育った村瀬と優。村瀬はヤクザ稼業、優は性的虐待を加え続ける園長に対しての傷害による服役だった。初め村瀬は優を昔守りたかった「少女」だとは気が付かずに抱くのだが、優は村瀬の名前を知ったときから気が付いていた。それでも自分からは何も伝えずに、ただ嬉しそうに笑うのだ。村瀬は自分の生を自嘲している。早く終わらせればいいと思い続けている。そんな自分の姿勢が、再会した優の「希望」になっていなかったことを優の自殺未遂によって思い知った村瀬は生きる決心をするのだ。そして幼いころに果たせなかった約束を果たすのだ。オマケも含めてとても幸せな話。逃避行に暗さはつきものだと思っているが、彼らにはどうか明るく楽しく生きて欲しい。

「Beautiful Days」
著者の商業デビュー作。日野さんは頁数の短さを全然感じさせない人だな。本当に上手い。
「美しいものが好き」と断言するフリーデザイナーの真理と、サラリーマンの怜央は同棲中の恋人同士だ。生活時間帯も収入も不規則不安定な真理の身勝手さに辟易しながらも怜央は真理と離れることは出来ない。グダグダな恋人達の関係を描いただけともいえる話なのだが、なんとも魅力的なのだ。怜央は真理の甘えを許容している。そしてそのことを真理がズルイぐらいよくわかっている。女の話をした怜央(ちうか、云いだしたのは真理だ)を手酷く抱いた後でポツリと「お前キレーなのにね 俺意外の人間皆優しいだろ」と云うのだが、このダメっぷりになぜかキュンとなってしまった(笑)ちょっと共依存っぽくもあるのだが、甘々な二人の話でした。

「フォトグラフ」
美しいものが好きだと云う真理の「世界」の話。彼の世界の「美しいもの」が何かという話。そんなことはわかりきっているのだが、改めて示されるとこれ以上ない「武器」の強さにまいってしまうね。真理の才能が好きだと云う怜央に、その才能を結束させた「世界」を見せる真理。真理の世界の一番美しいものがずっと彼の傍にあるといい。



久々にガッツリBL漫画の感想を書いた気がします。楽しかった!
私はバレバレだと思いますが暗めの話が好きなので、明るくない人たちのどうしようもない感情に溢れた日野さんの作風はハマります。どこかで見たような関係性の話でも、必ずハッとするような言葉があっていい。どんな本を読んで生きてきたのか知りたくなったぐらいです。今後も要チェック。もう1冊出ているようなので早急に入手します。

良い本を読みました♪



***
***

感想では多少濁しましたがエロがこれまたいいんだ。
二次作家さんかな?と検索してみて驚いた(最近は新しい作家さんを知るとHPを探す前に何の二次かな?と考える癖がついてしまいました。そのぐらい、二次出身の方が多いので)。意外に骨太なジャンルだったのですね。ほほ~。


<今読んでいる本>
切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話
(2010/10/21)
佐々木 中

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ちまちまと読んでいますが、一文字でも飛ばしたら迷子になってしまいそうな文章に難航中です。
でも、その思想はとてもシンプルで浪漫がある。本を愛する身には心強い本ですね。

<最近のお出かけ>
弥生美術館・竹久夢二美術館に行ってきました。
「百花繚乱!挿絵の黄金時代展」です。3/27まで開催中とのこと。


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