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ケンタウロスのすすめ

equus (Feelコミックス オンブルー)equus (Feelコミックス オンブルー)
(2011/04/25)
えすとえむ

商品詳細を見る


ケンタウロスが言葉にならないぐらい美しい。架空の生き物とされるケンタウロスが、人間と自然に共生している世界を特別な説明もなくストンと理解させる空白も素晴らしい。友人として、親代わりとして、部下として、彼らは人間と関係を持っている。ファンタジーと現実が混ざり合って見事な世界を作り出している。一読して凄いなぁと唸った後に何度も何度も読み返してしまった。そしてえすとえむさんの想像力の豊かさに感心してしまった。だって、だって、ケンタウロスだよ…それがこんなに美しいなんて!本当に凄い!

人間とケンタウロスは違う。しかしケンタウロスの価値観も考え方も誰かを愛そうとする心も、人間とそう変りなくここでは描かれる。異なるとすれば彼らに流れる悠久ともいえる時間の長さだ。関わった人間が老いていつの日かこの世からいなくなっても、彼らは人間が途方に暮れるような長い時間を生きることになる。だから人間は彼らに対して畏敬の念を忘れることはないし、互いに流れる時間の残酷さを忘れることもない。異種恋愛譚(今作はニア寄りで恋愛要素は控えめだが)の切なさと底にある諦観が愛おしいのだ。

様々な時代、国、関係が描かれる8つの短編が収録されている。
冒頭の大学生活を送るケンタウロスのように50年ほどしか生きていない若いケンタウロスの話もあれば、何人もの揺り籠から墓場までを見届けるような長い年月を生きているケンタウロスの話もある。人と関わるのは悲しいことだからとケンタウロスだけのコミュニティを出ないものも中には居るらしい。彼らの「思い出」のほんの僅かな一頁に刻まれたいと願う人間の健気さ儚さもよい。戦争に赴くケンタウロスが描かれる話が二編あるが、彼らの中には人間に従属して生きているものもいるようだ。忠誠心と神懸かった強さで、彼らは主人を勝利に導いてきたのだろう。人よりも遥かに長い年月を生きる彼らが少ない個体数で長い年月を生きるとき、ふと、生きる目的のようなものが欲しくなるのだろう。短くも劇的な生涯を遂げる人間に添う事で、その生の意味を噛み締めることもあるのだろう。超越した存在であるはずのケンタウロス達の瞳に宿る哀しみのようなものがとても良いのだ。

一番印象に残ったのは奴隷として生きるケンタウロスの話だ。悪趣味な主人の余興に使われながらも、鍵の開いたドアから出て行くことはなかった彼を、鍵を開けた本人である息子は主人の死後に詰るのだ。余興の場に居ながら触ることも助けることも叶わなかった男の精一杯の気持ちを無下にしたケンタウロス。だが男はとっくにその美しい奴隷に心を奪われていたのだ。どの話のケンタウロスも美しいのだが、性的に消費されるこのケンタウロスの美しさといったらない。ムチを打たれギャグを噛まされ涙を浮かべる様はとんでもなく扇情的だ。新しくケンタウロスの主人になった男は彼のことを知りたいと願う。人間と愛し合った過去を持つケンタウロスは自分の「死」を待っていた。哀しみに心が耐えられなかった時に死ぬという彼らだが、愛した男がその罪により打ち首になった後も彼は死ぬことはなかったのだ。だから男に殺して欲しいと願っていた。男はそんな願いを叶えられるわけもなく、ケンタウロスに服を着せ本を読ませて「生きる意味」を必死で与えようとする。ケンタウロスは主人の望みにきっと答えたのだろう。身に付けた服と教養を装備に再び以前は余興の場であった会場に立つ。しかし、そこで主人である男が気づいてしまったのはその「無意味さ」だったのだ。愚かな人間達の前で、彼のケンタウロスを生かすことは出来ないのだと。そして男は幼いころに一度だけ見た「野性」のケンタウロスの話をする。自由に駆けるその姿こそ、男が望んだケンタウロスの姿だったのだ。そして自分ではお前の願い(殺すこと)は叶えてやれそうにないからと、彼を開放するのだ。
彼らの再会はしばらく後にやってくる。ケンタウロスはまだ生きていて、彼を殺してくれるような人間には出会わなかったのだ。男が最後にケンタウロスに与えたもの、それは「死」などではなく、「生きる意味」だった。


***

はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)はたらけ、ケンタウロス! (ゼロコミックス)
(2011/04/09)
えすとえむ

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こちらは少し前に出た同じくケンタウロスが主役のコメディ漫画。
実は店頭で見かけたときは「ケンタウロス!?なんじゃそりゃ…」と気になりつつも手に取ることはなかったのだ。それが『equus』を読んですっかり魅了されてしまい慌てて購入した。そうしたらもう!こちらも素晴らしかった。新社会人として頑張るケンタウロスの健太郎君と先輩の微笑ましい関係など、どうしてこれがニア未満なのかともだもだしてしまう(笑)うわーん、この二人のラブが読みたいです!!端々にある小ネタなど吹き出してしまう場面も多々あった。えすとさんが本当にケンタウロスを愛しているのがよく伝わってくる幸せな一冊だ。

二冊あわせてとってもおススメ!!
良い本を読みました。ケンタウロス、まだまだ読みたいな♪





***

異種恋愛譚の良さは色々あるけれど、ケンタウロス×人間の萌えどころとしては容易に身体を繋げない(不可能に近い)に尽きるのではないかなと下世話なことを思いました。いやぁ、本当に良かったです!好き好き!

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これはすばらしいですね~!!

やっと手に入れました。ケンタウロスシリアス版、いや「equus」。
ケンタウロスが人間と共存って思いつかないですよね。
この方はなんと言うか、ホント非凡だわ~~。
BL漫画の無限の可能性を感じる?
もちろん「はたらけ」も楽しめました。
いや~、いいですね~、好きですね~。


明治さんの「甘い針」も読みましたよ。
初期の頃はああゆう絵を描いていたんですね。
明治さんって、いつも、淡々とエロを描いているようで、実は感情もちゃんと追っていて、深さを感じるんですよね。
ステキな作家さんです!!

依田さんの「さくらのくちびる」もよみました。
う~ん、たぶんダメなほうです。
ストーリーが浅い、というか、深くないというか←同じじゃん
多分絵を見せたい人なんじゃないかな。
その絵もあまり好みではなかったので。

それより高良健吾!!
いいですね~~!!
「おひさま」に出ているんですよ!!
「まほろ」の時と同一人物とは思えない、好青年ぶり!!
もちろん、田舎のそば屋の息子には見えませんが(笑)。
役者だわ~~、ほれてしまった~~!!

>cochiさん

こんにちは!
コメントありがとうございます~

良かった!ケンタウロスは絶っ対にお好きだと思ったの~。良いですよね、良いですよね!既刊の数冊を読んだ感想は、面白いのだけど、色っぽさや恋愛感情がちょっと物足りないというか…書きたいことを前面に押し出したら恋愛漫画ではなくなる方なのだろうなという気がしていました。ケンタウロスも確かにそうなのだけど、これはもう素晴らしい萌えがありましたね!早くも今年のベスト入りは確実です♪

甘い針、買って正解だったでしょ!初期作品好きのcochiさんなら大丈夫だろうと思ってました。エロと内面描写の両立にかけては未だに明治さんを超える方には出会っていません。あ、ベクトルはまったく違うけど、腰乃さん(ご存知かな?)は両立を感じます。私は好みの作品ではないので感想書いていないのですが…。

依田さんダメでしたか…人気の秘密を知りたかったのだけどなぁ。「真夜中を駆け抜ける」シリーズはストーリーがとんでもなく深いように感じます。こちらを是非読んでみて欲しい!

タカラ君、おひさま出てるんですよね。未だに見ていない…あれ、でも私朝ドラの時間大体テレビ付けているので今度こそちゃんと見ます。もうすぐ(もう出てる?)「マークス」レンタル開始なのでそれが楽しみ!マークス役ですよ!!


ではでは~
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Author:yori
気がつけばいつもそばにBL.猫かぶってみても、結局たどりつくのはそこなのです。感想は基本的にすべてネタバレ注意です。拍手&コメントありがとうございます。拍手コメントは該当記事のコメ欄にてお返事いたします。リンクフリーですがご一報頂けると嬉しいです。

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