スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「青春花心中」河井英槻

青春花心中 (1) (ディアプラス・コミックス)青春花心中 (1) (ディアプラス・コミックス)
(2011/08/30)
河井 英槻

商品詳細を見る
所属していたサッカーチームから突然契約を切られた竹中。 少し前に恋人とも別れ、自棄になった竹中は学生の頃自分を裏切った大嫌いな先輩・山崎に身を任せる。 出口の見えない日々の中、脳裏に蘇るのは、やるせなく、ほろ苦く、もどかしかったあの頃の記憶だった……。長篇読み切り「置いてけぼりの街と僕と君と。」も同時収録!

手に取ったときは「いつもの河井さんかな」と思った。
河井さんの描く少年達は、受けも攻めも華奢な骨組と長い睫毛を持った美しいお人形のようだ。そして、傷つきやすく繊細なようにみえて実は意外に逞しい受けと、彼を包み込むだけの更なる強さを持った攻めによるセンシティブな物語というイメージだ。読み初めてしばらくその印象は変わらなかった。失ってしまった自分の唯一の武器に苦しむ竹中と、影しか見えない別れた恋人の物語なのだろうと思っていたのだ。

ところが、山崎先輩の出現によってその印象はガラリと変わる。いかにも当て馬(河井さんの描くキャラとしてはほとんど“例外的”な顔立ちをしている)然とした山崎が2話目のモノローグを飾ったとき、もし、このまま竹中と山崎の話になったらものすごく好みだと心躍ってしまったぐらいだ。相手の気持ちが自分にないということを嫌というほどわかっておきながら、出て行くことを知っているのにそれでもつなぎ止めずにはいられない山崎がなんとも言えずよいのだ。かなり無茶なやり方をしているようにも思えるが、その痛みすら、今の竹中には必要だとわかって事に及んでいるようにも見えてしまう。たぶん、誰よりも山崎は優しいのではないだろうか。

物語は山崎との過去を丁寧になぞっていく。狭い世界で互いしか味方がいなかったような中学時代の密着と決別が描かれる。著者が言うように、掲載にタイムラグがあるせいか山崎の現在の造形と若干の違いがあるようにも取れるが、語られる過去からはまだ、竹中が山崎を嫌悪するに至った理由は明かされない。窮屈な世界で同性を好きであることに苦悩し、差しのべられた手を恐怖としか思わずに拒絶する竹中の姿が痛々しい。本命とおぼしき元恋人の姿は思い出の中で語られるばかりでまだ形にない。三角関係未満のこの物語がこれからどう展開するのか、久々に続きを待ち望む巻数ものに出会った。

たった一つの武器を失った人間はどうすれば良いのだろう。まだ若い、という言葉は慰めにもならない。若いからこそ、その先の長さに絶望するということだってあるだろう。沈み込むばかりの竹中の心の行方も気になる。不穏なようで明るさを内包するタイトルも素敵だ。手向けの花が「青春(過去)」に送られるというのなら、未来は決して暗いものではないと思うのだが。

ところで河井作品への思い入れは実はまったく違うところにある。何度か書いているのだが、私のごく個人的な萌え(と表明するのも憚られる)であるところの「地方都市の閉塞間」を最初に感じさせてくれたのは、何を隠そう河井作品なのだ。それから10年以上経った今確信するけど、これは間違いなく著者自身の萌えでもあり、執着でもあるのだろうね。

続きが楽しみです。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

yori

Author:yori
気がつけばいつもそばにBL

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。