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「犬ほど素敵な商売はない」(榎田尤利)

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これは面白い。
先日「PET LOVERSシリーズ」の第二弾『獅子は獲物に手懐けられる』を先に読み、これはいいぞと。で、早速第一段の『犬』を読んだら、もうすっごく面白くて興奮しました。

榎田さんて本当に本当に上手。何が。小説が。
その一言しか賛辞の言葉が思い浮かびません。
例えば奇抜な設定や独創的な発想を持つ作家なら他に何人か思い浮かびます。でも、人の感情の機微を、外的・内的要因併せて子細に説明し、または描写し、読者にその小説で起きている現実を伝える力がこれほどある作家って本当に稀だと思うのです。リアリティ、とはまた違うのだけど、人物Aにある出来事が起きてそれがAの心理にどう作用するか―小説を書く上で一番基本的で、一番難しいことだと思うのですが・・・それを榎田尤利という作家はとんでもない力量でいとも簡単にやってしまう。本当にすごい。
と、実は私はまだ榎田作品をそんなに多く読んでいないんです!「魚住くん」「眠る探偵」「交渉人」「執事の特権」・・・ぐらいでしょうか?今年はとりあえず榎田作品の主要なものを押さえていこうかなーと決意を新たにさせられる読書体験でした。

悪い子だ。発情してしまったのか?自覚のあるろくでなし・三浦倖生は、うだるように暑い夏のある日、会員制のデートクラブ『Pet Lovers』から『犬』として、寡黙で美しい男・轡田の屋敷に派遣される。そこで倖生を待っていたのは厳格な主人・轡田の厳しい躾の日々だった。人でありながら犬扱いされることへの屈辱と羞恥。そして、身体の奥底に感じる正体不明の熱…。次第に深みにはまっていくふたりだったが!?究極のコンプレックス・ラブ。

「調教物」ってBLでは割と見かける世界だと思います。M調教の派生として犬調教も。ただ、私の知っている調教物はエロの仕込みがメインで、身体に付随して心も堕ちる・・・というパターンが多かったように思います。そういった話も好きですが、エロを欲しているとき以外には読む気になれないのもまた事実だったわけで。ところがこの話は違うんですよ。エロい仕込みなんて一切ない。倖生が轡田によって施されるのは、純然たる「犬になる為の調教」。これは、読んでいて本当に圧倒されます。轡田が倖生に発する言葉は「Come」「Sit」などの犬を躾けるために使う用語のみ。四つん這いになって犬のような所作を躾けられるその様子は淫美で大変エロティックであると同時に、本当に犬を躾けしているかのような誠実さです。そして最初は抵抗感があったものの、「犬」として愛されるうちに倖生の内側に正体不明の熱が生じてくるのです。その描写がなんというか・・・正直泣きそうになりました。倖生がろくでなしになったのにはそれなりの理由があって、「いつ死んでも構わない」と思っていた無気力な倖生がずっと求めていたもの・・・それは「愛」だったんですよ。こんな風に書くと陳腐な話に聞こえるかもしれませんが、愛を知らない倖生の内側をこれでもかと見せられて、愛されることを知らない人間が、仮初の姿(犬)でも浴びるように愛されることを知ると「なるほど、こうなるのか」と納得させられてしまうんです。信憑性があるんです!これは凄いよ!
浴びるように愛される幸福―共依存が不幸な関係だなんて誰が決めるというのか。幸福の形も人それぞれなのだ。轡田が「犬」として倖生を愛することにも理由があり、「究極のコンプレックス・ラブ」の意味がわかりました。確かに轡田は異常だし、変態だとも思うけど、それを幸いと感じる倖生がいるのならばそれでいいじゃないか。恋人としての二人の行く末が幸福でいっぱいであるように願ってしまいました。ラストのバカップルぶりだもの、心配いらないわね。ああ、好きだー。

それにしても・・・お仕置きで雨の中庭に出されても、自ら鎖を解くことなく轡田の許しを待つ倖生。熱を出して寝込んでいてもなお、床のラグマットに移動しようとする倖生。轡田が他の犬を呼んだことを知って嫉妬に狂う倖生。轡田の持つ鞭に打たれれば「許されるだろうか?」と期待する倖生。轡田に捨てられたと思い自宅で床を舐める倖生。ああ、こんなに、こんなに可愛い犬がいるだろうか!って感じです。
倖生が犬でありたいと願えば願うだけ、私は大変萌えました。(私まで変態っぽいですか?)

倖生は「ボルゾイ」という犬種で登録されていたので、犬に詳しくない私は早速店で『犬図鑑』を見てみました。ああ、なんとなくわかるなー。大型で美人なのにちょっと脳みそが足りなそうな感じ?(失礼)志水ゆき先生の挿絵も美しかったですし、大変満足な一冊でした!

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