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「遠くにいる人」ひのもとうみ

遠くにいる人 (ショコラ文庫)遠くにいる人 (ショコラ文庫)
(2011/04/09)
ひのもと うみ

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家具工場に勤める佐倉治樹は、本社から移動してきた上司の小田島達朗に恋をした。彼の素行の悪さを知る治樹の幼馴染は、小田島だけは止めておけと何度も言うが、地味な治樹にとって華やかな小田島は憧れずにはいられない存在だった。そして小田島はなぜか事あるごとに治樹をかまい、特別な優しさを向けてくる。期待してはいけないと思いつつ、治樹はその幸せを受け入れはじめるのだが…。

久しぶりに感想を書こうとしたら書き方を忘れてしまったよ。
しかし決まった書き方などあったわけでもないので見切り発車でいきたいと思います。
*後日加筆修正しました

正真正銘の表紙買い。そうしたらこれが面白かった!
オレンジの夕焼けに身体はおろか視線すら絡むことのない人物、その間にある『遠くにいる人』という題。これ以上ないくらい二人の関係性を表現していて素晴らしいと思います。雑誌掲載時の扉絵をそのまま表紙に持ってきたそうですが、大成功している。松尾マアタさんは昨年『嘘つきは紳士のはじまり』で話題になりました。そこで描かれていた英国上流階級の「大人の恋愛」については、多少の反発を感じなくもなかったのですが(お子様ですとも…)、良い挿絵を描く方ですね。

表紙にプラスして個人的な萌えポイントとして「場末の工場」という設定を意識している身としては、堪らないものがありました。おまけに地味で容姿にコンプレックスがある不幸体質な受け。このドン詰まった感じがね、好きなのです。治樹は自分の弱さをよく知っているのだけど、自己憐憫にひたるほど自己中心的にはなれない子なんだよね。過去の恋人達からあまりにも軽んじられてきた為、自分を可哀相だと思う価値すらないと達観してしまっている節がある。卑屈さやグルグル思考も過剰だと鬱陶しくなるのだけど、治樹はすべての上手くいかないことをちゃんと引き受けている子だから応援したくなる。そして彼がグルグルせざるを得ないことを攻めの小田島はあっさりやってしまうんだよね。小田島が最初から治樹の幼なじみである三津狙いで自分に優しくしていたのだと知ってしまったら尚更そうなってしまうのは仕方ない。優しいけど最低な小田島を治樹はそれでも諦めることは出来ない。だからといって積極的に動くことも出来ず、せっかくの誘いは三津の代わりだからと撥ね退けて小田島から逃げまくる。逃げると追いかけたくなるのは世の理というわけで。美しいものが好きと豪語していたはずの小田島は段々治樹のことが気になっていく。二人の間にある心理的な遠さ、立場的な遠さ、そういったものに臆する治樹の片思いが可哀相で可愛い。

小田島は苦労知らずの坊ちゃんのようだけど、そういった人に特有の鷹揚さは持ち合わせていてもひたすらに傲慢だ。彼は屈折しているわけでもなくただ鈍感だから平気で治樹を傷付ける。悪気がない無神経さって最高に厄介だよね。しかしこの話の面白さは攻めの小田島にあったと思う。小田島の傲慢で勝手な言葉に治樹が傷付く→小田島を避けるようになる→どうして避けられるのかわからずまた酷い言動を取る→また避ける、という自業自得の悪循環に陥る様子が、言葉は悪いかもしれないが「ざまーみろ」という感じで面白いのだ。そして思い通りにならない治樹に対して彼が語る言い訳(not嘘)や、精一杯伝えようとする本音の部分がすごくカッコ悪くて可笑しい。旅館をキャンセルした恨み節や、告白出来なかったのを治樹のせいにしちゃうところとか、「都合いいこと言ってんじゃないわよ~!」と苛々しながらも、バカみたいに正直な小田島が治樹同様可愛く思えてしまうんだ。傲慢であり得ないぐらい嫌な男なのにギリギリの魅力がある。もちろん、傲慢な男が見くびっていた相手に振り回され、骨抜きにされる様を読むのが気持ち良いというのもあるけれど、終始不思議と憎めない小田島だった。この人物造形のバランス感覚は珍しいのではないだろうか。こんな性格では今まで治樹とは違った意味で、「まともな恋愛」が出来なかったわけだよこの野郎!と思いつつ、だからこそ治樹のような「アヒルの子」に捕まったのだと考えると納得もいくのだ。遊び人ほどストンと大人しい人に落ち着くというしね。この男はもっと治樹に振り回されて、三津に苛められて痛い目を見るといいよ!

おまけのペーパーは治樹の良き友人であり小田島の小姑でもある三津の話。
ひのもとさんの魅力は会話の軽快さにもあると思う。ぽんぽん出てくる彼らの台詞はキャラに馴染んでいて上手い。
同人誌の方では長く活動されているようですがそれも納得です。

全体的にテンプレな展開ではあるのだけど丁寧で上質な物語に感じました。
今後も要チェック!良い本を読みました♪
  




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