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映画『黄金を抱いて翔べ』

お久しぶりですyoriです、元気です!
「黄金」映画を観てきましたのでザザッと感想を!
ネタバレしますのでご注意くださいまし。

***

観終わってしばらく席から立ち上がれなかったです。期待以上でした。

映像化された高村作品をきちんと観るのはこれが初めてだけど、ファンによる過去の作品のあれこれを小耳に挟んでいた身としては、これは過度な期待はせずに別作品と捉えた方がいいかもなぁ、とつい数日前までは思っていたのです。が、ネタバレを避けるために映画を観終わってから読むつもりだった「公式ガイド」をつい魔がさしてパラパラ繰ってしまったら、役者インタビューの頁に、私が一番知りたくて知りたくなかった幸田とモモの関係の描かれ方について言及されている箇所があったのね。あぁ、自分から踏んでしまうなんて・・・とうなだれつつ、これを知ってしまったならもういっそ全部読もうとガイドを通読したのです。
そしたらかなりの頁数を使って、高村先生と井筒監督の対談が載っていたのね。
国内外問わず映画には疎い私なので、井筒監督の代表作は名前を聞いた程度、その昔深夜のバラエティ番組で辛口映画批評をしている姿が一番に思い出されるという監督だったのですが、そう、この人生粋の大阪人なんだよね。我らが高村先生も大阪の人。黄金の舞台は大阪で、それ以外の土地では「有り得ない」と思わされるほど土地の匂いが色濃い作品。そしてなんと驚くことに井筒監督は「黄金」が雑誌に掲載されていた頃からのファンだというのです(ガイドには付箋だらけの「小説新潮」の写真が載っています!)それを読んで監督の「黄金」への思い入れの強さを読んで、あっ、これは期待出来るかも・・・ってそのとき初めて思ったんだよね。さしたる理由もなく金塊強奪を計画する男たちの無茶苦茶さ、破天荒さ、泥臭さ、そういった中での彼らの連帯や愛憎を、この監督はくみ取るのではないかなと思ったのです。「高村ファンが」求めているものを、描いてくれそうだなって。

舞台は現代に設定を移していましたが、小物の類を極力排除したようで、挟まれる時事的なジョークがなければ現代だとは思わなかったかもしれないです。北川と幸田の年齢設定が変わっていましたね。原作では29同士のはずだったけど、幸田32、北川36となっていました。
北川のリーダーシップある男ぶりや男女問わず魅了する性質は原作に比べるとちょっと不足していたかな。一般人の野田よりも明確に不気味に「夜」と「昼」を住み分けている印象の北川なのですが、これは私の欲目というか好みの問題でもあるのだろうけど浅野さんのこだわりだったという角刈りがどうも最後まで馴染めず(ごめん)、堅気臭の方が完全に薄くなっていたのが少し残念でした。でもね、北川の持つ「暴力と君臨」の雰囲気は十分にあったのでそれはとても良かったです。自分と北川の関係を幸田が「ジャイアンだ」という場面があって、ちょっと笑ってしまった。そう、確かに彼らの関係は対等ではないのだ。北川は幸田を「生かしたい」と思っている節があり、幸田も北川にもたらされるものによって「生きたい」と願っている。ラストを飾る北川のモノローグがこの作品のすべてなのかもしれないと思いましたよ。
観る前は不満だった幸田ですが、ごめんなさい、何の文句もなく素晴らしかったです。すべての表情が本当に良かった。妻夫木くんはとても良い役者さんだね。あの暗い眼差しや苛立ち、嫌世感溢れる様はまさに幸田さんそのものでした。ブラボーです。モモや春樹に見せる優しい眼差しも素敵だった。冒頭、幸田のモノローグで始まるあの世界はラストへの伏線になっていたのだね。そして、映画を観たらイメージが変わるかなぁと危惧していた幸田さんですが、やはりどこからどう見ても総受けなのでした。大好きだよ。
さて話題のモモ。映画館に入る前の客層予測は(7:2:1で東方ファン:高村ファン:その他男性客)だったのですが、ほぼ当たっていたと思われます。キャスティングを知ったときにはなぜ「彼」なのか疑問しかなかったのですが、冷静に考えてみれば彼の立場ほどモモにお誂え向きな人はいませんよね。結論からいうと、モモもすごい良かったです。もちろんカッコよすぎるよ!ものすごい華があるんだもの!!画面に彼が写るだけでその場がパッと明るくなるというか、ファンではない私がしばしば目を奪われました。これは幸田さんも惚れるよ!原作のモモは中性的な顔立ちで目立たずひっそりと佇むイメージなのでかなり違うのですけどね。でも、わけがわからず計画に巻き込まれていく戸惑いや、旧知の北川と幸田の会話を目を見開いて口元に集中して懸命に聞き取ろう、理解しようとする演技(素の部分も多分にあったと思う)が思いの外モモに合っていたように思いました。絶対ないだろうと思っていた女装場面もインタビューにあるとあった通りありました!さすがに彼の身長だとまぁ、綺麗だけど悪目立ちするよね。残してくれたのは監督のファンサービス(もちろん高村ファンへの)かな?すぐに元に戻ってしまったのだけれどね、満足です。
次に野田。野田がもしかしたら一番良かったかもしれない。桐谷くんの関西弁のやっかましい感じが、野田という男の小物感を存分に引き出していて、彼が出ると話が動くイメージがありましたね。光っていた。唯一金銭を必要とする野田は、北川と幸田とはまったく違う世界に生きている人間で、その人間臭さが魅力的でした。原作ではあそこまで騒がしい感じではないのだけどとても良かったです。
さてじいちゃん。じいちゃんの設定は原作を読んでいないと唐突なのではないかなぁと心配していたのですが、やはり唐突な印象は拭えなかったかな(というか、原作でもじいちゃんと幸田のエピソードはかなり力技だと思う)原作のじいちゃんのイメージは骨ガラのような老人なので、西田さんでなくてもよかったとは思いました。これは多分私が原作のじいちゃんの行動を上手く咀嚼出来ていないせいだと思います。教会と聖書という高村作品お馴染みの舞台装置に彩られた二人の記憶だけど、多分、今の先生なら描かないでしょうね(LJの改稿内容から)
最後に春樹。情緒不安でギャンブル依存と、設定が一番変わっていた春樹ですが溝端くんは合っていたと思います。春樹といえば、原作では幸田をパレットに押し倒し乳首を弄くり回して一物をおっ勃てるというすごい子(そうとしかいえない・・・)なのですが、そういった雄っぽい場面はなかったですね。でも端々から幸田への憧れを感じ取れる演出になっていてさすがだなぁと思いました。この春樹によってもたらされる物語中最大の不幸(と、私は思う)はそのままで、高村先生のこういった登場人物の退場のさせ方は未だに馴染むことが出来ません。そして彼の今後がとても不安。でも黄金という物語、北川という人物を描くには、必要不可欠なエピソードなんだろうなと思います。

その他北側・公安・団体の描かれ方も大体原作通りだったよに思います。この辺は再読しても難解で正確に理解している自信がないのだけど・・・。省かれた大きなエピソードもありますが、全体的にとてもよくまとまっていたと思います。でもやっぱり原作つき映画の宿命か、行間がない分展開が早すぎる感じは否めなかったのだけど、それでも良かったと思います。一瞬たりとも退屈しなかったもの。

そして私が一番知りたくて知りたくなかったという幸田とモモの関係ですが、すごく良かったです。原作のように「できている」「特別な仲だ」「モモになにかあったら生きていけない」といった直接的な表現はなかったですし、二人の間が一線を越えたとわかる描写も当然ないです。北川による語りもない。でもね、ちゃんとわかるんだよ。幸田がモモをとても大切に思っていることや、モモが幸田を特別な人だと思っていることが。視線のひとつ、仕草(妻夫木くんのインタビューで、あどりぶでチャンミの頭をぐりぐりしたとあって超萌えた!)のひとつがとてもいいんだ!大満足ですよ!そして思ったのだが、これはむしろ原作が「描きすぎ」なのかもしれないなって。この程度でも十分に男同士特有の孤独と連帯、恋愛感情一歩手前の密接は伝わってくる。おまえら知らねぇとはいわせねぇよ?という監督の意図を勝手に感じました(勝手に)
惜しむらくは、原作では同じ穴の狢になってしまった幸田にモモが言う「神の国の話、心の話がしたい」というくだりがなかったこと。ここがあるとないでは二人の間に流れる空気の密度が全然違ってしまうのだけど、むぅ、残念です。でも教会でのお寿司の場面はとても良かったのですよ。幸田さんあんた、このどさくさで寿司をモモのために持ってきてあげたのかいって泣きそうになりましたもの。朝を迎えた幸田の表情も素晴らしかったです。モモの顛末はもちろん覚悟していたけどやっぱり辛い。これが黄金なんだとわかっていても辛いです。
金塊強奪の流れは息つくひまなく大阪特有のコミカルさもあって楽しめました。各自の動きがよく見えて原作よりもわかりやすかった。
この話の鍵は北川にあり、金塊強奪からどんどん芋蔓式に犯罪の臭いが濃くなっていく。その様は浅はかで悲劇的でしかないようにも見えるのだけど、決して立ち止まろうとはしない北川の強靱な精神力に作品そのものも支えられているなと思いました。多くのものを失った北川が、最後に語りかけたのが幸田というのがね、なんかもうたまらないものがあります。幸田とモモの間にあったシンプルな情よりも、とても複雑怪奇な、だけど温かい情を幸田と北川の間には感じます。

映画のラストに茫然自失となって、その後持ってきていた原作本を恐る恐る読み返してみたのですが、確かにそういった解釈は可能だなと思いました。対談によれば「ラストは別」とあるのですが。でも、どの部分が変わったのかはそれぞれの解釈に寄ってよいのだと思います。そうだな、たとえば北川が最後に触れた「水」が海ではなく大阪の川だったことを指しているのかもしれないし、ね。
私は初読時の解釈を疑いもしていなかったですし、これからも信じ続けます。

大変面白い作品でした。

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